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【毎日コフラン】もはや化石? いやいや、最新にして最強! 藤原祥弘のコフラン第3位は……プラスチックマッチボックス

(2019.05.30)

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自家製の防水マッチは、使う前にロウを剥がしてから擦るのがコツ。そのままではロウが紙ヤスリの目を埋めてしまい、発火できなくなる。後述のフリントはボックスの底部に付いている(この構図では見えない)。
「防水」という言葉が好きだ。

 少年時代に貪るように読んだアウトドアの教書が、命を守る道具として「防水のシート」や「防水の雨合羽」を紹介していたからだ。「防水」の2字は私の心の深い部分に印字されたので、今でも防水という文字を見るだけで心が浮き立つ。

 そして、そんな教書が「できる男必携のサバイバル道具」として紹介していたのが防水マッチだった。ロウに覆われたそれは、濡れても確実に着火する。その防水マッチを格納するべきは防水のマッチボックス。防水に防水を重ねてバックアップし、命をつなぐ発火装置を確実に守りぬく。

「防水ケース&防水マッチ」に憧れてから数十年。そのどちらも手に入れることがないまま私は大人になった。そんなところに、エイアンドエフが訊くのである。「うちの扱うコフランで、今、何が気になる?」と。

「もちろんマッチボックス!!」と即答した。そして私は、マッチボックスに収める防水マッチを作り始めた。

 用意するのはロウソクとマッチ。空き缶にロウソクを入れて加熱し、マッチを溶けたロウに漬けて固める。憧れの防水マッチは、ものの5分でできあがった。

  仕上げにマッチ箱を切って紙ヤスリだけを切り出し、ロウで固めたマッチと一緒にマッチボックスに収める。30年以上憧れていたアイテムを手にした私は、万感の思いでスクリューを締め上げようとした……ところで気がついた。ボックスの底に、何やら棒状の黒いものがくっついている。

 一瞬で私はそいつが何者か察したが、心はそれを拒絶しようとした。だって、その黒い棒はメタルマッチのフリント(火打ち石)だったんだもの。

 ちょっと待て、コフラン。これ付けちゃったら、中身にマッチ入れる必要なくない!? なくなくない!? もうフリントだけでよくない!?

 誇らしげにロウをまとったマッチを手に、私はコフランの仕打ちに泣いたが、このフリントをさらなるバックアップだと思うことにした。

 21世紀のマッチボックスは、水没しても、マッチが濡れても、中身が尽きても、発火できるのである。


 

◼︎コフラン プラスチックマッチボックス
価格:324円(税込)
材質:プラスチック
サイズ:全長7.8cm
重量:22g

 
 
ライター
藤原祥弘

野生食材の採集と活用、生活技術につながる野外活動などを中心に執筆とワークショップを展開。twitterアカウントは@_fomalhaut

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