• 山と雪

来年のオリンピックに向けてめざすピークと安政二年創業の老舗茶屋。五輪山〜子ノ権現〜浅見茶屋

2020.06.23 Tue

吉野時男 ヨシキ&P2

「五輪山」というピークがあることをみなさんはご存じですか?

 今年は子(ねずみ)年なので、子ノ権現へ参拝しに行こうかな~と歩くルートをいくつか検討しているときに見つけてしまったんです! 五輪山って、まさにオリンピックのためのピークじゃないですか!!

 地図を見ると伊豆ヶ岳の隣のピーク。ちょっと歩くのにちょうどよさそうだったので実際に行ってきました。

正丸駅

 奥武蔵の山は西武線の駅からすぐに歩き出せる山が多く、一日予定が空いて、どこかゆっくり歩きに行きたいな~、なんてときに私はよく来ます。今回のルートもまさにそれ。西武秩父線の正丸駅から歩きだせるルートになります。

 電車で行く場合は、7:05池袋駅発の快速急行長瀞行に乗れば、池袋から乗り換えなしで正丸駅に8:29着ととても楽ちん(※土日ダイヤの場合)。改札を出てから左を見ると行き先を示す道標がすぐ目に飛び込んでくるので、そこから階段を下りて歩き出します。

伊豆ヶ岳 子ノ権現

 最初は里山らしい舗装路をしばらく歩きます。歩いていると冷えた体がゆっくりとあたたまっていき、ちょうどよいウォーミングアップに。

 体がしっかりとあたたまったころに登山道へ入ります。しばらくは緩やかな上り坂。

 誰もいない冬枯れの森の道をゆったりと歩いていると、頭の中でなぜか「静かな湖畔の森の陰から~……」とリフレイン。湖畔でもなければ、カッコウも鳴いていないのに……。この後、ピークにたどり着くまでの間、ずーっとこのフレーズが頭から離れませんでした。

伊豆ヶ岳

 リフレインするフレーズはさておき、長岩峠への分岐を過ぎてしばらく行くと徐々に道は急な上り坂へ。木漏れ日の落ちる登山道を、時折足を止めながら写真を撮り、息を整えてまた歩き出す。この繰り返しで少しずつピークへ向かいます。

 急な上り坂を登っていくとピーク手前で左にそれる道との分岐が現れます。その分岐を左に行くと伊豆ヶ岳へ向かう道となることから、この左の道を進む人が多いようです(五輪山を巻き、後述の男坂・女坂に出ます)。ただ、この上のピークが実は五輪山。正丸駅から伊豆ヶ岳への道を歩いている人は多いと思いますが、この上のピークに立つ人は意外と少ないのではないでしょうか?

 オリンピックまでには必ず寄りたいピークですよね! 間違わずにぜひ寄って行きましょう!!

五輪山

 さて、五輪山を過ぎるとすぐに男坂と女坂の分岐が現れます。男坂にはトラロープが道をふさぐように張られていて「落石危険」の看板があります。落石が発生しやすいので事故を招く恐れがあり女坂をご利用ください、となっている。パッと見、普通に登れそうではありましたが、今回はゆっくりがテーマなので、素直に看板のいうことに従い女坂へ。

 ところが、昨年の台風の影響で女坂も崩れている部分があり、結局、女坂でもない巻き道で山頂へ行きました。巻き道もしっかりとしていて歩きやすく、特にこわいところはありません。

 まき道を上がりきると男坂の道と合流。男道は上から行く道もトラロープでふさいでありました。ここまでくると少し広くなり、すぐ伊豆ヶ岳の山頂になります。

 伊豆ヶ岳は、天気がいいと伊豆まで見えるということから伊豆ヶ岳と呼ばれるようになったといわれています。以前来たのは、もう15年以上前だったのですが、展望がいまと変わってしまっていました。そのときの方が、展望が開けていて遠くまで見渡せたように感じたのですが、おそらく木々が成長して見通しが少し悪くなってしまっていたのが原因なのかな~、と思います。

 ただ、枝の間から遠くの山々が見えるので、気持ちがよい場所なのはまちがいありません。

伊豆ヶ岳

 ここで少し休憩をした後、子ノ権現をめざして歩きはじめました。伊豆ヶ岳から子ノ権現までは古御岳、高畑山、中ノ沢ノ頭の3つのピークを登っては下る縦走路。低山ではあるのですが、歩きごたえのあるルートです。足腰の健康を祈るためにここでしっかり歩いておくのです。

古御岳

高畑山

中ノ沢頭

 天めざ峠でいちど舗装路に出ると、そこから少し登り返しをし、しばらく歩くと子ノ権現へ到着。ちなみに、子ノ権現は本尊である「子ノ聖大権現」の通称で、お寺の正式名称は「天台宗大鱗山雲洞院天龍寺」といいます。ここは古くから足腰守護の神仏として信仰を集めていて、現在は登山を楽しむ人がお参りに来ることも多いようです。

 今年も山をしっかりと歩けるようにお参りをして、わらじの形をした可愛らしい「足腰守り」を家族分授かってきました。

子ノ権現 子ノ聖大権現 天台宗大鱗山雲洞院天龍寺 わらじ

子ノ権現 子ノ聖大権現 天台宗大鱗山雲洞院天龍寺 わらじ お守り

 このルートのもうひとつの大きな楽しみは安政二年に創業した老舗の茶屋「浅見茶屋」。知る人ぞ知る武蔵野うどんの名店です。古民家Caféとしておいしい甘味も絶品。この日注文したのは「肉汁釜揚げうどん」と「天草きなこ黒みつアイス」です。

 肉汁釜揚げうどんは、風情ある竹の入れ物に盛られたあたたかいうどんに、肉の出汁がよくしみているつけ汁につけて食べるつけ麺タイプのうどんです。いちばん人気というだけあって、お肉もうどんもめちゃめちゃおいしくて、人里から少し離れた場所にあるにもかかわらず、このうどんをわざわざ食べに来る人が絶えないのもうなずけます。

 デザートで頼んだ天草きなこ黒みつアイスは、アイスもきなこも黒蜜もおいしいですが、なんといっても天草から作った寒天がうまい! プルプルの触感と口の中でとろける感じが何とも言えません。またこれだけ食べに来てもいいかなと思えるぐらいの一品です。

浅見茶屋

浅見茶屋 肉汁釜揚げうどん

浅見茶屋 天草きなこ黒みつアイス

 今回歩いたルートはアップダウンがあり、歩きごたえのあるルートです。これから春にかけては、ツツジや山桜が咲き乱れ、新緑がまぶしい時期。このルートはツツジや山桜以外にもたくさんの花があり目を楽しませてくれます。

 心も体もお腹も満たされる奥武蔵の人気ルート、ぜひ行ってみてはいかがでしょうか?




■ルート[歩行時間目安]
正丸駅→[1時間30分]→五輪山→[15分]→伊豆ヶ岳→[20分]→古御岳→[30分]→高畑山→[20分]→中ノ沢ノ頭→[20分]→天めざ峠→[50分]→子ノ権現→[50分]→浅見茶屋→[50分]→吾野駅
歩行時間計:5時間55分

■浅見茶屋

安政2年(江戸時代、1855年)に建てられた古民家を利用して営業している古民家café。昭和7年(1932年)からうどん屋として開業し、現在はうどんの他に手作りの甘味も提供している。昔懐かしい雰囲気が漂う中で味わううどんと甘味は格別。

営業時間:11:00~16:00ごろ
定休日:毎週水曜日・第4木曜日(注意:水不足の影響で臨時休業もあり)
電話番号:042-978-0789
住所:埼玉県飯能市大字坂石1050番地
オフィシャルサイト:https://asamichaya.jp/
※新型コロナ感染防止に伴い、当面は平日の月・火・木・金のみの営業。席数を減少。行かれる際は事前に営業確認をしてください。
(2020年6月23日(火)現在)

吉野時男 ヨシキ&P2

千葉のアウトドアショップ「ヨシキ&P2」のなんでも屋スタッフ。仕事も遊びもジャンルを問わずなんでも楽しむ欲張り者。最近は写真を撮る事も楽しむようになり、シビアな環境でもカメラを持っていき、ふつうの人では撮れないシチュエーションの写真を撮るべく修行中。

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