• 道具

保温性と吸湿発散性を誇るパタゴニア「キャプリーン・サーマルウェイト」。寒冷期のアクティビティに最適だ!

2019.11.14 Thu

河津慶祐 アウトドアライター、編集者

 秋晴れが続く気持ちのいいある朝、まだ夜があけて間もない6時台だというのに、重量8㎏弱のバックパックを背負って山の中を走っていた……。

 先日、参加したオリエンテーリングの大会「OMM JAPAN 2019 KIRIGAMINE - KURUMAYAMA」は、1泊2日の装備を背負い、2人1組で道なき場所に設置されているチェックポイントを探し、ゴールへと向かうというレースだ。毎年、開催場所が異なり、今年はきびしい寒さが予想される霧ヶ峰高原だった。、

この大会での最高到達高度は、車山山頂の1,925m。キャンプ地は1,600mだった。まだ雪は降り積もっていないが、夜は氷点下まで冷え込む。

 いつもは軽量化のため寒さは気にせず、まず軽いもの、を選んでいく。しかし、今回はそうもいかなかった。衣食住が大切なのは登山でも同じで、適切なウェアとテントを選ばないと、しっかりと睡眠をとることができず、翌日のパフォーマンスに多大な影響をおよぼす。

 どの装備を選んで暖くすごそうか、と考えていくと、シュラフやテント、ダウンジャケットはキャンプ地でしか、効果を発揮することはなく、使い回しがしにくい。となると、ベースレイヤーか。これなら、走っている時でも脱ぎ着して体温調整ができるし、キャンプ地では重ね着をすることで体を芯から温めることができる。

 そして、選んだのはパタゴニアの「キャプリーン・サーマルウェイト・クルー(以下 サーマルウェイト)」だ。これなら147gと軽量のため、重量増も軽微ですむし、何より暖かく保温性が高い。

1日目のスタート前。早朝の寒さの中でも、サーマルウェイトに、同じくパタゴニアの薄手のジャケット「アルパイン・フーディニ・ジャケット」を着るだけで、寒さをしのげた。裾は後ろがやや長めになっていて、どのような体勢でも腰から冷気が入り込むのを防ぐ。

2日目の朝6時台。一面、霜がはる寒さ。天気は快晴だったが、放射冷却でかなり冷え込んだ。

 大会2日目の夜明けごろに気温が−3度Cを記録し、テントは雪が降ったように霜がはった。軽量化のためにシュラフはリミット温度が4度Cほどのもの。ウェアは薄手のフリースと薄手のダウンジャケット。たぶん、これだけだと氷点下の気温に凍え、眠れない夜を過ごしたことだろう。そんな寒さのなかでも目覚めることなく朝を迎えられたのは、サーマルウェイトを着ていたからにちがいない。体に直接触れるウェアが暖かいいと、保温性が格段に変わってくる。

 冒頭でも書いた「夜があけて間もない6時台」。気温がマイナスだろうと、走り出せばサーマルウェイト1枚でも、すぐに体が温まる。こんな時、他のウェアだと汗をかいて濡れてしまい、逆にどんどんと体温を奪われてしまう。だが、このベースレイヤーは、ここが特に優れている。内側の起毛フリースが保温性を保ったまま、効率よく水分を外側に発散させるため、汗をかいても気づいたら乾いていて、汗冷えしにくいのだ。行動中は、いちばん暑くなる昼の時間帯でもサーマルウェイトのみで過ごしていた。

汗抜けがいいため、脱ぎ着はせずとも腕まくりをするだけで体温調整がすむ。脱ぎ着が面倒なトレイルランや、レイヤリングが多くベースレイヤーが脱げない冬季登山には、このような吸湿発散性の高いウェアが必需品だ。2日間着っぱなしで山を駆け回って汗をかいたが、銀イオンの抗菌属性を利用した「ハイキュ・フレッシュ耐久性抗菌防臭加工」により、いやな臭いなどはまったくしなかった。

 暖かさや保温性だけでなく、軽さと通気性も備え、グリッドパターンにより肌触りもいい。今回、サーマルウェイトを着てみてわかったのは「これほど寒冷地でのトレイルランニングに向いたベースレイヤーは他にはないのではないだろうか」ということだった。

 もちろん、秋から春までの寒冷期登山でも最高なパフォーマンスを発揮するのは言うまでもないだろう。

 ベースレイヤーとして使用するなら、伸縮性に優れているため、保温性を重視し、ぴったりめのサイズを選ぶのがいいだろう。ワンサイズ大きいのもを選べば、生地が厚くしっかりしていることもあり、薄手のフリース的な使い方や、普段使いにと、オールラウンドに活躍できる。

(左)キャプリーン・ミッドウェイト、(中)キャプリーン・サーマルウェイト、(右)キャプリーン・エア
裏地で三種の違いが見て取れる。ミッドウェイトとサーマルウェイトはサムループが付属し、手の甲まで覆うことができ、この上から手袋をはめれば露出される部分がなくなり暖かい。
キャプリーンシリーズは環境への配慮からリサイクルポリエステルを採用している。

 同じキャプリーンシリーズには、他に「クール」「ミッドウェイト」「エア」が展開している。

 裏地が起毛しているサーマルウェイトに対し、ミッドウェイトはダイヤモンド型のグリッド・パターンを備え、肌との設置面を減らし、通気性良くベタつきを軽減させている。季節やアクティビティ問わずオールラウンドに活躍できる一枚となっている。

 エアは、ニュージーランド産メリノウールを51%も混紡しており、パタゴニアのベースレイヤー製品の中で最高位の保温性を誇っている。特に、縫い目のない3D構造が特徴的で、一枚目のレイヤーとして着ても、擦れがなく着心地がいい。見た目がニットのセーターのようなので、普段使いにも便利かもしれない。

 これからの季節は、状況によって「クール」以外の、「ミッドウェイト」「サーマルウェイト」「エア」から適切な一枚を選択し、使用するのがいいだろう。

左)メンズ・キャプリーン・ミッドウェイト・クルー
カラー:Bear Witness Camo: Sage Khaki、ほか4色
サイズ:XS~XXL *ウイメンズもあり
¥7,300+税 重量:176g(Mサイズ)

中)メンズ・キャプリーン・サーマルウェイト・クルー
カラー:Balkan Blue、ほか2色
サイズ:XS~XXL *ウイメンズもあり
¥11,000+税 重量:147g(Mサイズ)

右)メンズ・キャプリーン・エア・クルー
カラー:Black、ほか3色
サイズ:XS~XXL *ウイメンズもあり
¥16,000+税 重量:184g(Mサイズ)

Latest Posts

Pickup Writer

ホーボージュン 全天候型アウトドアライター

菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ

森山憲一 登山ライター

高橋庄太郎 山岳/アウトドアライター

森山伸也 アウトドアライター

村石太郎 アウトドアライター/フォトグラファー

森 勝 低山小道具研究家

A-suke BASE CAMP 店長

中島英摩 アウトドアライター

麻生弘毅 ライター

小雀陣二 アウトドアコーディネーター

滝沢守生(タキザー) よろず編集制作請負

宮川 哲 編集者

林 拓郎 アウトドアライター、フォトグラファー、編集者

藤原祥弘 アウトドアライター、編集者

ふくたきともこ アウトドアライター、編集者

北村 哲 アウトドアライター、プランナー

渡辺信吾 アウトドア系野良ライター

河津慶祐 アウトドアライター、編集者

Ranking

Recommended Posts

# キーワードタグ一覧

Akimama公式ソーシャルアカウント