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【連れださない理由がない!】専門家に聞いた「子どもの成長と自然遊び」の深すぎる関係(山と海の注意点付き)

2019.07.26 Fri

 豊かな山や海、川など、自然あふれる日本で子育てをする以上は、子どもをフィールドへ連れ出したいと思っているアウトドア好きのお父さん・お母さんは少なくないでしょう。今回はともに1歳児のいる2名のAkimamaスタッフが、幼児教育の現場で自然遊びの重要性を発信しているスペシャリストに話を聞いてきました。

 題して「良い良いって聞くけど、なんで自然のなかで遊ばせるのがいいの? ぶっちゃけどう良いわけ? Akimamaが実際のフィールドで素朴な質問ぶつけてみました!」

 7月初旬、訪れたのは神奈川県の三浦半島にある仙元山。葉山町に住む住民の憩いの山として知られている低山です。
教わるのはAkimamaスタッフ福瀧(1歳男児母)と河津(1歳女児父)。福瀧はテント泊縦走やシーカヤック、素潜り、バックカントリーなど広くアウトドアを楽しみ、河津はクライミングや沢登り、トレラン、バックカントリーなど主に山をフィールドに遊ぶ。

 先生はこの方、長谷部雅一さん。かなり肩書きが多岐にわたる人なのですが、世界一周の旅や国内のアウトドア経験などを経て、現在は自然関連のプロジェクトの企画運営や、研修講師、ネイチャーインタープリターといった場で活躍中。また保育園や幼稚園のコンサルタントを通じて保育士向けに自然体験の指導者教育も行なっている、まさに今回の講師として適任中の適任です。
1977年生まれ。Be-Nature School取締役。一年をかけての世界一周を旅し、7000m級の山から先進国まで、自然と人、文化に触れる。プロジェクトの企画運営のほか、研修講師、ネイチャーインタープリター、場作りの仕掛け人、また40数ヶ国もの子どもたちと触れ合ってきた経験などを元に幼児を対象に自然教育/体育も行う。著書に『ネイチャーエデュケーション』(みくに出版)、『子どもと楽しむ外遊び』(地球丸)など。その他雑誌やラジオ、テレビでも活躍中。
 

仙元山、よさそうじゃないですか!

山頂まで20分ほどらしいですよ。ややモノ足りない……。

いやいや、これは楽しいことがいろいろありそう。行ってみましょう。

仕事柄、長谷部さんは場作りの名人で、時事問題からローカル情報(、たまに下世話トーク)などを織り交ぜながら、撮影スタッフ全員をまとめていくのがうまい。

うちの娘(朝陽)は保育園に行っているんですが、長谷部さんはコンサルタントとして保育士さんたちにも自然遊びについて指導されてるんですよね?

そうですね。まずは大人に自然のなかで子どもを遊ばせるメリットや注意すべき点をしっかり理解してもらうのが大事だと思っています。

自然のなかで遊んでいる子どもと、そうでない子どもって明確な違いってあるんですか?

ありますね! 例えば幼稚園の年長さん(5~6歳)でも、多くの子どもは今歩いているような里山を歩かせるとバタバタと転ぶんです。普段歩き慣れた平地じゃないところになると、身体の中心がすぐに見つけられないんですね。

へえ~! 自然のなかで遊んでいる子は違う?

そうですね、明確に違います。自然のなかで遊んでいる子はボディバランスが鍛えられているので、転びにくいだけじゃなく、不整地でも走ったりジャンプしたり……といろんな展開に合わせてうまく身体の使い方ができるんですよ。

息子(風生)くらいの1歳児にも言えることなんですか?

言えますね。1歳ごろから小学校に入るまでの乳幼児期は、自然のなかの不整地で歩けば歩くほどボディバランスが育ち、遊ぶ時間が長ければ長いほど転びにくい身体になります。成長してからのスポーツの根っこにもなる大切な部分なんですよ。

スポーツが好きになるかにも関係があるってことか。それはこの子が将来モテるかどうかにも関わる重要な点ですね……。

 

どういう遊び方が適しているか
年齢別に聞いてみた

仙元山の山頂付近からは相模湾と湘南エリアが一望できる

ボディバランス以外にもどんな影響があるんですか?

まず0歳児から6歳ぐらいまでの全年齢を通して言えることは、真っ平らの人工的な場所ではない自然のなかで活動することで五感を刺激し、脳も身体も心も刺激を受けるということ。

いい意味で、ですよね。

もちろん! たとえば0歳児。まだ早いと思うかもしれませんが、首が座っている0歳児後半になれば自然のなかに出て五感に刺激を受けることがとても重要。まぶしい、暖かい、風を感じる、視界のなかに動くものが入る……など、家にいるより良い刺激を簡単に得やすい。0歳児は1m×1mの芝生の上にいるだけでも充分です。

1歳児や2歳児は?

この年齢は言語を発しようとしている時期で、何でも自分でやってみたいという気持ちが育ってきています。自然のなかにいると自分の好奇心に反応が返ってくる。水に手を入れると冷たいとか、虫をつかんだら動くとか。指先も繊細なので石や葉っぱそれぞれに違いがあることが分かってきます。これは軟らかい、これは硬い、というふうに。違いが分かると自分なりの感性で選別してみたり、遊びをクリエイトしていったりする。見てておもしろいですよ。だから、汚れることを気にせず、好奇心の赴くままいろんなものをどんどん触らせてあげるといいですね。

えーとちなみに……素朴な疑問なんですが、五感に刺激を受けると何が良いんでしょうか。

いい質問! 以前僕が脳科学者の方に教えてもらった話なんですが、五感が刺激を受けると脳の前頭葉の働きが活発になるそうです。まず前頭葉の働きが活発化すると、熱い、痛い、寒いといった身体の感覚が正常に育つことにつながる。これは生きていく上でとても重要な感覚です。

前頭葉は運動の司令塔。判断や思考、感情などの精神作用の中心的な役割も持ち、集中力やガマンする力もつかさどる。幼児期に前頭葉を活発に働かせることは、子どもの精神的な落ち着きや集中力につながると言われる。

なるほど~。

もうひとつは自分の身体の動きをイメージしやすくなる。こんなふうにボールを投げたいと思ったときに、そのとおりに投げる感覚を養えます。筋力や瞬発力などとは別に、身体を思ったとおりに動かすという部分が育つと言われています。

クライミングにも関係ある話かもしれない……。

だからというわけじゃないですが、福瀧さん、ニンジンはピーラーじゃなく包丁で剥く方がいいんですよ?

えっ? それどういう……、ピーラーで剥いてますけど、なにか。

包丁を使うときは前頭葉が活発に働いてるんですよ。微妙な力加減とか刃の角度とか、力のかけ具合とか。特殊なマシンで見ると真っ赤に色づいてる状態ですね。

じゃあピーラーは……?

ピーラーを使ってるときと、テレビを見てるときの前頭葉とは同じようなものらしいですよ(笑)。

ええマジですか! ぐうたら具合が一緒ってこと? 体重以外もう年齢的に退化の一途をたどってるんで、これからは包丁使います(涙)

ちなみに、3〜4歳はもっと子どもがダイナミックな遊びをするようになり、また自分の限界を知っていきます。日陰の森に入ったときに「なんか怖い」と思ったり、これ以上行ったらまずいと思うなど、自制できるようになる。自然のなかで遊んでいればいるほど判断ができるようになります。経験がなければ見知らぬ場所でもどんどん奥深くへ入ってしまうし、実体験がないから平気で岩に登り、そして転落もする。あと、自然のなかでたくさん遊んでいる子はこの時期になると上手に身体が使えるようになってくるので、例えばこの木に登りたいと思ったときの動きの習得も早いですね。

いや~もはや自然のなかで遊ばせない理由が見つからないですね。

そして、自分のなかで納得できるまで答えを探すようになるのが5〜6歳。もしかしたらこうかもという自分なりの推測、回答を見つけるんですね。仮説を立てて実証して……みたいな行動です。自然のなかにはそういう疑問と答えが無数にあって、自分なりの答えを導き出すことができる場面がたくさんある。繰り返すうち子どものなかで軸みたいなものができてきて、生きる力を育むための基礎が作られていくんですね。

 

自然のなかで遊ぶ場面で
大人がついやりがちなこと

これを読んだAkimama読者のお子さんがもっと大きい場合、遅かったりするんでしょうか?

いえいえ、多感な子どもはいつでも感じて学ぶ時期なので、何歳からでも全然間に合います! これまで自然のなかでほとんど遊んでこなかった子どもでも、その子にあった場作りをしてあげると1泊2日でも見違えるほど変わっていきますよ。僕らが主催するそういう親子キャンプなんかでは「子どもってこんなことまでできるんですね」と親御さんが逆にびっくりするくらい成長することもあります。

でも、普段近くに山とか海とかない人もいますが、わざわざでかけて行くの?

スタートは公園で充分ですよ。

おお〜!

葉っぱについた水滴を観察したり触ったりするだけでも学びがいろいろある。

そして、遊具で遊ぶのも良いですが、同じ公園でもまわりの生け垣の方がおもしろい。生け垣は生き物天国だし、背の高い木の樹皮を観察しても発見がある。防災倉庫のまわりにある石の裏は宝の山。座るためのベンチも手を洗う水道のまわりも、子どもたちにとって遊びにつながる自然が見つかります。「整備されたこの公園には自然はない」など、大人になると物事を決めつけてしまいがちですが、子どもと一緒に遊ぶことでその凝り固まったものの見方がほぐれることもあると思いますよ。

逆にこれはやっちゃダメ、みたいなのはあります?

大人が先回りして口や手を出すこと(笑)。

ううっ、やってしまいそう……。

せっかく前頭葉が活発に働いているのに、止めちゃダメです。見守ったり、一緒になって遊んで、失敗して、わからないことは一緒に考える場が大切なんですよね。家や街だと親の思うとおりに生活できますが、自然はそうはいかない。親が親然とした姿でなくなる場、この時間もとても重要なんですよ。

 次ページでは、長谷部さん秘蔵の「子どもが食いつく外遊びグッズ」と、外遊びで起こりがちなトラブル、注意点、子連れファミリー必携の応急処置セットなどについて解説してもらいます!

虫眼鏡は観察力アップのほか
じつは子どもの休憩にも役立つ

これが僕がフィールドに持ち出す子どもたちの「遊び道具」です。

これは大人でも楽しめそうですね。

虫眼鏡や拡大鏡など、観察系が多いですね。右上の黒いのは単眼鏡なんですが、その左のプラスチックのものを装着すると拡大鏡にもなります。その下にあるのは虫や、水と一緒に小魚を入れるなどして生態を観察するケース。

動き回る子どもってこういうのも興味あるんだ。

そう、そこがポイントなんです! 子どもは基本ワイドビューで世界を見ているので、虫眼鏡など枠のなかをのぞくと一点に意識が集中しますよね。これで観察力が高まるというメリットもあるんですが、じつは休憩させるためでもあります。

じっとさせるってことですか?

そうそう。子どもって遊びに夢中になると全然休憩しないんですね。汗をたっぷりかく夏なんかは脱水症状の心配もあるので、ときどき休憩させるためにこういった道具を使うといい。アクティブに遊ばせることはいかようにもできるけど、こういった便利な小物を用意しておくと親もひととき休憩できます(笑)。

100均の虫眼鏡でもいいのかな。

充分充分! 枠があってのぞければなんでも大丈夫です。大人も楽しめる、ちょっとこだわった道具なんかはビックカメラやヨドバシカメラなどにある観察系の専門コーナーがおもしろいですよ。

 

ケガをさせないという親のスタンスは
子どもの成長の抑制になってしまう。

こっちは応急処置セット?

そうです。これは、すぐ死ぬかもしれないという状況から骨折までに対応するシビアな場面で使う応急処置セット。人工呼吸用のポケットマスクや固定具、直接血液に触れないための手袋などです。

 

これはできれば使いたくないヤツですね……。

今回のような子どもを外で遊ばせるシチュエーションでは、もうひとつの僕のセットの方が参考になると思います。軽度のケガなどに対応する応急処置セットですね。ばんそうこうや、体温計、ポイズンリムーバー、塗り薬、状況を書き留めるメモ帳、常備薬(自分用)などですね。

 

真ん中にあるペットボトルのキャップは何に使うんですか?

あ、これは洗浄用。キャップの真ん中に小さな穴を開けていて、ペットボトルに装着して水を押し出して使います。水圧で擦り傷や火傷など、ケガの患部を洗浄するんですよ。水って持って行ける量に限りがあるので、水圧で洗い流せば水が少量で済む。

なるほど! これは使えるアイデアですね~。そのお隣は私が先日取材したキップパイロールですね。長谷部さんも普段から使っておられる……ということで今回声をかけたわけですが。

 

キップパイロールに関する前回の記事はコチラ

このキップパイロールは、ちょうど子どもが外遊びで何でもやりたい、やってみたいという気持ちの範囲で起こりがちな皮膚トラブルをカバーする軟膏なんですよね。僕は自分や家族、友人用にフィールドで常備しています。

擦り傷とか切り傷なんかに使えますね。冬ならあかぎれなんかにも。

ぶっちゃけ、擦り傷や切り傷って外で遊ばせる以上は起きちゃっても仕方ない、と僕は思うわけです。大事なのは、「子どもの探求心や学びの意欲を削がない」こと。ケガをさせないという親側のスタンスは子どもの成長の抑制になってしまう。

はい。

後遺症が残ったり、人生に影響を及ぼしてしまうケガは親が防ぐ必要がありますが、そうじゃない軽度のものは思い切り自然のなかで遊んで作ってしまったのなら、それはある意味仕方ない。逆にケガによって何が得られたかまで振り返ることが重要だと思います。

里山は公園でもよく見られるギザギザしたあざみの葉や鋭い葉の雑草、皮膚が薄く弱い乳幼児にとって草のこすれやかぶれの原因になることが多いそう。

傷まで行かなくても、小さな子どもは皮膚が薄くて弱いので、露出による草のこすれ、かぶれで肌をかき壊してしまうことも多い。あと、0~2歳児は日焼けが軽度の火傷にもなりやすい。長袖長ズボンで防ぐという手もありますが、熱疲労につながることもあるので状況次第でしょう。

確かに、暑くて長袖なんか着てられるか!という場面はけっこうある。

だから水道から離れた場所で子どもを遊ばせるときは、つねに真水は常備しておいて、飲ませたり、かぶせたり。ケガをしたら穴の開いたペットボトルのキャップで傷を洗って軟膏を塗る、と。

真水、大事ですね。

大事です! 軟膏では、キップパイロールは子どもがひっかいた傷にも塗れるし、靴擦れや股擦れにも使えるから便利です。家で普段から使っている軟膏をそのまま持っていけばいい、という安心感もあるし。

うちも外遊びグッズに入れてみようと思います。

おとなが酔っぱらってストーブでちょっと火傷した!みたいな場面でも使えますしね(笑)。ね、福瀧さん。

なぜゆえ名指し……。

さて、講師として今回をまとめると、子どもにはどんどん自然のなかで遊ばせて、ボディバランスを整え、前頭葉を活発化させ、脳も身体も心もすくすく成長させることが大切!ということです。ささいなキズなどは効果的な軟膏でしっかり治して、また遊ぶ!ですね。

前回、キップパイロールの営業の坂井さんもまさにそう一句読んでいましたね。「大丈夫! ささいなキズにはパイロール」って。忙しがってないで、外にもっと連れていかなきゃあ。

結果的に親子一緒に楽しくアウトドアが楽しめることにつながりそうですしね。

まさに! ぜひお父さんお母さんの経験で子どもたちをいろんな自然のなかに連れていってあげてください。今日登った仙元山のような低山は、幼児期の遊びの宝庫です。そういう場で育ったふたりがどんな男の子女の子になるか楽しみにしています。

磯場遊びも擦り傷や切り傷を作りやすい。放置せず真水で洗い、キップパイロールなど殺菌成分が入った軟膏をすみやかに塗ろう。

キップパイロールに関する前回の記事はコチラ

(撮影=亀田正人、文=福瀧智子)

キップパイロール-Hi
■希望小売価格(税抜き):左¥1,250(40g)、右¥600(15g)
■効能:軽度のやけど、切り傷、すり傷、ひび、あかぎれ、かみそりまけ、日焼け、雪焼けによる炎症
■用法・用量:疾患の程度により適量を患部に塗布するか、またはガーゼ等にのばして貼付

非ステロイド性皮膚治療薬
酸化亜鉛配合
第2類医薬品

★お求めは薬店・薬局・ドラッグストアにて。

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