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着る防虫「スコーロン」の実力やいかに!? 藪蚊の森で身を持ってギアレビュー!!!

(2019.07.12)

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 突然ではあるが、世界でいちばん人間を殺している生き物を知っているだろうか。海の殺し屋、サメ? 山のおじさん、熊? いやいや身近なペット、犬も狂犬病を持っている。やっぱりいちばん怖いのは人間でしょ。たしかに人間も多くの人を殺めているが、それを遥かに凌駕するのが“蚊”なのである。
たかが“蚊”だと甘くみるべからず。蚊には刺されないための対策が必要。さまざまな感染症のもととなってしまうので、この夏も要注意だ!
 2014年、東京のオアシス代々木公園を中心としたデング熱感染は一時立ち入り禁止になるなど記憶に新しい。実際、蚊が媒介する感染症は多く、ウイルス疾患のデング熱、ジカ熱、日本脳炎、ウエストナイル熱、黄熱、そして原虫疾患のマラリアは有名。これらはおもに熱帯、亜熱帯を中心に流行しているが、温暖化がこのまま進行すれば日本でも流行する可能性は十分にあり得る。また近年大きく変わった物流や増大しているインバウンドによる感染拡大も懸念されている。厚生労働省もポスターなどによる啓蒙活動を行なっているが「感染してからの治療よりも、蚊に刺されないための対策が重要」としている。

スコーロンという選択肢
 今年の梅雨は長いな~などと思いながら寝ていると耳元で「プ~ン……」。筆者は自慢ではないが吸血昆虫に非常に好かれる体質のようで防虫には人一倍気を使っている。虫除けはハッカ油を大量に使ったものを自家製し、これでもかと散布、林業など山のプロフェッショナルも愛用の蚊取り線香“森林香”もお気に入り、寝るときはモスキーランタン(虫の大好きな紫外線のライト内臓のLEDランタン)を枕元に。と、入念にしている。それでも刺されるのは単純にアクティビティに夢中になり怠るからなのだが……。
アース製薬と帝人フロンティアが共同開発した「スコーロン」。
 そこで、虫除けを散布する必要のない便利なものがないものかと思い出したのが“スコーロン”という素材だ。「JICA(国際協力機構)のSDGsビジネス調査(途上国の課題解決型ビジネス調査)でも、このスコーロンが注目されているようだ。繊維で有名な帝人フロンティアとあのアース製薬が共同で開発した防虫素材「スコーロン」が採択されたとのwebニュースを昨年読んだことがあった。詳しい内容は割愛するが、デング熱患者が増大しているインドネシアでの生産と販売の可能性を調査するということなのだが、筆者にとってはぜひとも試してみたいと思いつつ、昨年の蚊すら茹だる猛暑ですっかりで記憶から抜け落ちていたのだ。ということで、さっそく調べてみた。

“スコーロン”とは何ぞや
 ググってみると前著したようにアース製薬が開発した防虫効果剤が、帝人のナノ技術により頑強に固着することで洗濯耐久性が飛躍的に向上した「とまっても刺されにくく、逃げていく画期的な防虫性能を持った素材」とのこと。製品となったのが2008年からというから10年以上前からあったのだ。従来の揮発してバリアをつくるタイプ(1~2時間で効力消失)や、防虫剤カプセルを生地に付着するタイプ(2~5回の選択で効果低減)ではなく、生地の時点で防虫効果剤を染み込ませてからプロダクトにしているため、ムラなく安定しているそうだ。蚊やブヨだけでなく、近年話題となっているSFTS(重症熱性血小板減少症候群)を媒介しているマダニにも効果があるとのこと。
スコーロンの防虫機能。止まって、くっついて来ても、刺されにくく、逃げていく。スコーロンの防虫機能。止まって、くっついて来ても、刺されにくく、逃げていく。(ともにフォックスファイヤーのhpより)
 しかしケミカルなものが固着しているものが素肌に触れていても大丈夫なのか? と思ったのだが、ちゃんとラットを使った毒性実験、日本人を使ったパッチテストを行なっており、いずれも異常は認められなかったということで、ひと安心。でもそんないいこと尽くめがあるのかと、意地悪く実証実験をしたくなった。

「フォックスファイヤー(Foxfire)」のスコーロンアイテム
 スコーロンを探していると、ティムコのプライベートブランド「フォックスファイヤー」がさまざまなアイテムを展開していた。シャツやパンツだけでなくハット・キャップからグローブ、レッグカバーまで、まさにHead to Toe。そんな中から今回チョイスしたのは「SCブリスクタッチアームカバー」と「SCイージーレッグカバー」。

 夏場でもあちこちのフィールドにいく筆者にとって着替えることなくパッと着脱できるカバータイプは重宝する。アームカバーの袖口はサムホールになっているので、手の甲までカバー、上着を着る際も捲り上がることもなく、上腕側には程よい締め付けでズレ落ちることもない。レッグカバーも同様に足首までしっかりとカバーし、ズレ落ちない。いずれもストレッチがかなりあり、動きを妨げることはなさそうだ。フォックスファイヤーで展開しているスコーロンアイテムは防虫性能だけでなく、UVカット、そして吸汗速乾性も兼ね備えている。とくに「SCブリスクタッチアームカバー」は肌面撥水機能がプラスされているので、汗をすばやく表側に拡散し、撥水糸が汗戻りを抑えてくれるので常にサラサラしていて気持ちがいい。アームカバーにはサムホールがついているので手の甲もしっかりと守ってくれる。
いざ実証実験!
 梅雨真っ只中、シトシトと雨降る午後、フラッと訪れたのは都内からもほど近いベットタウンにあるリバーサイドの大きな公園。草地や沼などもあり、実証実験にはもってこいの場所だ。前著したように人一倍刺されやすい体質とはいえ、蚊が来ないときも考え蚊の大好きな二酸化炭素を大量発生させるドライアイスを持参。やる気満々のように思えるだろうが、決して気乗りはしていない。だってみずから刺されに行くんだから……。
短パン好きな筆者も虫除けせずに藪に入っていくのは勇気がいる。笑顔も引き攣り気味。
 用意したアームカバーとレッグカバーを右腕・足に着用し、左側はむき出し、もちろん虫除けもしない! 状態で実験開始。とっ、その前に刺されていないことを確認。家出るときはまったく刺されていなかったのだが、車から降りた瞬間に右足首に一発もらっていた。改めて虫の好かれ具合に気付く。こんな状態でドライアイス焚いてヤバいことにならなければよいが……。
数十匹がいっせいに刺してくるので痛いのなんの。じっとしてないといけないのはわかっているが我慢ができない。
 人の行き交う道から少しだけ外れたところに小さな池を見つけた。見るからにやばそうな鬱蒼とした場所にドライアイスを用意してチェアに腰を下ろした瞬間! 蚊の大群が足元に群がってきた! デカいヤブ蚊だ! 払いたいし、叩きたいのだが、撮影のために必死に堪える。
ヤバいですよね。これ。思い出すだけで悍ましい。
 経験したことない群がり方にゾワッと寒気を感じるほど。筆者にとっては途方もない時間に感じたが多分2,3秒、針がデカいので痛くて払ってしまう……。もう半狂乱状態に。こんなことを数回繰り返し、早々に退散。

 もう少し落ち着いて撮影しようと少し開けたところに移動。もはや天国、数匹しか集ってこない! 数匹に吸われようが全然に気ならない。精神的にも足もマヒしてしまったようだ。写真だと分かりづらいのだが、刺したくてもさせずにどうしようと歩いてる。これが「スコーロン」の実力だ。
結果や如何に!
 スコーロンにとまった蚊を凝視していると、刺したいのだが刺せず、歩いて探している。蚊が歩いているところは初見だ。その後、飛んで行ってしまった。嘘でなかったところで、実験終了! 痒みを我慢しながら車のそばまで戻り、改めて生身の足を観てみると「なんじゃ! こりゃー」と叫びたくなる刺されっぷり。己の足ながら気持ち悪いと思ってしまう。で、早速レッグカバーを下ろしてみると! 刺されていた。そりゃそうだ。あれだけ集れてじっとしてれば中には玉砕覚悟で針をブチ込んでくる気合の入ったやつが何匹かはいるもんだ。

 足の刺された数を数えようと思ったが、同じような場所を複数刺されているので、大きく腫れ上がってしまいよくわからない。というか数えるのが面倒なほど刺されている。しかし! スコーロンを着用していた方は明らかに少ない! 蚊は高さ1m付近までが狩場のようで腕の方はあまり刺されなかったが逆に数えやすいので撮影してみた。写真だと分かりづらいので刺された箇所に赤いシールを貼ってみた。生身の方は見えている範囲で7箇所、アームカバー着用側は1箇所と差が出た。左腕は裏側も刺されている。7対1という差になった。薄手のスコーロンでもこれだけの差が出る。

 翌日足の腫れが多少引いたので刺された方を数えてみると90箇所以上やられていた……。レッグカバー着用側は20箇所ほどだったので、その差は明らかだった。この結果だが、ウェア、パンツなら多分刺されてはいなかっただろう。今回は肌に密着する薄手のカバーだったのでこのような結果になったかと思われる。
言わずもがな。一目瞭然。右足は「スコーロン」着用。しかしこの刺されよう。トラウマレベルかと。
 梅雨が明ければ夏本番! 釣りやキャンプ、野外フェスなどなどフィールドはもちろんだが、お祭りや草むしりなど家の周りでも活用できるだろう。今年からキッズの展開も始まった「フォックスファイヤー」のスコーロンアイテム。痒みが我慢できない子どもだからこそ、転ばぬ先の杖! わが子が小さいときにスコーロンを知っていれば……と、足を掻きむしりながら原稿を書いている。

(写真=岡野朋之)
 
 

 
 
ライター
koichi ushida

某アウトドア企業のPRを経てフリーランスに転身。アウトドア専門のアタッシュドプレスを行なう傍らコーディネートや執筆、イベントもこなす“アウトドアの何でも屋さん”。

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