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焚き火のついでに作る極上おつまみ。1日でできる「お手軽ベーコン」(庭でも作れるよ!)

(2016.11.30)

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 肉、脂身、塩、胡椒。

 人類がときには命を賭しながら追い求めたもののすべてを凝縮しているのが、ベーコン。

 子供の頃見たパプアニューギニアの記録映画では、塩をかけていぶした豚肉=ベーコンを食べる現地人が「脂身が、いちばん美味い」と言いながらベーコンを貪っていました。

 フロンティアを舞台にした小説には、お約束のようにベーコンが登場します。ジャック・ロンドン然り、スタインベック然り。

 また文豪たちの描写するベーコンの美味そうなこと! 

 手元にベーコンが無いときには、絶対に「ベーコン スタインベック」で検索してはいけません(いいか、検索するなよ! 絶対にするなよ!)。

 ひるがえって現代のアウトドア。近頃の野外料理は「なんでもあり」ですが、本来の野外料理は、①道具や設備の限られた場所で手軽に作れて美味しいものか、②火や煙の都合で家庭では作れないものだと思います。

(この条件に当てはまらないものだって作っていいけど、それは野外料理じゃなくて「野外で調理」でしょう)

 そしてベーコンは、今もなおその条件を2つとも満たしています。その上、現場で食べるだけでなく、美味しいお土産にもなります。

 つまり、人類と豚肉が出会って以来、野外料理の中心に位置し続けるもの。それがベーコンなのです!

 ここまで読んで、ベーコンに詳しい人はハテ、と思っているかもしれません。ベーコンは塩漬けや塩抜きに時間がかかるから、決して手軽ではないぞ、と。

 確かに、ちゃんとしたベーコンを作るには時間がかかります。塩漬けに1週間、塩抜き半日、風乾1日、燻製1日。

 しかしこれは、塩を効かせて長期保存するための製法。冷蔵庫に保存して、なおかつ短時間で食べきってしまうなら、1週間も塩漬けにしなくて大丈夫。手順を短縮した「なんちゃってベーコン」なら、1日で作ることができます。

 それでは、なんちゃってベーコンを作るために、正式なベーコン作りの手順をおさらいしましょう。

 正式なベーコン作りの最初の作業は塩蔵。1週間も塩につけるのは、肉の中まで塩を染み込ませて保存がきくようにするため。

 続けて風乾。こちらも肉の水気を抜き、保存性を高めるためのもの。

 そして燻煙。日本での自作ベーコンの主な燻製方法は「温燻」です。燻して風味と抗菌成分をつけるとともに、60〜80℃の熱気で芯まで熱を通し、病原菌や寄生虫を死滅させます。

 塩、乾燥、殺菌。どの手順も、保存期間を伸ばすための方法です。つまり、なんちゃってベーコンでは、これらの手順を急ぎ足で済ませてしまえばいいということ。

 それでは以下、なんちゃってベーコンの作り方です!

① 肉塊を用意

いわゆる「ベーコンらしいベーコン」を作るなら、買うべき部位は豚のバラ肉。赤身の部分は製作中に縮んでしまうので、脂身が少ない肉がおすすめ。写真のものはちょっと脂身が多めです。

② メッタ刺し。

肉を常温に戻してから、塩が身の中まで染み込むようにフォークで肉に穴をあけます。内側、外側の両面からしっかりと!

③ 調味料をすりこむ

基本は塩と砂糖、コショウ。そのほか、台所や庭にある美味しくなりそうな香辛料や香草を合わせ、肉に擦り込みます。今回は擦り込み方式を採用しましたが、これらを合わせてソミュール液を作って漬けてもOK。基本的に「スパイシーで甘じょっぱい濃いめの塩か液」になっていれば大丈夫です。いろんな調味料を組み合わせて、ご家庭の味を生み出して下さい。

④ ビニール袋に入れて脱気

熱に強いタイプの保存袋に入れて脱気。この状態でおく時間の長さで、塩気が変わります。せっかちさんはすぐに次の手順に進んでOK。

⑤ 75℃のお湯に1時間ほどつける

大鍋に75℃前後のお湯を沸かし、袋ごと肉を投入。肉の中心温度が75℃に到達する時間を1分以上もうけ、肉を殺菌します。合わせて、塩分を肉のなかに染み込ませます。湯温の調整は、熱湯を継ぎ足して。炎で加温する際は必ず袋を一度取り出してください。そのまま加温すると鍋肌についた袋が溶けることがあります。湯温が高すぎると、ここでただの塩辛い茹で豚になってしまうので注意。

⑥ 水気をとる

袋から出した豚肉から立ち上るのは、食欲をそそるローストポークの香り。かぶりつきたい欲求をこらえて、肉の水分とよだれをぬぐいましょう。開封の儀を乗り越える自信がない人は、1本余計に仕込んでおいて、表面をフライパンで焼いてスライスしちゃってもいいかもしれません。

⑦冷蔵庫でひと晩風乾金網を敷いたバットに入れ、ラップをせずに冷蔵庫でひと晩乾かします。冬季なら、干し網に入れて戸外に吊るしてもOK(猫注意)。

⑧キャンプに出かけて三脚を組む

①〜⑥まではおでかけ前夜の作業。キャンプ場に着いたら適当な枝で三脚を組み、火を起こしましょう。

⑨肉を吊るす肉にS字フックをかけ、三脚にかけたチェーンにフックをかける。

⑩焚き火端でのんびりいぶす

焚き火を起こして半日程度肉をいぶす。燃料にする木はサクラやコナラ、クルミなどのスモークチップに使われる樹種がおすすめ。樹種によって肉につくにおいが異なります。⑤の手順で肉には火が通っているので、ここでは煙をかけることに専念。適度に不完全燃焼させて、立ち上る煙のなかに肉が来るように調節しましょう。右の写真のようにきれいに燃焼させると香りがつかず、肉が焼けてしまいます。

完成!

焚き火の脇に吊るしておくこと半日。ついに人類の夢、なんちゃってベーコンが完成! 吊るしておく時間が長いほど、煙がついて風味が強くなり、保存性も増します。焚き火を起こせない場合は、⑧以降の手順は段ボールスモーカーで行なってもOK。段ボールでスモークしたほうが短時間で薫香がしっかりとつきます。スモークウッドはSOTOのリンゴがおすすめ!(段ボールスモーカーについてはこちらを参照)。

 できあがったベーコンは、チャーハンやパスタの具材にしてよし、そのままつまみにしてもよし。一度多めに作っておけば、自家製ベーコンを長期間楽しむことができます。

 ただし、正式な手順をふんだベーコンよりも塩気が薄く、水分も多いので、すぐに食べないぶんはラップに包んで冷凍庫へ。また、手順⑤での加熱に自信がない場合は必ず火を通してからご賞味を!

 
 
ライター
藤原祥弘

野生食材の採集と活用、生活技術につながる野外活動などを中心に執筆とワークショップを展開。twitterアカウントは@_fomalhaut

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