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史上初! 手こぎのパドルボード(SUP)で大西洋横断に成功! サメにも負けずに7500キロの航海を達成
2017.03.18 Sat
Hochi Naomi 肉食系自然派ライター
南アフリカ共和国の男性が、世界で初めてスタンド・アップ・パドルボード(SUP)で大西洋を単独横断した。サポートも受けずに横断したのは、史上初の快挙だ。プロサーファーで作家のクリス・バーティッシュさん(42歳・南アフリカ共和国)は、昨年の12月6日に、モロッコ王国のアガディールの港を出発し、翌年の3月9日にカリブ海に浮かぶ島国であるアンティグア・バーブーダ国のアンティグア島イングリッシュハーバーに到着した。航海距離は7500キロを超える。
パドルボードはサーフボードのようなボードの上に立ち、パドルをこいで進むスポーツで、頭文字を略してSUPとも呼ばれる。バーティッシュさんのパドルボードは、重さ約620キロ、全長6メートルのFRPやカーボン素材でできた特注品。小さなキャビンと太陽電池パネルが付いており、中で眠ることもできる。
プロサーファーであるバーティッシュさんは、サーフィンはもとより、パドルボードにも精通するが、大西洋横断という7500キロを超える距離を93日間こぎ続けた運動量により、体重は12キロ痩せてしまったという。食事はすべてレーションと呼ばれる保存食でまかなったが、ビタミン剤やエナジードリンクなどは準備した。
たったひとりの航海中には、サメに二回ほど襲われた。周囲をグルグル回られて、「もう終わりか…」と思ったこともあったという。ネガティブな発想が始まると、バーティッシュさんは「ジョニークレグ&ジュルカ」というアフリカの民族音楽を聞いて、ノリノリでパドリングをするようにしたという。
旅の途中で、肩の回旋筋腱板断裂というケガをしたり、(横断後に手術を実施して回復した)、潤滑オイルがなくなって、その代わりに日焼け止めを使用したりもした。その、すべての精神力の源は、子どもたちへの想いからである。
バーティッシュさんは、外洋でのノンサポートによる単独航海の最長記録を達成することを目標とした。それというのも、彼が支援する複数の慈善団体と協力し、南アに学校を建設したり、子どもたちの口唇裂手術の費用を援助するための資金集めを行う、という目的があったからだ。その支援金は、546万ランド(約4700万円)集まったという。
「どんな形であれ、大好きな海のうえで、長く時を過ごせれば僕はいいんだ。それが素晴らしいことなんだ。私は海の男で、海は私のインスピレーションの源だ。生きている実感を味わえ、満足感や幸福感で満たされる。特に真の自由は海の上にあるのさ」と、バーティッシュさんは話している。
「大西洋横断をしようと決めたとき、みんな反対したよ。でも不可能なことは何もないんだ。自分で不可能だと思わない限りは」
(写真提供:Chris Bertish- I'MPossible 公式Facebookページ)