• アクティビティ

歩くことが仕事です。東京都レンジャー・大畑良平さん

2016.06.25 Sat

MERRELLユーザーインタビュー
第4回/大畑良平さん

 自然を守り、来訪者の安全に気を配る東京都レンジャー。その活動地域は現在、多摩地域と小笠原地域の2カ所に集約されている。中でも最も訪れる人の多い多摩地域・高尾山地区が大畑さんの勤務地だ。はたしてレンジャーの仕事とはどんなものなのか? 大畑さんがレンジャーをめざしたきっかけと共に、自然を保護する活動の様子をうかがった。

 

●自然だけ見ていても、大切なものは守れない

「大学生の頃、自然保護にすごく興味があって生き物の調査のアルバイトをしてたんです。よく大きな工事をするときに猛禽類の営巣の様子を調べたりするような仕事です。そうした調査をしているうちに、人の行動が環境に大きな影響を与えていることを痛感しました。
 よく“環境問題は人の問題だ”って言われますが、まさにその通り。自然へのダメージの中には、人間が原因になっているものが多いんです。その問題を根本的に解決するためには、人の行動がカギになる。そう思って、自然を守ることを理解してもらうような仕事をしたいなと考えるようになったんです」
 大畑さんの第一印象は『まっすぐな人』だった。しっかり目を見て話してくれる姿勢や、自分の考えをストレートに表現する話し方は、正直で表裏のない実直さを感じさせるものだ。その大畑さんから、見ているだけでは守れない、という言葉が出てきた。大畑さんは、自分を傍観者の場に置くことを良しとしなかったのだ。
「その後はなるべく人を介する仕事をしたいなと思って、いろいろなフィールドに出てきました。都心の公園のバードサンクチュアリでインタープリター(=自然解説員)を3年半、干潟の残る野鳥公園でレンジャーを2年、都内の狭山丘陵ではレンジャーを6年勤めました。
 東京都レンジャーになってからは2年と少しです。最初は小笠原に1年いて、今は高尾山に勤務して1年2ヶ月になります。」

現在は高尾山で東京都レンジャーとして勤務する大畑さん。自然を守るために必要な行動は指導したり規制したりするのではなく、利用者と一緒に作り上げていきたいと考えている

 そのレンジャーの毎日とはどんなものなのだろうか?
「それはもう多種多様というか、臨機応変というか(笑)。現在、都のレンジャーは多摩地域に12人、小笠原諸島に7人が配属されています。多摩地域は高尾、奥多摩、御岳(みたけ)、檜原(ひのはら)の4地区に3人ずつ、小笠原は父島に4人、母島に3人です。
 基本的には環境保全に関わる業務と、観光客や登山客らによる自然公園の適正利用をお願いするのが仕事です。利用者への声かけや広報活動、マナーやルールを守っていただく啓発活動もしますし、盗掘防止のため、動植物の生態調査もおこなっています。
 どの地域も、巡視は基本的な業務のひとつだと思います。担当エリアを歩きながら登山道は荒れてないか、危険な倒木などはないかを見て回るんです。あとは東京都自然公園利用ルールで守っていただきたいこと、たとえば写真撮影に夢中になって登山道から外れている人がいたら声をかけるとかですね。もちろん自然公園内で禁止されている行為については厳しい態度で臨むこともありますし、希少植物には監視中のタグをつけて盗掘を防ぐ、といったこともします。
 それぞれの地域・地区で自然公園の利用者数や利用の仕方が違うので差はあると思いますが、担当エリアを巡視することが、仕事の基本になると思います」
 自然を守るためには動植物と適度な距離感で接することも必要になる。レンジャーはその距離感を見守り、調整する役目を負っているのだ。

  • 高尾山山頂にある「高尾山ビジターセンター」。ここが大畑さんら東京都レンジャーの詰め所にもなっている
  • ビジターセンターでは道案内や高尾山の自然紹介はもちろん、こうしたレンジャーの活動を知らせるブースも設置している


●高尾山ならではのレンジャー活動

「ここは、いわゆる高尾山と呼ばれる所以外にも奥高尾、南高尾、北高尾、裏高尾と呼ばれているエリアもあって、そちらも巡視の対象です。場合によっては陣馬山から高尾山までの縦走ルートも巡視します。そういう時は朝、バスで陣馬山の麓まで行ってから高尾山まで歩くこともありますね。詰め所に着くのは夕方ですから丸一日歩いています。
 レンジャーとしての勤務は月に16日間なんですが、事務仕事もあるので巡視に使えるのは10日ちょっと、というところでしょうか」
 それは雨でも、夏の暑い日でも変わらないそうだ。
「雨が降ったりすると利用者も少なくなるので、あまり無理して巡視には出ないです。けれど、絶対歩かないっていうことはありませんね。天気と自分の仕事の量を調整しながら、なるべく巡視に出るようにしています」

倒木の処理や登山道の修復もレンジャーの仕事。ハンマーや修復用の資材などはすべて背負って、現場に向かうことになる

 まさに歩くことが仕事。そんな大畑さんは現在、2足のシューズを使い分けている。
「メインで使っているのはマッタータル。これは2年くらい履いてます。少し重さは感じますが、しっかりしていて頼りがいがある。どこをどう歩いても不安感はありません。この安心感が、自分によってはすごく大事なんです。ぬかるんだところを歩いてもグリップはいいし、防水性が高いので雨を気にしたことはありません。
 もう一足はカメレオンです。こちらは高尾山内の近いエリアをサッと見回るような時です。レンジャー以外に緑地パトロールの仕事もしていますが、そういう整備されたところではフットワークをいかせるカメレオンの方が出番は多いですね」

  • 大畑さん愛用のマッタータル。すでに2年以上履き込んでいるが、いまだにへこたれないという頑丈さを誇る。雨の日でもまったく浸水のない防水性は頼もしいの一言
  • 比較的近距離ならカメレオンの出番。ソフトな歩き心地は足に余計なストレスを与えないため、履いていても疲れを感じさせない。タフさよりも軽快さを重視したい時に

 使うシーンとシューズの個性を見据えながら、大畑さんは瞬時に適した方を選び取っている。
「基本、僕らレンジャーになる人間は歩くのが好きな人しかいないと思うので、詰め所にいるよりは外にいたいという人が多いと思います。スキさえあれば、じゃないでしょうか(笑)。それにレンジャーの仕事は現場に出てなんぼですから、僕も少しでも外を歩いていたいと思ってますね」
 さまざまな用事をこなしながら、レンジャーたちは担当エリアを歩いている。それは業務ではあるけれど、僕らと同じように歩く楽しさと自然に触れる喜びを噛みしめているはずだ。ちょっとだけ頬を緩ませながら早足で歩いているレンジャーを見かけたら、それは大畑さんかもしれない。

巡視中の道案内や普段の解説のほかに、体験イベントなどを通して保全の取り組みについて説明する。こうした現場での啓発活動もレンジャーとしての大切な仕事だ

■大畑さんが教える高尾山の楽しみ方

 どんな天気でも巡視のために担当エリアを歩く。東京都レンジャーにとって、シューズはタフで信頼性に富んでいることが大事です。レンジャーの足もとを支えているシューズと、最新技術を投入したニューモデルをご紹介しましょう。

その前に
東京都レンジャー+MERRELLについて
 自分たちのできることで自然保護のお手伝いをしたいという想いから、MERRELLは東京都レンジャーの足もとをサポートしています。厳しい気象条件の中、長時間にわたって歩き続ける。そんなレンジャーたちが少しでも安心して快適に活動できるような信頼できるシューズを生みだすことはMERRELLの目標のひとつです。同時に最前線から寄せられるレンジャーからの声は、次の製品作りに大きく役立っています。

 

東京都レンジャーにご使用いただいているトレッキングシューズ

  • MATTERTAL GORE-TEX®(マッタータル ゴアテックス)
    アッパーに柔らかなレザーを使い、足へのフィット感を高めた3シーズン用ハイスペックトレッキングシューズ。ゴアテックス®ライニングによって、高い防水性を発揮。ビブラムソールの採用によって泥ねい地のグリップも良好。現在はクレストバウンドへモデル変更

  • CRESTBOUND GORE-TEX®(クレストバウンド ゴアテックス)
    頑強なヒールカウンターや、長距離の歩行にも疲れを感じさせないグレード6のシャンクを採用したミッドソールなど、日帰りから縦走までをしっかりサポートするタフデザイン。アッパーにはレザーを使用し、ゴアテックス®ライニングを使用することで抜群の防水透湿性を確保

  • CHAMELEON SHIFT MID GORE-TEX®(カメレオン シフト ミッド ゴアテックス)
    アッパーにはヌバックレザーを使用した、柔らかい履き心地のトレッキングモデル。足首をソフトに包み込むデザインと、くるぶしを中心にレイアウトされたTPUアームによって安定感を向上。ゴアテックス®によって、高い防水性を実現

  • MOAB FST MID GORE-TEX®(モアブ FST ミッド ゴアテックス)
    カメレオンよりもソフトな履き心地でハードなトレイルへ。街中からトレッキングまで幅広く使えるとして人気のモアブがバージョンアップ。よりフィット感の高いアッパーと、これまで以上にグリップ感を増したアウトソールを搭載。もちろんゴアテックス®ライニングによって、突然の雨でも安心

 

最新トレッキングシューズ・モアブ 3つの快適ポイント

1. フィット感の良いアッパー
 新型モアブに与えられた「FST」という名称の、「F」はFit(フィット)の頭文字。アッパーにはメッシュ素材と3D構造のパーツを採用し、足を立体的に包み込みます。さらにタン部分のクッションがすき間を埋めてフィット感をアップ。アッパー全体GORE-TEX®メンブレンをレイアウトすることで、防水性と透湿性に優れた快適な履き心地を叶えています。

力のかかる部分には3Dパーツを使って頑丈さを、そうでない部分にはメッシュ素材で通気性と軽さを与えました。その結果、強く軽いアッパーを実現。これは絶妙の柔軟性もつながり、足運びの軽さにに貢献することとなりました

 

2. 抜群のグリップを誇るアウトソール
「FST」の「ST」は「Superior Traction(シュペリアー・トラクション=抜群のグリップ力)」。Vibram®(ビブラム)社の「メガグリップアウトソール」を採用することにより、濡れた路面でも不安感のないグリップ力を発揮。通常のトレッキングソールと比べても縦方向で30%、横方向に20%もグリップ力をアップさせました。加えて、ラグには5mmもの深さを与えています。岩場も泥も、がっちり捕まえる頼もしさを発揮します。

「メガグリップアウトソール」が誇る素材自体の性能に加えて、アウトソールのパターンとラグの深さでも抜群のグリップ力を発揮。滑らないことがパワーロス抑えるため、より疲労感の小さいアクティビティーを可能にしています

 

3. 路を選ばない好バランス
 柔らかな履き心地で足への負担を軽減し、高いトラクションで安心して足を進めることができる。柔と剛とを程よくバランスさせた結果、長い距離を歩いても快適さを失わないバランスの良さを獲得しました。
 さらに、各部の素材や製法を見直すことによってこれまで以上にタフな耐久性、ゴアテックス®による優れた防水性、そして細かな工夫の積み重ねによる軽量化も実現。さまざまなシーンでマルチに使える一足が誕生しました。

ローカットタイプはスピードを活かしたファストハイキングにも使われるほど。縦走からファストハイキングにまで可能性が広がるのは、履き心地の軽さと頼りになるグリップ感が融合したモアブならではです

 

MOAB FST MID GORE-TEX® & MOAB FST GORE-TEX®

■MOAB FST MID GORE-TEX®(モアブ FST MID ゴアテックス®)
カラー:[男性用] ブラック、バーガンディー/ブラック
[女性用] グラナイト、ビートレッド
サイズ:[男性用] 25.0〜28.0cm、29.0cm、30.0cm
[女性用] 22.5〜26.0cm
価格:19800円+税

■MOAB FST GORE-TEX®(モアブ FST ゴアテックス®)
カラー:[男性用] ブラック、バーガンディー/ブラック
[女性用] グラナイト、ビートレッド
サイズ:[男性用] 25.0〜28.0cm、29.0cm、30.0cm
[女性用] 22.5〜26.0cm
価格:16800円+税

 

MERRELLトレッキングシューズの詳細、購入についてはMERRELL公式サイトまで
http://www.merrell.jp

Latest Posts

Pickup Writer

ホーボージュン 全天候型アウトドアライター

菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ

森山憲一 登山ライター

高橋庄太郎 山岳/アウトドアライター

森山伸也 アウトドアライター

村石太郎 アウトドアライター/フォトグラファー

森 勝 低山小道具研究家

A-suke BASE CAMP 店長

中島英摩 アウトドアライター

麻生弘毅 ライター

小雀陣二 アウトドアコーディネーター

滝沢守生(タキザー) よろず編集制作請負

宮川 哲 編集者

林 拓郎 アウトドアライター、フォトグラファー、編集者

藤原祥弘 アウトドアライター、編集者

ふくたきともこ アウトドアライター、編集者

北村 哲 アウトドアライター、プランナー

渡辺信吾 アウトドア系野良ライター

河津慶祐 アウトドアライター、編集者

Ranking

Recommended Posts

# キーワードタグ一覧

Akimama公式ソーシャルアカウント