line_box_head

【毎日コフラン】オトコだぜー! これぞオトコの道具だぜー! ホーボージュンのコフラン第2位は……ファイヤースターター

(2019.06.13)

道具のTOP

icon

ブロック状のマグネシウムをナイフや付属のストライカー(金属片)で削って粉状にし、ブロックの背に着いたスパーキングインサート(火打ち石)をストライカーで擦って火花を飛ばし、マグネシウム粉に着火する。コツを掴むまではけっこう操作が難しいが、水に濡らしてしまっても火を熾すことができるし経年劣化しないから非常用には最適だ。全長8cm。重量42g。

 「オトコの道具」なんて言ってると、このジェンダーフリーの時代に何を血迷ってんだと叱られそうだが、僕が少年時代を過ごした昭和時代に憧れていた道具というのは、すべからく“オトコらしーモノ”だった。

 たとえばランボーのサバイバルナイフ、たとえばインディ・ジョーンズの長い鞭、たとえばサンダース軍曹のジッポーライター。タフガイが愛用するオトコらしーギアはワンパク少年たちの心を鷲掴みにした。

 僕自身は気が弱くて心優しいウラナリ少年だったが(ウソ)、こういったタフなギアへの憧れが強く、小遣いを貯めてはアメ横のサープラスショップや新宿のサバイバルショップに通っていたのである。

 そんなホーボー少年のお気に入りがこれ。コフランの『マグネシウム・ファイヤー・スターター』だ。

「なあ、オレ、マッチ使わずに火を熾せるんだぜ」
「うそだー!」
「うそじゃないよ」
「そんな魔法みたいなこと、できるわけないじゃん!」
「じゃあもしできたらチェリオおごりな。いいか、見てろよ……」

 近所の空き地で、団地の焼却炉で、線路脇の雑木林で、僕は友だちと円陣を組んでしゃがみ込み、ナイフ代わりの潰した五寸釘(これは線路に置いて電車に轢かせた。昭和の時代は線路内への立ち入りが今より遙かに簡単だった)でマグネシウムを削っては、チャッ! チャッ! と火花を飛ばして遊んでいたのである。

 マグネシウムの光は緑に近い白色で、マッチの赤い炎やガスコンロの青い炎しか知らないみんなはまばゆい閃光に大コーフンした。大人がやるほど簡単に火は熾せなかったが、それでも乾いたティッシュに火を着けるくらいのことはでき、ボクは尊敬の眼差しと冷えたチェリオを独占したのである。

 でもそうやって火熾しに夢中になったのも1年か2年ぐらい。高校生になると僕もまわりも普通に百円ライターを持ち歩くようになり(昭和の高校生はバカスカ煙草を吸った)、仲間の前でこんなモノを出そうものなら「なにそれ火打ち石?」「おまえ原始人かよ」「マンモス喰わせるぞゴルァ!」みたいなことになるから、恥ずかしくてやらなくなった。こうして僕のファイヤースターターは『冒険手帳』とともに机の引出しに仕舞われてしまったのである。

 だから昨今のブッシュクラフトブームとファイヤースターターのリバイバル人気は僕にはクソ懐かしく、クソ嬉しい。昭和が平成に、平成が令和になろうとも、やっぱり野遊びの基本は“火熾し”なのだ。
 
 これぞオトコの道具だぜー。冷えたチェリオ持って遊びにいこー!

 


 

◼︎コフラン フェイヤースターター
価格:1944円(税込) サイズ:全長8cm、重さ:42g、材質:マグネシウム

 

 
 
ライター
ホーボージュン

全天候型フリーライター。6,000mの高所登山からシーカヤックの外洋航海まで、フィールドとスタイルを問わない自由な旅を続けている。『山と渓谷』『ビーパル』『PEAKS』『Field Life』などアウトドア各誌で連載中。公式Twitterアカウントは「@hobojun

line_box_foot