line_box_head

<外遊び放談>その① 旅人よ、もう一度パックロッドを手に入れろ!の巻

(2017.04.02)

アウトドアのTOP

icon

 その昔、南西諸島を旅するバックパッカーやライダー、チャリダーの荷物には、パックロッド(折りたたみ式の釣り竿)がくくりつけられていた。

 もちろん、その目的は食料調達。ゲームフィッシングを楽しむという色はまったく無く、誰もが晩のおかずに1品添えるべく、実利一点張りの釣りを楽しんでいた。

 そんなニーズを反映してか、当時は真面目に作られたパックロッドが多くあった。安竿以上・高級モデル未満の中級クラスに、そこそこ遊べる竿がいくつもあったのだ。

 しかし、いつの間にか旅人はパックロッドを持ち歩かなくなった。するとパックロッドは安竿と高級竿の二極化をたどってしまう。素人が間にあわせに使うちゃちなものか、釣り好きが目を三角にして獲物を狙うような高級モデルしか作られなくなってしまった。

「パックロッド」とは、釣りの道具ではなく旅の道具だったのだ。旅人がパックロッドを旅の道具として使わなくなったことで、「そこそこ使える中級モデル」のニーズがごっそりなくなってしまい、先に述べた通りパックロッドは二極化してしまった。

 1本で5万円以上する竿であれば、現在のパックロッドにもおかずサイズ以上が狙えるモデルはある。しかし、バックパックの脇にくくりつけ、ときにラフに扱われる竿に旅人が数万円を出すのは難しい。かといって、おもちゃのような安竿は使っていてストレスがあり、大きな魚は釣ることができない。

 現在、日本国内でパックロッドの層が薄くなるなか、「旅と釣り」の世界を両立しているのが「アングラーズ リパブリック」の「ショアガン」というロッド。

 一般の釣り人には、ショアガンは安価で使い易いコストパフォーマンスにすぐれるシリーズと認識されているが、人気の2ピース(2本継ぎ)モデルに加えて、ショアガンには5ピースが用意されている。

 この5ピースという長さに価値がある。釣り竿は継ぎ数が少ないほど、しなやかな調子と強度が出る。繋いだときに同じ長さなら、継ぎ数が少ないほうが竿としての性能は高い。そのため、釣りが好きな開発者は、パックロッドを設計する際もついつい継ぎ数を減らしてしまいがちだ。

 しかし、継ぎ数が減れば仕舞い寸法は長くなる。3ピース、4ピースという半端な継ぎ数になってしまうと、携行するには長すぎる。持ち歩けないならパックロッドとして意味がない。

 そこをショアガンは5ピースで作ってきた。私が使っている長さが8フィート(約2.4m)のモデルなら、5ピースで仕舞い寸法は55cmを切る。バックパックのサイドにもするりと収まるし、ジャストサイズのケースに収納すれば、飛行機にも持ち込める。

 使用感はちょっと硬めのシーバスロッド。ルアーをキャストすれば、少ない力でも気持ち良く負荷をのせることができ、取り回しも軽快。コンパクトな仕舞い寸法でありながら、おかずサイズからスズキの大型も狙うことができる。事実、昨年仲間と楽しんできた南西諸島の徒歩行では、毎日の食料の調達に大活躍した。

 この南西諸島への旅では、食料計画に最初から「現地調達」のぶんが組み込まれていた。毎日の食事の3割程度を占めるタンパク質のあては、釣り上げた魚。もちろん、釣れなければその日のおかずはなし。食料調達係はなかなか責任重大である。

 小さめから大きめのルアーまで投げられるショアガンは小場所から大場所までその性能を発揮して、夕食には必ず魚が並んだ。

 こんなふうに、出かけた先の自然から食物を分けてもらいながら行動するのと、都会から持ち込んだフリーズドライを食べながら行動するのとでは、旅の深さがまったく異なってくる。

 なにせ、現地調達の旅ではその土地の自然を我が身に取り込んでしまうのだから。

 この旅のハイライトは、サンゴ礁のリーフエッジから投げたルアーに50cm程度のカスミアジが飛びついた瞬間。カスミアジはルアーのフックを伸ばして辛くも逃げおおせたが、竿のポテンシャルとしては、平アジの中型まで釣り上げられると感じた。

 そして魚は、獲れたときよりも獲れなかった魚のほうが心に残る。1年の間、私はルアーに飛びついたカスミアジのことを思い出しではニヤけ続け、この春にもう一度同じポイントへ1週間かけて徒歩で向かうことになっている。もちろん、用意したバックパックのポケットにはショアガンがささっているのである。

※私が使っているのはコルクグリップの8フィートの前期モデル。現在は8.6フィートの長さで硬軟2モデルが展開されている。

アングラーズリパブリック/
ショアガン エボルブ
SFSGS-86ML/P5
¥22,000+税

アングラーズリパブリック/
ショアガン エボルブ
SFSGS-86MH/P5
¥23,500+税

1 2
 
 
ライター
藤原祥弘

野生食材の採集と活用、生活技術につながる野外活動などを中心に執筆とワークショップを展開。twitterアカウントは@_fomalhaut

line_box_foot