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米国と54年ぶりの国交回復。今、キューバ映画と音楽が熱い!

(2016.02.13)

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キューバのジャズ映画「Cu-Bop」は、困難に直面しながらも、それをものともせずに、自分の音楽を演奏し続けるキューバのミュージシャンたちを記録したドキュメンタリー作品だ。

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音楽への熱い想いを抱いた2人が繰り広げる熱いライブが、キューバの人々の心を動かしていく…キューバが舞台となる自主制作映画でありながら、国交断絶中の米国・ロサンゼルスでワールドプレミア上映が行われる快挙を達成した。

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「ボデギータ」は、下北沢駅から徒歩約8分。キューバの酒と料理と音楽を楽しむコロニー風酒場。キューバ音楽のライブやトークショーも行なわれている。また、キューバ旅行のエージェント「トラベル・ボデギータ」も運営している。

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東京国立近代美術館フィルムセンター「キューバの映画のポスター展」は3/27まで開催。2月中の土曜、日曜は館内の小劇場でレアなキューバ映画を2本ずつ上映している。観覧料520円と格安。

 キューバのジャズ・ミュージシャンを追ったドキュメンタリー映画「Cu-Bop」の試写用DVDが届いた。2月13日から1週間、阿佐ヶ谷の小劇場「ユジク」で公開される。さっそく観てみると噂に違わずいい。クラウドファンディングで支援者を募り、総予算は300万円。2014年にまずアメリカで公開され、草の根的に噂が広がり、今回が日本での12回目の公開だ。

 国を捨ててアメリカに渡ったひとりの天才ピアニストがいる。ニューヨークのハーレムでの暮らしは極貧。だが、明るくジャズシーンを生きる。一方、キューバに残ったミュージシャンも貧しさは変わらない。そして、彼らは祖国でセッションを企てる。しかし、国際情勢は、一度アメリカに渡った男を簡単にはキューバに戻さない。映画スタッフは彼を支援する。苦労の果て、セッションが実現した。たった1回だけ……。

 先日、監督の高橋慎一さんに会った。高橋さんは、監督だけではなく、制作、脚本から撮影まで全部ひとりでやってのけてしまった。そもそも高橋さんは、2001年からキューバ音楽のオリジナル音源を制作するレコードレーベル‘Kamita Label’を主催。プロデュース作品が、キューバ音楽界のグラミー賞《CUBADISCO2006》のベスト・ジャズ部門にノミネートされるなど、世界中のラテン音楽ファンから注目される存在でもあった。

 会ったのは下北沢の「ボデギータ」というキューバの料理と酒と音楽の店。店のオーナーの家族、清野史郎さんはキューバ専門のトラベル・エージェントの代表でもあり、店はさしずめキューバ情報の巣窟だ。史郎さんの父親は通信技師で、どうしたわけかキューバ・ミサイル危機の緊張も冷めやらぬ1964年、キューバに渡った。史郎さんは4歳だった。一家は9年後に日本に戻り、その後「ボデギータ」を始めて30年あまり。高橋さんは、この店で貴重な現地情報を得ながら映画を作ったという。 

 また、現在、東京国立近代美術館フィルムセンターでも、キューバ映画のポスター展とキューバ映画上映会を開催している。まだまだ寒いこれからの季節、熱いキューバの音楽とカルチャーにどっぷりと浸るのはいかがだろう。
(文=藍野裕之)

『Cu-Bop CUB〜New York music documentary』
監督・撮影・編集:高橋 慎一  
2014年/日本・キューバ/カラー/107分
上映期間:2/13(土)〜19(金)12:40〜
東京・阿佐ヶ谷「ユジク」で公開中。
一般1,500円/学生1,300円/会員1,200円/小学生以下800円
 

高橋慎一(たかはし・しんいち)
東京工芸大学卒。1990年代から、写真家/ライターとして活動を始める。キューバには1995年から訪れ取材活動を行ない、キューバ音楽・文化に関する書籍を3冊出版している。2000年にKamita Labelを設立し、キューバ音楽のプロデュースを開始。本作『Cu-Bop』が初監督作品となる。

 
 
ライター
藍野裕之

(あいの・ひろゆき)1962年、東京都生まれ。文芸や民芸などをはじめ、日本の自然民俗文化などに造詣が深く、フィールド・ワークとして、長年にわたり南太平洋考古学の現場を訪ね、ハワイやポリネシアなどの民族学にも関心が高い。著書に『梅棹忠夫–限りない未知への情熱』(山と溪谷社)『ずっと使いたい和の生活道具』(地球丸刊)がある。

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