- 山と雪
ヒマラヤで展開された史上最も困難な山岳救出活動を描いたドキュメンタリーが今秋に公開予定
2014.01.27 Mon
滝沢守生(タキザー) よろず編集制作請負
一人のベテラン登山家の危機に、命を顧みず救助に向かった世界各国の著名な登山家たち。その数年後に再び彼らを訪ね、山と向き合う心構えや死生観など貴重な証言を記録した本格派ドキュメンタリー映画『アンナプルナ南壁 7,400mの男たち』(原題「Pura Vida/THE RIDGE」)が今秋、全国公開される。
1950年、人類が最初に到達した8000m峰アンナプルナは、ネパール・ヒマラヤの中央に位置し、最高峰でもあるⅠ峰は8,091 mで、世界に14座ある8000m峰のなかで10番目に高い。これまでに、頂上に至るいくつかのルートが拓かれているが、なかでももっとも困難なルートが南壁である。
アンナプルナ南壁は、1970年代に早くから8000m峰のバリエーションルートとして開拓されてもなお、その美しいラインから多くの挑戦者を迎え、数々の栄光と悲劇の舞台となってきた。なかでも、2008年5月、スペインのベテラン登山家イナキ・オチョア・デ・オルツァが、南壁を登攀中に重度の高山病に襲われるという危機的な状況に陥り、同行者のホリア・コリバサヌがSOSを発した。すると、その報をBCで受けた世界10ヶ国、12人の登山家たちは、その困難きわまりない南壁へ救出活動に向かったのだった。この救出活動に参加した勇気ある登山家たちに対して、2009年、登山界のアカデミー賞と言われる栄誉であるピオレドール賞が特別賞(The Sprit of Mountaineer award)を与えた。
本作はその史上最も困難とされるヒマラヤ8000mでの救出活動を描いたドキュメンタリーであり、この救出活動に参加した12人を世界各国に訪ね、当時の貴重な映像を織り交ぜながら、当時の救出活動を振り返る。そのなかには、昨年10月に3回目の挑戦の末、ようやくアンナプルナ南壁の単独登攀に成功した世界最速最強のスイス人登山家、ウエリ・シュテックもいた。
本作には、山で命の駆け引きをする登山家たちのゆるぎなき信念とともに、心を揺さぶるほどの生命の尊さが息づいている。
『アンナプルナ南壁 -7,400mの男たち』
秋、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー
監督・脚本:パブロ・イラブ, ミゲルチョ・モリナ
制作総指揮:イゴール・オーツォア
出演:イナキ・オチョア・デ・オルツァ、ウエリ・シュテック、ホリア・コリバサヌほか
スペイン映画/81分/ステレオ/2012年/英語・スペイン語・ロシア語・ネパール語
www. 7400-movie.com
配給:ドマ 配給協力:スターサンズ