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都会よ、さようなら~地方をめざすアウトドアピープル向け、移住地探しのツボ。

2022.09.25 Sun

大村嘉正 アウトドアライター、フォトグラファー

 リモートワークの普及、災害時の大都会の脆さなどで、地方移住を考える人がめずらしくない昨今。自治体が積極的に移住支援策をとるようになり、縁もゆかりもない田舎でも移住のハードルは低くなっている。
地域の環境や移住例など、具体的な移住情報を発信する自治体は増えた。
 しかし、気軽になったからこそ思慮深くありたいのが、移住地情報の使い方。ここでは、とくにアウトドアピープル向けのツボを紹介しよう。

自治体発信の情報の落とし穴
 各自治体の移住情報サイトでは、地域の魅力や先輩移住者の事例などを発信している。しかし、その内容はたいてい自治体の範囲内のみ。たとえ自転車で30分の近所であっても、行政の境界の向こうの魅力は宣伝しないものだ。

 では、調べる地域の範囲を広げると――地方といっても、いろんな環境があることが見えてくる。
ガチ田舎の限界集落にするか、まあまあの自然の田園地帯か……田舎暮らしにもいろいろある。画像は高知県大豊町。

 たとえば、
「すばらしい自然のなかにあるが、他の地域へ行くのは難儀な田舎」
「自然に恵まれた暮らしができて、なおかつ他の地域の自然や町へのアクセスもよい」
「人口が多い地域にも大自然にもほぼ等距離にある、ほどよい田舎」
「人口が多く公共・商業施設も充分ある地方都市だが、車で約1時間行けば大自然がある」
などだ。

自然も便利さも、いいとこどりの地域も
 いくつか具体例を紹介しよう。

■香川県観音寺市
 移住情報サイト『観音寺市で暮らしませんか』による市の環境はこんな感じ。

・田舎だけど都市機能もあり便利。特急列車の停車駅や高速道路ICもある。
・日本の夕日100選の、遠浅で白砂青松の浜がある。

 暮らしには便利だけど、いろんなアウトドアを思いっきり楽しめる日々はあまり見えてこない。
日本の夕日100選、観音寺市の有明浜。
 しかし、周辺自治体の情報にも目を通せばこうだ。

・ロードバイクで快走できる荘内半島(隣の三豊市)へ自転車で20分。
荘内半島からみた塩飽諸島。
・シーカヤックで島めぐりができる塩飽諸島へのフェリー港(多度津町、丸亀市)まで車で30~60分。
・カヤックやラフトでの急流下りのメッカ、大歩危小歩危峡まで車で1時間(三好市)。
大歩危小歩危峡。
・子どもの川遊びにも最適な清流・穴吹川へは車で1時間前後(美馬市)。
・日本百名山の剣山をはじめ、四国山地の1000m峰の登山口まで車で1~2時間。
穴吹川。
■徳島県つるぎ町
 移住情報サイト『さとやまとくらす』から読み取れる市の環境はこう。

・高校までの教育環境や総合病院など、田舎だが日常生活で困らない程度の公共・商業施設はある。
・剣山など四国山地の登山や、清流で川遊びできるなど、豊かな自然環境が自慢。
剣山から延びる尾根。1~3泊のバックパッキングに最適。
 しかし、意外にも都会や他の地域へのアクセスがよい地域なのだ。

・高松空港(香川県)へは車で約1時間。
・人口約42万人の高松市(香川県)の都市部や瀬戸内海まで車で1時間半。
屋島から見た高松市街。
 アウトドアピープル的移住地探しでは、移住候補地だけでなく、周囲の自治体の移住情報や自然環境もチェックしたい。自治体の境界に縛られず、移住情報の荒野も自由に彷徨しようではないか。

(文・写真=大村嘉正)

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