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富士の高嶺も春霞。まさかりかついで金太郎、金時山は春盛り

2015.04.05 Sun

 ま〜さかりか〜ついでき〜んたろう〜♪ で、おなじみの金太郎が遊んだ山といえば、あしがらやま。童謡の『金太郎』では、「あしがらやまのやまおくで けだものあつめてすもうのけいこ」と唱歌は続く。

 この「あしがらやま」こそ、足柄峠から金時山一帯を指した山域のこと。実際には、足柄山という名の山はないのだけれど……。でも、箱根の金時山には、いまでも金太郎伝説がちゃんと残されている。この山の麓には公時神社があるが、ここに祀られているのが坂田公時という御仁。

 平安時代の中期、源頼光に使えた武将で、当時は四天王のひとりにも数えられていたとか。幼少期の坂田公時こそが金太郎その人で、金時山の名もここから来ている。金太郎が実在したかどうかは諸説あるようだが、金太郎伝説が形づくられた江戸期には、歌舞伎や浄瑠璃を通じて庶民に親しまれる存在となっていく。ちなみに、童謡金太郎が発表されたのは明治33年のことだ。
 
 さて、金時山である。この山はまたの名を猪鼻山というが、この名にも金太郎が関係している。金時山の山頂に設けられた伝説の解説板によれば、

 ……金太郎は幼い頃「菱の腹掛」ひとつで熊や猪の待つこの山へ毎日のように勇んで登って来た。ある日、金太郎は大石を落としてしまった。この音にあわておどろき、岩にあたって死んでしまった大猪の鼻を金太郎は、ねんごろにとむらったのである。

 と、ある。金時山は登りやすい山ではあるものの、じつは山頂直下の稜線は左右に崖が落ち、急峻な岩が連なる難所となっているところがある。まさに、猪の鼻に攀じ登っていくような具合に。猪鼻山といわれる所以だろう。

 いまは登山道も整備され、山頂付近にも樹林が茂っているのでさほどの怖さは感じさせないものの、じっくりと地形を見てみると、なるほど岩場といえるに等しい地形なのである。

 赤い腹掛にまさかり担いだ金太郎が、この岩場を飛び回っていたと想像してみると、金時登山もなかなかに興味深くなる。ここ最近は、登山が再びブームの様相を見せていることもあり、天気の安定した土日などは、あふれ返るほどの人で賑わっている。金時山は往復でも2時間半ほどの山なので、日帰り登山の山として大人気の山なのだ。
 
 山頂には古くからのお茶屋さんもあるし、山頂越しには富士山の大展望。眼下には箱根の外輪山から仙石原、芦ノ湖が広がり、愛鷹連山の影も存在感を増す。この天晴れな展望を手軽に楽しめるとあれば、人気が出るのも納得できる。

 でも、なんとなく、金太郎の山というニュアンスが、たくさんの人を惹き付けているようにも思う。金太郎は愛されキャラなんだなぁと、つくづく。
 
 

■金時山/登山情報
参考コースタイム:
金時神社入口駐車場(15分)金時山登山口バス停(5分)金時山登山口(30分)矢倉沢峠(20分)金時神社分岐(20分)金時山(15分)金時神社分岐(40分)公時神社(5分)金時神社入口 歩行時間計 約2時間30分

アクセス:小田原駅や箱根湯本駅から箱根登山バスを利用して、桃源台、仙石原方面へ。御殿場からは仙石原方面へ向かうバスを利用。仙石、金時登山口、金時神社入口などのバス停が最寄り。路線によって止まるバス停がちがってくるので、要注意。マイカー利用の場合は、金時神社入口にある駐車場を利用すると便利。
地図:『山と高原地図29 箱根・金時山・駒ヶ岳』

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