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「蚊帳」の大本命が登場!MSR「スルーハイカーメッシュハウス2」

(2016.04.15)

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 いくつもの眠れない夜を野外で過ごしてきました。

 それというのも、私が水平&南方志向の旅行者だったため。気温が低く快適に眠れる高山と違って、夏の海べりや南の島は高温多湿で虫だらけです。

 テントのなかは蒸し風呂なのに、幕一枚隔てた外で待機するのは吸血生物。とどまるも地獄、出るも地獄。「なんでこんなところに来ちゃったんだ!」と汗だまりのなかで幾度も自分を責め続けてきました。

 そんな私が、夏の野営で研究を深めてきたのが「蚊帳(ネスト、バグシェルター)」。大きいものから小さいものまで、いろんなタイプの蚊帳を試してきました。

 あるとき無人島に携えたのは、顔だけを覆う蚊帳。ところがこの無人島、経験したことがない蚊の多さ! 動きを止めたとたんに吸血されるので歩きながら飯を食い、すぐさまシュラフカバーに潜り混み、蚊帳を展開しました。

 この晩はミイラよろしく微動だにせず(動くと蚊帳が顔についてそこから刺される)朝を待ちました。

 このとき、私は思いました。ネストにクリアランスあれ!と。

 またあるときはヒルだらけの林道で一夜を明かすことになりました。しかも地面は踏むとじわりと水が滲み出るような状態。しかし、こんな時に限って持っていたのはフロアなしの蚊帳でした。

 このとき、私は思いました。ネストに一体型のフロアあれ!と。

 あるときはメッシュのテントを持って旅に出ました。このテント、バスタブもあり室内空間も広いのですが、ちょっと重量がありすぎました。

 このとき、私は思いました。テントに軽さあれ!と。

 こんなふうに、さまざまな状況で蚊帳を使ってみた結果、私が導き出した「いい蚊帳」の条件は以下のとおりです。

①メッシュ部がとにかく広いこと
②メッシュパネルとフロアが一体で隙間がないこと
③形状は四角錐ではなく、家型であること
④内部でさまざまな体勢がとれること
⑤メッシュテントより圧倒的に軽いこと

 蚊帳はそもそも、1に通気性、2に通気性、34がなくて5に通気性! と、すべてに通気性が優先する条件下で使うので、メッシュ部が大きいと風抜けが良好で快適です。

 そして、「飛ぶ吸血生物」だけではなく「這う吸血生物」がいる場所では、虫が這い入る隙がないことは必須。蚊帳とグランドシートを併用するより、しっかりしたバスタブ型のフロアと一体になっているものがよく、またバスタブがあると地面の濡れに強く、室内に砂などが入りにくくなります。

 また、一点で吊る四角錐タイプは軽量かつタープと併用するときに張り方のバリエーションが幅広くなるのですが、顔や足などが布地につきやすく、蚊に刺されやすくなります(足の裏を刺されたときの悲惨さといったら!)。

 ビビィ的な蚊帳は圧倒的に軽量コンパクトですが体が布地に接した部分から刺されやすく、メッシュテントは室内空間も広くて体と幕を離せるものの、重く、かさばる。

 軽量でコンパクト、室内空間も広くてネストとフロアが一体型、そして圧倒的な通気性をもつもの。これらの条件を満たす蚊帳が出てこないものかと考えていたところ、ついに登場したのがMSRの「スルーハイカーメッシュハウス2」!

 バスタブがあって家形、広い室内空間をもちながら軽量コンパクト。「スルーハイカー」とロングトレイルを意識したネーミングですが、高山が冷涼で風も強い日本では、南方志向の旅行者や浜辺で寝ることの多いカヤッカーにこそふさわしいアイテムです。

 それでは、前置きが長くなりましたが細部をチェックしていきましょう!

蚊帳愛好家が待ち望んだ家形デザイン

前方と後方、2ヶ所で吊る家形。四隅のペグダウン用の三角布つきループがバスタブをしゃきっと立ち上げるため、フロア付近の空間が大きくなっています(つまり、幕に体が触れづらく幕越しに刺されにくい)。ドアは出入りのしやすいUを描くフラップ型。立ち上げはストックや流木、パドルなどを支柱に使うので、棒状のものを持ち歩く旅ならポールの分の重量を軽減できます。

広い室内

メッシュハウス2の名の通り、2名がゆったり寝られる床面積。マットを2枚敷いても前後に荷物を広げられるスペースがあります。ドアの反対側のパネルは目隠しのためにメッシュではありませんが、強風時にはこちら側を風上にすることで雨の降り込みを軽減できます。メッシュではないことの良し悪しは判断のわかれるところ。

目止めされたフロアと高いバスタブ

バスタブの立ち上がりは10㎝程度。四隅の縫い目のシーリングもしっかりしているので、万が一の水没にも多少は耐えられそう。ドアパネルにはドアの左右にメッシュポケットも装備。

拡張性あり!

スルーハイカーメッシュハウスのリリースと同時に、対応する「スルーハイカーウィング」というタープも登場。70と100の2サイズが展開されています。梁の部分はくちばし状に出っ張り、雨の降り込みを防ぎつつ、張りやすさにも寄与。サイドには4ヶ所のループがあり、張り方のバリエーションを幅広くしています(写真は100ウィング)。

軽量・コンパクト

メッシュハウス2と100ウィング、それぞれをラフにパッキングしてもナルゲンボトル1ℓとほぼ同寸(きれいにたためばもっと小さくなる)。メッシュハウスはペグが付属した状態でも450gの重量を実現し、「スルーハイカー100ウィング」と組み合わせても実測で約1kg! 2人で使えば、一人当たり500g程度の負担で広い室内空間を得られます。

 晴天、雨天合わせて南の島で10泊ほど使ってみましたが、今のところドアの反対側のパネルが目隠しのためにメッシュではないこと(風が抜けにくい。しかし、雨天のときは役立ったので好みのレベル)、ちょっと勇気のいるお値段以外の死角は見つけられません。

 競合する家形のネストが現在日本では入手しづらいことを考えると、フレームを持たないネストのなかでは、このモデル以上に軽さと広い室内空間、寝心地のよさを兼ね備えたものはないと思われます。

 広い室内と軽さが欲しいハイカーはもちろん、夏の浜べでキャンプするシーカヤッカーや低地を走るサイクリスト、離島好きの旅行者にもおすすめです!

MSR/スルーハイカー メッシュハウス 2
¥32,000+税

定員 2名
総重量 480g
フロア面積 2.78m²(1.32×2.13m)
室内最大高 96cm
収納サイズ 25×10cm

MSR/スルーハイカー 100 ウィング
¥32,000+税

定員 2〜3名
総重量 570g
フロア面積 9.29m²(3.20×2.89m)
収納サイズ 23×10cm

 
 
ライター
藤原祥弘

野生食材の採集と活用、生活技術につながる野外活動などを中心に執筆とワークショップを展開。twitterアカウントは@_fomalhaut

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