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梅雨明け、夏山、カミナリサマから身を守る方法。その2.

(2013.07.06)

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真夏の朝いちばん、北アルプスの室堂から見た立山連峰。雄山(右、稜線上のピーク)の上は真っ青な空が広がっていました。でも、真砂岳(左のピーク)の上にあるモクモク、ちょっと気になりますね

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この日、標高3003mの雄山山頂にたどり着いたのは、ちょうどお昼過ぎ。真っ青だった空には、真っ白な雲が次々と沸き上がって来ました。積乱雲のような発達はなく、カミナリサマには遭遇しませんでしたが、ほんの数時間の差で天気はめまぐるしく変わっていきました。山の天気は、刻一刻と動いています。ちなみに、この写真は山頂の雄山神社の社です。(カミナリサマとは関係ありませんが)オレンジ色の御方は、神社の神主さんです。絵になるー!

梅雨明け、夏山、カミナリサマから身を守る方法。その1.から続く)

 では、万が一にも山の稜線で落雷に遭遇してしまったら、どうすべきかを考えてみましょう。その場その場のシチュエーションによることは、まぎれもないのですが、第一に考えるべきは、当然ながら「危うきには近づかぬ」ことでしょう。もし、午後から落雷の予報がなされているなら、予定ルートを変更するか、登山の中止も考えた方がいいかと思います。

 もしくは、山行中に雷の音を聞いてしまったとき。この場合も、要注意です。ちなみに、雷鳴の速さは毎秒340mと言われています。稲妻の光の方は、なんと毎秒30万km。驚くべき速さです。つまり、ピカッと光った瞬間とゴロゴロが聞こえた時間の差が、短ければ短いほど、雷はすぐ近くにあることになります。音の方が1秒間で340mなのだから、5秒で1.7km、10秒で3.4kmです。カミナリサマにとって、この差はなきに等しいでしょう。
 
 そもそも、雷を発生させるのは、積乱雲です。いわゆる入道雲。もしも稜線上で積乱雲を発見したら、その雲がどの方向に動いているかを確認することです。自分が風下にいて積乱雲が近づいてくるようなら、急いでエスケープするべきです。山小屋が近くにあるのなら、すぐにでも逃げ込みましょう。

 ちなみにカミナリサマは、おへそには興味はありません。雷の性質をちゃんと理解できていれば、被雷の危険を軽減することもできるはずです。一般的には「身につけた金属類を外す」ことが、有効な手段だと思われていますが、実際の雷はそんな悠長な選択をしないそうです。金属を身に付けていようが、付けていまいが、落ちるときは落ちると考えていた方が無難でしょう。

 金属よりも「周囲よりも高いところ」「尖ったもの」などに雷は吸い寄せられる傾向があるようです。なので、山の稜線や山頂なんかはとても危険な場所なんですよね。また、ザックに付けたストックも同様です。ストックの先はまぎれもなく尖ったものですし、稜線に立っていれば、周囲の土地よりも高いのは自分のストックの先以外にはありませんから。

 稜線でなくとも危険はあります。森のなかの高い樹木の近くも危険です。たとえ、木の幹から離れていても、膨大な電気は、樹頂から枝葉を通して放電しながら、ときに空中をも飛び越して、地面をめざします。なので、大樹の下はもっとも危険な避難場所のひとつとも言えるのです。

 近くに小屋もなく、岩屋もないなど逃げ場がないときは、身体から尖ったものを遠ざけて(つまり、ザックを下ろして)、仲間同士の間隔をあけ、小さくかがみ込んだ姿勢を取る必要があります。両足を閉じて膝を抱え、できるだけ小さくなって雷をやり過ごしてください。必要なのは、身体のなかに通電のルートを作らないことです。

 たとえば、立ったままの姿勢でいると、頭から心臓を通過した電気が足元へと流れていってしまいます。また、寝そべっていたとしても同様です。電気は天地左右どの方向へも飛び出していきますので、一方から一方へと電気が突き抜けるような姿勢は、逆効果となってしまうのです。でき得るかぎり身体の表面積を小さくして、頭を低く、地面への設置面を極小にすることがポイントとなります。
 
 カミナリサマはそうそう長くは怒っていません。発達した積乱雲のうちでも、雷を発生させるほどのパワーはそう長くは持続しないと言われています。長くとも30分程度ということなので、その間さえ耐えられるなら、最悪の事態は避け得ることでしょう。

 ともあれ、何度も言うようですが、「危うきには近寄らず」がベストの選択かと思います。最近の天気予報は、かなり充実しています。雷予報もピンポイントで知ることもできるでしょう。自分の登る山がその日一日、どんな状況にあるのかを把握することを、ぜひ心掛けてくださいね。

 楽しい夏山が悲劇にならないことを祈りつつ。

 
 
ライター
tetsu

山岳•アウトドア関連の出版社勤務を経て、フリーランスの編集者に。著書に『テントで山に登ってみよう』『ヤマケイ入門&ガイド テント山行』(ともに山と溪谷社)がある。

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