- 山と雪
移住を見据えて現地で遊んでみる、という選択。「親子で移住体験ができる無料現地交流会」開催レポート
2023.03.02 Thu
林 拓郎 アウトドアライター、フォトグラファー、編集者
2023年1月にご紹介した南魚沼市の「親子で移住体験ができる無料現地交流会」は、現地一泊二日の雪国生活体験会。滑り好きの親御さんを対象に移住を踏まえた施設見学をしながら、バックカントリーツアーを開催。その間はお子さんも雪遊び体験ができますよ、という夢のような募集内容だった。
南魚沼市の雪山の麓で滑って暮らす移住体験をしてみた
さてさて、それでは実際に開催された二度の体験会はどうだったのか? といえば! これが、聞くだに羨ましい二日間だったのだ。
会場となったのは八海山スキー場(1月21日・22日)と、舞子スノーリゾート(2月18日・19日)。両日とも冬真っ盛りとあって雪のコンディションは最高。とくに八海山では時折晴れ間ものぞく好天にも恵まれ、バックカントリーツアーに参加した親御さんたちのテンションも上がりっぱなし。
第一回の八海山スキー場には6組の親子が参加。ふだんから雪に親しんでいる家族も多く、みなさん着こなしはバッチリ。
参加した親御さんの多くは滑ることに親しんでいたものの、なかにはバックカントリーがはじめてという人も見られた。が、そこはビギナーの案内に長けたガイドさんたちが優しくサポート。移住と雪、という共通の話題があるだけに、ほかの参加者との会話もはずみ、やがてリラックスした表情で新潟の柔らかい新雪を楽しんでいた。
子どもたちをスタッフに預けたら、親御さんたちは30分少々という軽めのハイクアップでバックカントリーへ。こうした短いハイクで爽快なパウダーを楽しむことができるのも、南魚沼の大きな魅力だ。
また、最初は人見知りをしていた子どもたちも、雪を目の前にするとじっとしていられなくなった様子。託児施設での経験があるスタッフたちに導かれて、スキーやスノーボードを体験したり、ソリで遊んだり。やがてほかの子どもたちとも友だちになって、最後は雪合戦で雪まみれになるというはしゃぎっぷり。
親御さんがバックカントリーを楽しんでいる間は、遊ばせ上手なスタッフが子どもたちをサポート。打ち解けてしまえば、子どもたちも大はしゃぎ。
スケジュールのなかには、親子でスキーやスノーボードを楽しむ時間も設けられている。親子それぞれの時間も、いっしょに楽しむ時間も、同じように大事にしてほしいという思いからだ。
その姿を見て「うちの子がこんなに元気に走り回るのは珍しい」とおどろく人もあったほど。子どもたちには、ふだんとはちがった環境のなかで遊べる貴重な体験となったようだ。
さて、こうした雪の楽しさを確認したあとで開催されたのは、移住に関するディスカッション。移住となると問題になるのは仕事や住居だが、育児環境も気になるところ。教育施設や医療施設、そして行政の支援など、細かな部分までが話題にのぼり、移住を現実的に見据えた意見交換が行なわれた。
滑り慣れている子どもたちは、スキーやスノーボードを思い切り楽しんでいた。
参加者のなかには「いままで、住む場所は仕事や学校に合わせて決めてきました。けど、家族のライフスタイルに合わせて暮らす場所を選ぶ。そんな生活設計もありうるし、一歩踏み出せばそれを実行に移すこともできるんだと思いました」と語る人もいた。
いきなり移住するのではなく、まず行ってみる。そして少しずつ情報を集めてみる。そうした、ゆるやかに移住の準備を進める人には、こうしたイベントこそが役立つのではないかと思えたのだった。