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今年、日本で初開催のラフティング世界選手権。大会オーガナイザーを務める池田拓也さんに見所を聞いてみた。

2017.07.20 Thu

Ushio Takeshi Trip 四国の川の案内人主催

 四国の真ん中あたり、徳島県の西のほう。阿波池田の町から高知へ向かい車を走らせると、谷が深くなりその山の斜面に張り付くように集落が見え始めて来る。

 にし阿波、最近よく使われるこのエリアの通称だ。

 山深く雨量も多く台風も通るこのエリア。最大水量日本一のこの川、吉野川は全体を見ればきれいで穏やかだが、谷が深いこの区間だけは日本屈指の激流だ。

 今年の10月3日(火)~9日(月•祝)、四国吉野川で行なわれる6人制ラフティング世界選手権。ラフティングボートに乗り込み、激流をいかに早く正確に下れるかを競うスポーツで、日本での開催は初めて。世界の選手を「生」で見られる貴重な機会だ。

 おもな種目としては、スプリント(短距離のタイムトライアル)、H2H(2艇同時スタートによる短距離レース)、スラローム(指定された順番にゲートを通過し、タイムを競う)、ダウンリバー(3~4艇ずつスタートし、長距離でのタイムを競う)の4種目があり、その総合獲得ポイントで順位が決定する。

 それらに年齢によるカテゴリー分けが設けられ、それぞれで順位を競う仕組みだ。年齢の分類は次の4通り。15歳以上のオープン男•女、40歳以上のマスターズ男•女、23歳以下のジュニア男•女、19歳以下のユース男•女。

 先日、現地で100日前イベントが開催されたので、大会オーガナイザーを務める池田拓也さんをキャッチし、一般の人も楽しめる見所などを簡単に教えて欲しいとお願いしてみた。

 彼は国際的なラフティング協会の公認インストラクターやジャッジ資格を持ち、元日本代表選手でテイケイに所属。2010年にはオランダ大会で世界一も経験している。現在はレースラフティング協会や神奈川県カヌー協会の理事、そしてガイド活動のほか、個人としてもカヌースラロームの選手もしながら今大会のオーガナイズも担当……超多忙だ。

ーー正直、まだ一般の人にはなにを競っているかが分かりにくかったり、世代別のカテゴリーや観戦できる場所などが少しむずかしいところもあると思うのですが、実際はなにを見たらいいのか? そしていちばんの見所を教えてください。

 久しぶりに会った池田さんは爽やかな笑顔で答えてくれた。

(池田さん)いちばんの見所はこの環境だよー。こんないい川ないよー。日本の原風景が残る数少ない場所にこの吉野川があることだね。そんな環境のなかで行なわれる日本で初の世界選手権だから、インバウンドを含め海外のメディアも集まるからね。

 たしかにここは、その景色や文化を求めて海外からの観光客も多い大歩危祖谷エリアだ。ふだんから海外の観光客の姿をよく見かける。そして吉野川でのアクティビティも盛んだ。にし阿波自体が全国で13箇所が認定されている観光圏のひとつでもあり、その急傾斜エリアでの農業は世界農業遺産に認定されていたり、食と農の継承地としても知られている。国も公式に認定するほどの、世界中から人が来ることができる場所だ。そんな環境での世界選手権。もちろんカテゴリーやルールを詳しく知るとおもしろいけれど、この環境ですごい人たちが集まり下っている! という雰囲気を楽しめばいいんだとすら思わされた。

(池田さん)その通り。やっぱり、この場所に世界の選手が来ることだよね。強豪国のチェコやスロバキアの選手を日本で生で見られることなんてなかなかないからね。

 パドルスポーツの先進国の選手をこんな山奥で見れることなんてまずないことだ。どんな体格で雰囲気で、そしてどんな漕ぎをするのか? 単純にそれを感じるだけでも楽しそうだ。しかもそこに比較的小柄な日本人選手が世界一を狙って戦っている。日本人選手もパドリングで世界レベルで戦えるようになってきている時代なのだから、そこを見るのもおもしろいはず。

(池田さん)あとは地元でユースカテゴリーに参加する高校生チームができたこと。若い世代には本当に期待できるしね。

 地元でもあの池田高校を中心に高校生の男女チーム「TRAKT」が結成され日々練習をしている。高校野球で有名になった池田高校にもかつてはカヌー部があり、日々吉野川で練習をしていたそうだ。それ以来のパドリングチームの結成は、今後の日本のパドリング文化の後押しをしてくれるにちがいない。

 もう数ヶ月で始まる今大会。まずはこの夏、吉野川でラフティングに挑戦! 自信がないようなら、せめて川遊びをして水に触れてみてはどうだろう。

公式HPはこちら

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