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“フェス飯”は文化である。レビューサイト『フェス飯クラブ』のいいところ

2025.06.05 Thu

宮川 哲 編集者

 いまや、野外フェスティバルでは欠かすことのできない「食」の一面を、はじめて「文化」として取り上げたのが、レビューサイト『フェス飯クラブ』だ。このサイトの運営元はフジロックをはじめ、アラバキほか全国のさまざまなフェスで飲食関係の出店管理をしている制作会社「TEAM」である。
フェス飯をひとつの軸とした読み応え十分のレビューサイト。ユーザーによる食レポはもちろん、「スイーツ大集合」などの特集を組んでいたり、コラム集が豊富だったり、フェスを探すための検索にも活用できる。イベントの現場で何を食べるか迷ったときは、『フェス飯クラブ』に頼ってみよう! きっと、おいしい食べ物とたのしい時間が見つけられる。
 サイトのおもな目的は「主催者 × 出店者そして、来場者がスムーズに交流できる場所づくり」にある。従来はイベントの主催者が飲食の場を提供し、出店者が集い、来場者が訪れるのみ。つまり、フェス飯は本番でしか楽しめないものだった。そこで、3者ともがフェス飯を軸にしてふだんから交流ができるような場をフェス飯クラブに見出した。ちょっと荒削りだが、概略を図にすれば次のようになる。
主催者と出店者、来場者をひとつの輪の中に結びつけることがこのサイトの目的でもある。それぞれが相互に情報を出し合い、手を結び合うことで成り立っている。
 来場者の立場からすれば「おいしそうなお店ばかりで、どこで食べたらいいのかわからない!」といった悩みをレビュー(食レポ)を通じて解消できる。また、おいしかったひと皿を記録しておくことができるので、フェス飯メモとしても活用できる。出店者の立場からは、自分たちの味を伝える場としての使い方も可能となる。また、主催元へのPRにもなる。そして主催者からすれば、フェス飯クラブが架け橋となって、出店して欲しい店が見つけやすくなっていく。

 このレビューサイトのおもしろさは、あまたあるイベントに横軸を貫いたことにある。

 3者がともにつながり、サイクルをつくることで新たな世界観が育まれていく。こうやってフェス飯を中心に据えて俯瞰してみると、おもしろいことが見えてきた。フェスティバルにそれぞれの色があるように、フェス飯にも色が付いている。出店のラインナップによるものか、イベントのジャンルによるものか、来場者たちの行動傾向によるものか、イベントごとにフェス飯の色味がちがって見えてくるのだ。たとえば、食についても地方性、地域性が色濃く反映されるようになる。地元出店に注目が集まり、いままでは見えていなかったその土地の食に光があてられたりもする。そこに、新たなる発見と交流が生まれ……こうやって文化的な一面も整えられることになっていく。

 このあたりを専属のライターたちが、現地レポや出店者へのインタビューなどを通じて記事化しているのもフェス飯クラブの特徴である。この読み応えのあるコラム集こそが、このサイトにより一層の深みを与えていると思う。
出店者たちの生の声を記事にしていくことも、フェス飯クラブの役目。イベント時の店舗だけでなく、街に構える実店舗にまで取材を掛けることもある。



フェス飯は、フェスティバルに参加する人々にとっての、もうひとつのステージなのです。



 これは、フェス飯クラブが立ち上がったときに生まれた言葉。フェス飯はひとつのステージになる。たしかに大好きな音楽とともに食べたごはんの味は、思い出という記憶に刻まれるだろう。なるほどうまいことを考えたもので、『フェス飯クラブ』は誕生から4年で、フェス好きピープルたちの欠かせない情報源、そして交流の場となっている。




主催者×出店者×来場者を結ぶフェス飯交流サイト。さまざまなイベントでの出店情報のほか、フェス飯ライター陣によるコラム、店舗検索機能のほか、レビュー投稿もできる仕組みに。instagramTikTokXなどSNSでの活用もできる。


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