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「そんなに雪が好きなら住んじゃうのはどう!?」南魚沼市の移住体験イベントがスノーバムを狙い撃ち!

(2019.03.19)

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スノーバム安住の地はどこだ!?
秋風が吹けば気もそぞろ。降雪があれば我先に山へとかっ飛んで行くスノーバムたち。

そんな雪まみれの人生を送りたい人たちに狙いを定めて移住体験イベントを行なっているのが豪雪の町、新潟県南魚沼市だ。

「いい雪が降れば、仕事前に1本滑ってから出社するのが当たり前。この町に移り住めば、ノートラックの斜面を滑り放題ですよ」

そう話すのは、南魚沼市の市議会議員の永井拓三さん。じつは永井さんも東京からのIターン。極上の雪を求めて南魚沼市へと移り住んだという。

「どれだけ雪が好きな人でも、いざ移住となれば人生の一大事です。南魚沼市ではあと一歩を踏み出せない人のために雪を愛する人へ向けた移住体験イベントを展開しています。山を滑るついでに、町での暮らしぶりを見てもらい、いつか移住につながったらいいなと、双方構えずに参加できる仕組みを作りました」

南魚沼市が展開する移住イベントは東京と現地の二段構え。東京でのトークショーの観覧者のなかから希望者を募り、現地でのBCツアーと町内視察を行なっている。そして3月5日と16日に、この春3度目となるイベントが開催された。

スノーカルチャー根付く南魚沼市
3回目となる東京のイベントが開かれたのは東京渋谷のイベントスペース「SLACK渋谷」。登壇したのは、日本のスノーカルチャーを追い続けて来たカメラマンにして「Stuben」の制作にも携わる渡辺洋一さんだ。

 少年時代からスキーに取り組み、競技スキーを経てカメラマンになった渡辺さん。南魚沼市との関係も長く、スノーカルチャーを伝える『Stuben』の第3号では、スノーカルチャーの根付く町として南魚沼市を特集した。

世界のスノーリゾートを見て来た渡辺さんいわく、南魚沼市は雪とスポーツの距離が近いという。

「海外や国内のスノーリゾートと比べて、南魚沼市が良いのは生活のなかにスキーやスノーボードがあること。私が暮らす北海道のニセコでは、海外旅行者向けのサービスが進んでリフト券や飲食も海外のレベルになっている。その点、南魚沼市は、この土地に暮らす人が無理なく暮らしのなかで雪を楽しんでいますよね」

「リフト券も比較的安価で、毎週末ジュニア向けのスクールが開かれる。そして、滑ろうと思い立ったら20分後には美しいブナ林のバックカントリーにアクセスできる。しかも、そこまでの道はきれいに除雪されている。これだけ手軽に、深い自然のなかに入れる環境はそうはありません」

国内外のスノーリゾートと南魚沼の自然を見比べたあとに登場したのが、南魚沼産コシヒカリのおにぎりと、南魚沼の水で仕込まれた地ビール。トークショーに引き続いては、南魚沼市の食を楽しみながらの懇親会へと突入!

 雪の魅力だけでなく美食でも参加者の胃袋をつかみにきた南魚沼市。世界に誇る南魚沼産米はさすがのお味。

 初対面同士でもそこは雪を愛する者同士。あっという間にあちこちで話に花が咲く。
 地ビールは南魚沼市で作られた「STEEP LINE BREWING」。材料にはリンゴも使われ、爽やかな香気が鼻に抜ける。

「南魚沼には先輩が住んでいて、たまに遊びに行っています」という人がいれば……。

「八海山が好きで、シーズン中は毎週滑りに行っています」という猛者も。「若い頃は日没までしゃかりきに滑りましたが、最近は八海山にいるだけで嬉しい。先週はリフトで頂上に登って1時間くらいぼうっとしてきました。来週も、八海山に行きます」とのこと。

懇親会で配られたのは、八海山のプライベートエリアを滑るBCツアーの無料参加申込書。東京説明会の参加者から15名が現地へと招かれた。

総延長4.5Km!八海山BCツアー
3月16日、プライベートツアー参加者が集合したのは八海山ロープウェイ。現地の受け入れは「TRIFORCE」。「TRIFORCE」は八海山ロープウェイと契約し、ロープウェイに近い自然林をプライベートエリアとしてBCツアーを行なっている。

このプライベートエリアの魅力は、終点がロープウェイの駅の近くなので、ハイクアップなしで何度でも滑走を楽しめること。体力を滑ることだけに集中できる。ところがこの日は、前日が生憎の雨。状態のよい別コースを滑ることになった。

「昨日の午前はとってもよかったんですけど、そのあと気温が4度も上昇しちゃいました……。プライベートエリアはいまひとつなので、今日は雪質がよい斜面へと滑り降ります。距離にしておよそ4.5km。安心してください、ハイクアップはほとんどありませんよ〜」とはガイドのミナさん。

 南魚沼市役所からは、ときめき課まちづくり班の清水さんが随行。スキーはお手の物だが、じつはバックカントリーは初体験。ちょっとドキドキ。
 ロープウェイで頂上付近へ上がったら、西側の斜面へと滑り降りる。麓では心配された雪質も頂上付近では上々。スノーボード、テレマークスキー……と、それぞれの道具で斜面へと飛び込んでいく。



 ときには尾根を回り込みつつ、雪の多い谷を繋いでいく。眼下に広がるのは雪解け間近の南魚沼の町。

 民家の脇へと滑り出たら、迎えのバスに乗って昼食へ。向かったのは、南魚沼の食材を使った素朴な料理で人気の農家レストラン「まつえんどん」。

変わった店名の由来は昔ながらの「屋号」。同姓の多い南魚沼市では今も屋号が現役だという。まつえんどんの店主もUターン組。南魚沼に帰郷して、お米と野菜を作りながらレストランを営んでいる。

待機児童ゼロ! 病児保育も充実
昼食のあとは南魚沼の町の視察へ。最初に訪れたのは認定こども園、学校、病院がコンパクトにまとまった大和町地区だ。

大和町地区は南魚沼のなかでも人気の地域。中学校、小学校、認可こども園が半径200m以内に集中していているのがその理由だ。しかも、認定こども園の近くには病児保育施設も完備されている。ケアの必要な小児のいる子育て世代には羨ましい環境だ。

「現在、南魚沼市は待機児童数がゼロ! 希望すれば、どこかの園には入園することができます。ここのエリアは市内でも特にグローバルな環境で、国際理解教育には最適です。浦佐認定こども園の園児も2割程度は、近くにある国際大学の留学生のお子さんなんです」とは、ときめき課の清水さん。

 浦佐認定こども園は、ドーナツ型の園舎の中央に中庭があるおしゃれかつセキュリティにも配慮された構造。家族でBCツアーを体験した参加者は、魅惑の施設にかぶりつき。

看護師さんは即移住可能
この大和町に近い浦佐にあるのが「南魚沼市立ゆきぐに大和病院」と「新潟大学地域医療教育センター 魚沼基幹病院」。とくに基幹病院は病床数454床の大型の病院だ。

内科、外科、産婦人科など診療科が幅広く、屋上にはヘリポートも装備。手に負えない症状の場合はヘリコプターも使える体制になっている。

「看護師さんの受け入れ態勢は万全。スノボーダーやスキーヤーの看護師さんはいつでもウェルカムです!」と清水さん。全国の雪を愛する看護師さん、いかがでしょう?

母親を孤立させないサードスペースがスーパーに
続いて訪れたのは三国街道塩沢宿「牧之通り(ぼくしどおり)」。塩沢は、関東と越後を結ぶ三国街道の宿場町にして、国の重要無形文化財である「越後上布」・「塩沢紬」など織物の産地として栄えた町。一度は郊外型大型店舗に押されたものの、雪国特有の街並みと建築を復元することで再び賑わいを取り戻した。

最後に案内されたのは、国道沿いにあるイオン。「なんでも買えるぞ!」と東京の人にアピールするのかと思いきや、向かったのは店舗の隅に開かれた子育て支援センター。なかでは未就学児と小学生の子供たちが思い思いの遊びを楽しんでいる。

中にはクライミングウォールや遊具も充実。お母さんがたは子どもたちを見守りつつ、井戸端会議に花を咲かせている(※施設内は撮影禁止なので写真はなし!)。

「子育て世代のたっての希望で作られたのがこの支援センター。保育園や幼稚園に子どもを預けていない保護者の方でも、ここにくれば同世代の子育て中の家族と会えるので孤立感に悩まされることがありません。また、外遊びができない季節でも体を動かせる点でも人気になっています」と清水さん。

移住促進継続中!
南魚沼市の移住体験ツアーは、支援センターにて終了。参加者それぞれが、「もしも自分が移住したら……」と思い描いた様子。

「雪で暮らしづらいな、と感じるのは1月頭から2月中旬までのひと月半。今では町中に融雪用の水を出すパイプが敷かれているので、これ以外の時期はメインの道路には雪はありません。東京と新潟をつなぐ三国街道沿いは商店も充実しているし、大型スーパーには子育て支援センターも併設。小さなお子さんのいる子育て世代でも、雪に降り込められて気が塞ぐなんてことはないと思いますよ」とは清水さん。

「南魚沼市では移住促進をさらに進めるために、地元企業から欲しい人材を聞き取りして、都市に住む人とマッチングを図るイベントも企画しています。市のサイトの『移住定住ページ』では移住に役立つ情報を随時更新しています。南魚沼への移住に興味がある方は、ぜひのぞいてみてください」

教育、福祉、移住者の肉声、地域おこし協力隊の受け入れそのほか、移住情報が充実!

 
 
ライター
藤原祥弘

野生食材の採集と活用、生活技術につながる野外活動などを中心に執筆とワークショップを展開。twitterアカウントは@_fomalhaut

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