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【イベントレポート】Haglöfs Snow Days ホグロフスの本気を感じた二日間

2019.03.14 Thu

渡辺信吾 アウトドア系野良ライター

 去る2月10日(日)・11日(祝)栂池高原で開催されたHaglöfs Snow Days(ホグロフススノーデイズ)に参加してきた。

 このイベントは北欧のアウトドアブランド ホグロフスが主催するスノーイベント。過去にも開催されていたのだが、なかなか都合が合わず断念していた。しかし今年は絶対体験しようと前日の土曜日から栂池に。ここ数日まとまった積雪はなかったようだが、土曜日の昼すぎに白馬村に入る頃には大粒の雪がシンシンと積もり始めていた。

 栂池入りした土曜日は滑らず、温泉に入ったり、地元の居酒屋に行ったりと旅情を味わいつつのんびりと過ごした。

 たっぷり睡眠をとった翌朝、会場に向かおうとホテルの駐車場に行くと、クルマには20cm以上の積雪。テンションも高まる。

 日曜日。この日はバンクドナチュラルフリーライディングの大会が開催される。地元小谷村在住のプロスノーボーダーでありホグロフスフレンズの渋谷謙がプロデュースした特設コースが会場となる。取材だけのつもりが、ぜひとも体験すべしとの声に押されてエントリーすることになった。エントリーした中でおそらく最年長。老体にムチ打って、コースインスペクションに挑んだ。

 スタートからタイトなバンクドコース。コースアウトしないように慎重にボードコントロールし、スピードに乗ったところで切れ上がるようなバンクに振り回される(インスペクションではこのバンクで体が遅れて転倒)。バンクドエリアを越えると片斜面をトラバースして非圧雪エリアに突入。右側のナチュラルウォールに当て込んでからの、旗門を通過した先にクリフ(落ち込み)があり、非圧雪にランディングして、左のヒップ、右のヒップに当て込んでフィニッシュ。各セクションでのトリック(技)を競いつつのタイムトライアル。つまりスピードをロスしない上に、トリックの完成度やスタイルも審査される。

 ホグロフスフレンズのスノーボーダー・スキーヤー(渋谷謙、山崎恵太、丸山真宏)のデモンストレーションを見るもの楽しかった。スピード、ボードコントロール、そしてトリックと、彼らの滑りを見ていると実に気持ち良さそうに見えた。

フリースキーヤー丸山真宏のバンクライド。

コースプロデュースを担当した渋谷謙のクレイル。

今年のFWT(freeride world tour)の日本人予選FWQで優勝した山崎恵太のトゥイーク。

 この日のエントリー数は約80名。使用する道具も千差万別。スノーボードは、フリースタイル系からマウンテン系、それにスプリットボードの人もいる。スキーにはアルペン系やテレマークまで。参加年齢はキッズから五十代(私)までと、幅広い。レベルとしては総じて高いが、転倒しながらもチャレンジしている人もいる。この自由な感じもまた楽しい。

 私の結果としては、公式練習では遅いながらも転ばずに滑りきったのに、本番では緊張でガチガチになり、バンクでコースアウト。旗門不通過で失格となってしまった。お恥ずかしい限りだ。しかし、ボーッと観戦しているより、エントリーしている人と同じようにドキドキしたりワクワクしたりできことが少しうれしかった。でもやっぱり悔しい。

 この日の夜は、栂池スキースクール横の特設会場で、アンティ・アウティのスノームービー「CLOSER」の上映会。会場は室内かと思いきや、なんと雪上。スウェーデントーチや焚き火に当たりながら暖をとり、温かい燗酒を飲みながら、建物の壁に張られたスクリーンに映し出されるムービーを鑑賞する。北欧や北海道の雪山を舞台に、アンティそして吉田啓介の美しいライディングが流れると、会場からは自然と「イエー!」の声が発せられた。上映終了後は、隣接のクラブに会場を移してアフターパーティ。ホグロフスの人たちやライダー、参加者の人らと交流して夜は更けていく。

 この日の様子はこちらのムービーでどうぞ。

 二日目は、バックカントリーツアーの日だ。今回初の試みとして、滑り中心のAチームと、バックカントリー初心者も参加できる雪崩講習会付きのBチームに分かれて開催となった。

 Aチームのガイドは荒川智さん率いる白馬のガイドカンパニーGRANIX。プロのライダーたちも帯同してくれた。
 参加者はスノーボード+スノーシュー、スプリットボード、山スキーの混成。栂池高原スキー場のトップから、バックカントリーエリアに向かって歩く。前週の雨がありコンディションの心配はあったが、ガイドチームが安全なコースをセレクトしてくれた。新雪は場所によって約20cmから30cmぐらい。雪質も悪くなさそうだ。

 約2時間半のハイクで1本目のポイントに到着。ノートラックの斜面を左右いっぱいに使って滑り降りた。参加者が滑り降りたところで、集合ポイントに向かってプロたちが華麗な滑りを見せてくれた。真直で見るプロの滑り。同じ斜面でも選ぶコース、地形、そしてライディングスキルによってこうも違うのかと感心する。いつか彼らのように縦横無尽にパウダーをシュレッドしてみたいと夢見てしまうのだった。

 かたやBチーム。講習とガイドを担当してくれたのはEvergreen Outdoor Centerのオーナーでありカナダ雪崩協会公認ガイドのデイビッド・エンライトさん。バックカントリー初体験の方も多数参加されていたらしく、有意義な体験会&ツアーになったようだ。

 こちらの様子は、動画でご確認ください。

 雪にも恵まれ、雪まみれの二日間を堪能した。ホグロフスは総合アウトドアブランドだが、やはりスノーはこのブランドの根幹にあって、イベントの雰囲気、サポートしているライダーやガイドたちの実力や人柄からもそれが伝わってきた。そしてホグロフスの中の人たちの本気度にも触れられた気がした二日間だった。

 おそらく来年も開催されるはずだ。未体験の人にもこの二日間をぜひ味わってほしい。

(文=渡辺信吾/写真=古瀬美穂/画像・映像提供=ホグロフス

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