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街からアウトドアまでの境界線がなくなるスマートウォッチ、ガーミンの「FENIX 5X PLUS」。

2019.08.13 Tue

河津慶祐 アウトドアライター、編集者

 ぼくは “奥高尾” と呼ばれる山域にある陣馬山にきていた。ここ一年、家庭だ仕事だといって山と距離ができてしまっていたのだが、毎年参加している某オリエンテーリングの大会に今年も出場することとなり、これはヤバイとトレーニングのために電車とバスを乗り継ぎ陣馬高原下バス停にきたのだ。体重は◯㎏増加し、久しぶりに山へ行ってもすぐに疲れてしまう。マズイ……。

 この日の行程は、まず陣馬山へ登り、景信山を通り高尾山まで行く約19kmの道のり。もちろん、大会に向けトレイルランニング(トレラン)のスタイルにし、3時間での下山をめざす。

 バスを降り、準備運動をすませたら、ログを取るために装着していたガーミン(GARMIN)のスマートウォッチ「FENIX 5X PLUS」を起動させる。タイムが進みはじめたのを確認し、緩傾斜の車道を陣馬山へ向かって走って登っていく。

バス停から少し走ると山頂へ向かう登山道が現われる。

 約30年前からアメリカにてGPSナビゲーション製品をリリースしているガーミン。登山では「eTrex」シリーズが人気だろう。特に、雪山にチャレンジしている登山家には必須ともいえる装備で、ホワイトアウトのなか、ガーミンに助けられた人も少なくないはず。

 他社からもGPS機能付きのスマートウォッチが出ているが、ガーミンはこの点においては抜きん出ていると思っている。だって、GPSが主力商品のメーカーだから劣るはずがない。

(上)陣馬山山頂にて。GPSは正確に作動している。(左下)光学心拍計によって心拍数も計測している。ランニングでは心拍数も重要なファクターだ。登りを走ると一気に心拍数が上がる。(右下)「トレイルランニング」のアクティビティでは、タイムや総上昇量、距離が計測できる。ほかに「登山」では総上昇量と総下降量も出てくるなど、アクティビティによって計測できる要素が変わる。

 走り出してから約45分後に陣馬山山頂へ到着した。幸か不幸か、曇天で涼しく走りやすいが、眺望がイマイチで少し残念だ……。ここからはゆるいアップダウンが続く稜線を駆け抜けていく。

「FENIX 5X PLUS」は登山で重要な高度(Altimeter)・気圧(Barometer)・方位(Compass)が計測できるABCウォッチでもある。これにGPSも加わっているので、現在地を見失うリスクは激減するし、登山者にとってとても心強い。

 そして高機能だが操作は簡単。左下のボタン2つのみで上下スクロールが行なえる。簡単なボタン操作でタイムや地図、心拍数が切り替えられ、立ち止まることなく、いつでも知りたい情報にアクセスできるのがとても便利だ。

 休憩も含めて3時間15分。高尾山口駅へ下りたった。鈍っていた体はすでに筋肉痛のように痛く、なんとか帰路に着いた。

(左)富士山見えないなー、とあたりを見回すと、蛭ヶ岳や丹沢山など百名山「丹沢」の山々が。中央の奥に見えるのが丹沢。(右)陣馬山から高尾山の稜線は走りやすい登山道が続く。

 山から街に下りても「FENIX 5X PLUS」は活躍する。ポケットに忍ばせておいたBluetoothイヤホンを接続すれば、16GBと大容量の内蔵メモリにダウンロードした音楽が聴けるし、「GARMIN Pay」を使えばローソンでキャッシュレス決済もできてしまう。

 ほかにも、歩数計だったり、睡眠状況を計測したりと、書ききれないほどの機能があるのだが、多すぎて全部の機能なんて覚えきれていない。それだけ拡張性が高く、どんな趣味趣向の人でも満足がいくようになっているのだろう。たぶんぼくは、街で山でとかなり使いこなしているつもりだが、全体の機能の5%くらいしか使えていないかもしれない(笑)

 個人的にありがたいのは、アレルギーの出にくいチタンを使用したモデルがあること。金属アレルギーのぼくは、今までかなり時計に悩まされてきた。GPS機能のないABCウォッチも持っているのだが、裏ぶたがステンレスで、腕にはめるとかぶれてしまうのだ。その点、少し高額にはなってしまうが「FENIX 5X PLUS Sapphire Ti Black」だと本体がチタン製となっており、一日中はめていても全くかぶれない。

スマートフォンと接続させることにより、天気予報や音楽、メールやLINEなどの情報がスマートウォッチ上で確認ができる。(右)登山やトレランのほかに、さまざまなアクティビティに対応している。写っていないがまだたくさんのアイコンが並ぶ。

 使っていて気になった点は電池のもちだろうか。使い方によるが、だいたい一日半くらいもっていた。普段使いや、トレラン時には全く気にならないのだが、一度、三泊四日の登山に持って行ったときは、重いモバイルバッテリーを背負い、毎日寝るときに充電していた。のだが……。

 実は後から知ったが、宿泊をはさむ登山では「UltraTracモード」が有効のようだ。GPSでログを記録する頻度を減らすかわりにバッテリーを長持ちさせる。このモードにすると最大で64時間ものバッテリー寿命になるので、三日以上もの長期山行でなければ充電の必要がない。

「FENIX 5X PLUS」は街とアウトドアの境界線をなくす時計ではないだろうか。ぼくは、普段はスマートフォンの延長として使い、街中のランニングではラップタイムをはかり、そして登山やトレランではGPS機能を使って道迷いをふせぐ、とこの時計ひとつで全てをこなしている。



 
ガーミン
fēnix 5X Plus Sapphire Black
サイズ:51 x 51 x 17.5㎜
重量:96g
バッテリー寿命:ウォッチモード / 最大18日間
        GPS+光学心拍計 / 最大30時間
        GPS+音楽再生+光学心拍計 / 最大11時間
        UltraTrac™モード+光学心拍計 / 最大64時間
価格:109,800円+税

fēnix 5X Plus Sapphire Ti Black
サイズ:51 x 51 x 17.5㎜
重量:88g(チタニウムバンド146g)
バッテリー寿命:ウォッチモード / 最大18日間
        GPS+光学心拍計 / 最大30時間
        GPS+音楽再生+光学心拍計 / 最大11時間
        UltraTrac™モード+光学心拍計 / 最大64時間
価格:129,800円+税

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