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この一足で海、川、島へ。街と水辺をつなぐ両生類サンダル。メレル「チョップロック シャンダル」

(2019.06.06)

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 フェス、島旅、川遊び……。雨に降られたり、足元を濡らすかもしれない夏の外遊びにはサンダルが欠かせない。

 とはいえバックパックひとつで出かける旅では、荷物は少しでも減らしたい。快適に歩けるトレッキングシューズを履いていくか、それとも思い切ってサンダルだけで出かけるか……。

 そんなときに、一足で全てを済ませられる靴(というかサンダル?)が現れた。メレルの「チョップロック シャンダル」だ。

大人向けモデルが「チョップロック シャンダル」キッズ向けは「ハイドロ チョップロック シャンダル」。モデル詳細は後述。
「シャンダル」とは、シューズとサンダルをハイブリッドした、陸上と水中を隔てなく楽しめるフットウェアの1ジャンル。従来のウォーターシューズよりもトレランシューズに近いデザインなので、舗装路も歩きやすく街中でも違和感がない。

 それでいて、サンダルのようにサイドに大きな開口部があるので、通気性と開放感は抜群。家から履いて出かけて、水の中に入り、そのまま帰宅する、なんて夏の遊びにぴったりだ。

 面白い靴が登場したな、と思ったら今季のメレルのサイトには「ハイドロ ハイク」なるカテゴリーができていた。対象とする遊びのイメージは「リバートレッキング」、「キャニオニング」、「ラフティング」とかなりアクティブ。ハイドロ ハイクは川を本気で歩き、泳げる靴のラインということだろう。

 これは元ラフティングのガイドで現釣り師としては放っておけない。その性能を確かめるべく、郊外のちょっといい川へ息子と一緒に繰り出した。

 父子の足元はこんな感じ。一般のウォーターサンダルよりソールがしっかりしており、デザインも履き心地もほとんどトレランシューズだ。林道の砂利道でも突き上げは感じず、靴の感覚で歩ける。

 水遊びメインの我々は素足に合うサイズを選んだけれど、タウンユースが多い人は靴下を履いた状態で選んだほうがよいだろう。

 そのまま川へ降り、目当てのポイントまで川を遡る。沢登り未満の川歩きならまるで不安はない。こんな川遊びはもちろん、里川での渓流釣りなら十分こなせそうだ。

 ポイントに着いたらガサガサを開始! ガサガサとは草の茂みの影に網を構え、足で魚を追い込む漁法。追い込む際に水中木の枝や石に足がぶつかるので、ストラップ式のサンダルでは心もとない。その点、チョップロック シャンダルは足の全面が覆われているので不安感がない。アブラハヤやウグイ、ヨシノボリといった面々を捕獲。
 こんな遊びに使う靴は、つま先が覆われ、かかとがしっかり保持されることが重要だ。ソールにもある程度の厚みがないと、岩の凹凸が足裏に直に伝わる。また、川のなかには古い針金や割れたガラスなどが沈んでいることも多い。本気で遊ぶなら、足元に注意力を奪われない靴が必要だ。

 全力で遊べる靴を息子は気に入ったようだが、実は、大人向けモデルのほうが本気度が高い。

 アウトソールはビブラム社のメガグリップ アウトソール(キッズモデルは搭載なし)。ソールパターンの凹凸は大きく、ソールの凸部が岩の隙間に入って引っかかる。柔軟性が高い素材なので、負荷がかかるとムニっと地面と接触する。見た目よりも実際の摩擦面が広くなるので、岩場でも滑りづらい。凸部の間隔が広いので泥詰まりもしにくかった。

 アッパーは合成皮革とメッシュを合わせた素材でライニングにはネオプレンを採用。そして外側には頑丈なウェビングが配される。印象的なのは水抜けのよさ。水を受けとめるデザインの靴だと、水流の強い場所では足を取られてしまうが、チョップロック シャンダルは水を噛みづらい。

 また、水を貯める素材や構造では一歩ごとのあゆみが重くなるが、チョップロック シャンダルは水中で軽く、水上に足を抜けば即座に水が排出される。

 その秘密のひとつがミッドソールに配された排水管「ハイドラモーフ」。ミッドソールの上面からミッドソールのサイドへと抜ける管をつけることで、靴の中に水が溜まり続けない。つまり、穴が開いているのだ。大胆!

 つま先にはソールと一体になったトゥーガードを装備。柔軟性と厚みがある素材で、石などに足先をぶつけても衝撃が伝わりにくい。行動中によく擦れる部分までラバー素材が覆っているので、格段に耐摩耗性が高くなっている(メッシュ素材が多用されるウォーターシューズでは、つま先上部のメッシュが摩耗して穴が開くことが多い)。

 トゥーガードはできるだけ靴の内部に水を保持せず、それでいてぶつけることの多い親指の上面をしっかり覆う形になっている。この形と材質は、おそらくラフティングのガイドの意見が反映されたものだろう。

 トゥーガードに配されたリブは、ガイドがラフトボートのチューブの隙間に足を入れた際に食いつくように意識されている。そして激流を泳ぐ際につま先を保護する厚みがある。

 このトゥーガードは川遊びや渓流釣りでも活躍する。渡渉などで岩と岩の間に足先を入れて踏ん張る場面で、躊躇なくつま先を岩の隙間に突っ込める。林道を歩いて戻る。長い林道歩きでも靴擦れはおきなかった。歩行感はそのままトレランシューズ。
 川で1日遊び、家に帰ってから気づいたことがある。チョップロック シャンダルは乾くのが早い。帰宅後水洗いして干しておいたら翌朝にはすっかり乾いていた。ソールが水を保持しない構造で、アッパーに水切れのよい素材を使っているからだろう。

 あまり意識されないけれど、この手の靴では乾きが早いことは大切な機能だ。たとえば旅の最終日の前の晩に洗って干しておけば、朝には乾いた靴で帰ることができる。

 この川遊びのあとも、水中と陸上を行き来するような状況で使ってみたが、今のところ問題点は見つけられない。「水辺のオールラウンダー」としての完成度はかなり高いと思う。使用感をひと言で表現すれば、水切れがすごくいいトレランシューズといったところか。

 チョップロック シャンダルは、身軽に島旅やフェスに出かけたい人には軽快なシューズとして機能するし、本気で川を遊ぶリバーガイドやカヤッカーも満足させる力がある。もちろん、高温多湿な夏を乗り切る足元を探す人にもおすすめだ。

<撮影=矢島慎一>


メレル/
チョップロック シャンダル
¥13,000+税

25.0〜28.0、29.0、30cm
ダスティオリーブ、ブラック
25.0〜28.0cm
フレームオレンジ

ハイドロ チョップロック シャンダル
¥6,000+税

17.0〜22.0(フルサイズのみ)
ブラック/ネイビー/ライム
ブラック/オレンジ
 

 
 
ライター
藤原祥弘

野生食材の採集と活用、生活技術につながる野外活動などを中心に執筆とワークショップを展開。twitterアカウントは@_fomalhaut

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