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【レビュー&読者プレゼント】軽量で高効率! バランスに特化した新ストーブ。ジェットボイル「スタッシュ」
2021.06.09 Wed
河津慶祐 アウトドアライター、編集者
Akimama読者のみなさまは登山やキャンプなどのアウトドアに出かけた際、どのようなストーブを使用しているだろうか。大きく分類すると、ガス缶とストーブが直結している「一体型」、金属のホースで繋がっている「分離型」、ヒートエクスチェンジャーを備えたクッカーとストーブ、ガス缶が一体となる「ドッキング型」の3種類にわかれる。
そんなドッキング型の代表格ともいえ、高効率なクッキングシステムとして人気を博してきたジェットボイル(JETBOIL)から、今春、新作が登場した。「スタッシュ」という名を冠したこのストーブは、いままでラインナップしてきたドッキング型から打って変わり、ストーブとクッカーがわかれる、いわゆる一体型となったのだ。
白馬乗鞍岳の山頂より。絶景で食べるごはんのお供にスタッシュ。
まずいちばんの特徴といえば軽量性であるだろう。いままでのジェットボイルはドッキングシステムによって高効率を実現していた反面、重量がかさんでいた。そこでスタッシュは一体型ストーブの形状にし、それぞれのパーツを軽量化することによって総重量約200gという数字を叩き出している。ストーブ本体が約60g、フラックスリング(ヒートエクスチェンジャー)付きのクッカーが約140g。これは単体でみても軽量な部類に入る。
一体型になったことで、さらに恩恵がある。いままでは専用の五徳を追加しなければ他社のクッカーを使えなかったが、スタッシュは一体型ストーブとしてバーナー部だけを持ち歩いてもいいのだ。
もちろん、専用クッカーとの相性は抜群。五徳にあるスリットにより、多少斜めっていようが安定して使用ができる。ジェットボイルの特徴でもあるオールインワンも健在で、スタビライザーやガス缶(JETPOWER100g)も含め、ガタつきなくスタッキングできるのもポイントが高い。
蓋にジェットボイルのガス缶「JETPOWER100g」が取り付けられる。
バーナーとスタビライザーも収納すると、コンパクトにスタッキングできる。
ジェットボイルの特徴でもあった高い熱効率による沸騰の速さは、フラックスリングと、ストーブとクッカーがドッキングするクッキングシステムによるものだった。スタッシュは一体型になったものの、じつは熱効率はほかのラインナップとそれほど変わっていない。0.5ℓを沸かすのにかかる時間は2分30秒という。これは、「ジップ」「マイクロモ」「ミニモ」など他ラインナップと比較しても変わらないのである。ただし無風状態での数値であり、炎が噴出するバーナーヘッドが剥き出しになっているスタッシュは、外的要因によって大きく数値は変わるだろう。
それともう一点、大きな変更点がある。断熱カバーとして取り付けられていたコジーがなくなり、クッカーに持ち手がついたのだ。コジーは調理中でも素手でクッカーを持つことができるすぐれものだった。新しい持ち手はスタッキングしたときに、折りたたむことでフタの押さえとなる。
「JETPOWER100g」と同じ大きさのオシャレな小物入れ缶が付属する。小物入れを使用し、大型の「JETPOWER230g」を持ち歩くのもあり。
さて、もうちょっと細かい点にもスポットを当てていこう。
積雪期のアルパインクライミングをやる筆者が最初に気になったのはハンギングができるかどうか。バーナーの五徳を見ると、下部にもスリットが入っている。ジェットボイルの「ハンギングキット」をこのスリットにはめることで、スタッシュもテントに吊り下げることができるようだ。ドッキングしているとはずすのに難儀したのだが、スタッシュはハンギングに適していそうだ。
オプションパーツでいうと、コーヒープレスが使えるか気になる人もいるだろう。これは「グランデ コーヒープレス」が合う。クッカーでお湯を沸かしたら、そこにそのままコーヒーの粉を投入しプレスするだけで、おいしいコーヒーを淹れることができるようになる。筆者は山でコーヒーを淹れる際、ストーブとお湯を沸かすコッヘル、ドリッパーにサーバー、とたくさんの器具を持っていくのだが、スタッシュとプレスなら、シンプルに済んでしまう。
五徳の上部にはクッカー用のスリット。下部にはハンギングキット用のスリットが入っている。
スタッシュを使ってみてまず思ったことは「ジェットボイルと同じように使ってはダメだな」ということだった。お湯を沸かすのに特化したければ、ジェットボイルのほかのラインナップを購入するほうがいいだろう。他社のアイテムにはなるが、もっと軽いものだってある。ではスタッシュはなにかというと、「バランスにすぐれたストーブ」ではないかと思う。
スタッシュをあらわす言葉として、“軽量” “高効率” “安定性” “コンパクト” “汎用性” があげられる。ここまでの特徴をあわせ持つストーブはほかにないのではないだろうか。ひとつのことに特化せず、すべてを備えることで、バランスに特化したすばらしいストーブができあがった。
登山をはじめて最初に買うストーブはかなり迷うだろう。そんなときはスタッシュを選んでみてほしい。このバランスの取れたストーブは、安心して使える、新米登山家のよき相棒になってくれるはずだ。
■ジェットボイル/スタッシュ(STASH)
重量:約200g(バーナー:約60g / クッカー:約140g / 付属スタビライザー除く)
サイズ:∅13㎝×高さ11.2㎝(収納時)、高さ25.2㎝(組立時)
要領:0.8ℓ(調理容量0.5ℓ)
沸騰到達時間:2分30秒(0.5ℓ)
出力:1,134kcal/h
素材:バーナー=アルミニウム(バーナーヘッドはチタン)、クッカー=アルミニウム
付属品:スタビライザー、バーナースタッフバッグ、小物入れ缶
価格:19,250円(税込)
※自動点火装置が付いていないため、点火にはマッチやライターが必要
さて、ここまで読んでくれた読者のみなさまに朗報があります!! なんと今回紹介したジェットボイルの「スタッシュ」を1名様にプレゼントいたします。プレゼントの応募方法は、Akimamaのインスタグラムをフォローした状態で下記の必要事項を入力して送信するだけ。期限は6月20日(日)まで。どしどしご応募お待ちしております。
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