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【フジロック制作(平田天志 × 三田創)対談】フジロックの進化と復元
2026.07.15 Wed
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ
フジロックは今年で30年目を迎える。時代の変化とともに、音楽も、音楽シーンも動いてきている。この30年の歴史を踏まえ、次はどこに向かっていくのか。

●ラインナップはどう決まるのか
–––– その年なりの方向性なり構成なりが、フジロックにはあると感じていました。
平田 基本のスタンスとして、かっこいい音楽、いい音楽で構成していくということ。それを前提にしてヘッドライナーから当たっていきますね。
–––– 中心となっている制作チームは何人くらい?
三田 ブッキングに携わっている制作は、東京と大阪を合わせて15人くらいですね。最終的には全員で話し合ってブッキングは決めていってます。
平田 普段、僕らがやりとりするのはエージェントなんですけど、エージェントから「来年こういう動きがあるよ」って連絡をもらったり。
–––– ブッキングが動きはじめるのはいつくらいなのですか。
平田 特にエージェントからの連絡はめちゃくちゃ早くなってますよ。かつてヘッドライナーは、10月か11月頃にアーティストだったりエージェントだったりと連絡を取りはじめることが多かったんですけど、今は1年半くらい前に連絡が来る。もう来年(27年)の話も来てますから。
–––– エージェントから見れば、フジロックだけではなく、世界を視野にツアーを考えているってことなんですね。
平田 おそらく、2年3年というプランで見ていると思うんで。ここでアジアを組んで、ここでヨーロッパをめぐってとか。
–––– アーティストに対してオファーする際に、出演するステージは想定している?
平田 グリーンだけではなく、他のステージもそこのヘッドライナーが決まって、それに沿って作り上げていくっていう感じです。
三田 担当としてここに出したいっていうアーティストもいて、パズルのように組み合わせていく。不思議に流れが決まっていくし、物語性も生まれていく。
●2026年のヘッドライナー
–––– 例えば26年のヘッドライナーの候補としては、どのくらいの数が上がっていたのですか。
三田 実際に当たってみたのが10組くらいはいましたね。そのなかから最終的にザ・エックス・エックス、クルアンビン、マッシヴ・アタックの3つに決まりました。
–––– この3つでどの順番で決まっていったのですか。
三田 最初にザ・エックス・エックスが決まって、次にクルアンビン、最後にマッシヴ・アタックでしたね。クルアンビンは単独公演という話だったんですよ。単独公演ももちろんいいけど、フジのヘッドライナーで勝負してみようってなって。
–––– マッシヴ・アタックは16年ぶりの苗場ですね。
平田 久しぶりにアルバムをリリースするらしく、復活してきた感じがありますよね。去年8月にマッシヴ・アタックから売り込みがあったんですよ。「フジでは興味ある?」みたいな感じで。
–––– ザ・エックス・エックス、しばらく活動を休止していましたね。
平田 僕個人として、4月のコーチェラから8年ぶりに始動するザ・エックス・エックスをヘッドライナーに持っていくっていうことにこだわっていたんです。セカンドではなく、あくまでヘッドライナーとして苗場に帰還する。新しいザ・エックス・エックスを、多くの人がコーチェラで見たと思うんですけど、あのライブを見てフジロックでも素晴らしい時間になるんだと確信できました。

●日本人アーティストの選択
–––– 今年は藤井風やXGがラインナップされていて、それこそ新しい風が吹いているように感じます。
平田 日本人アーティストに関しては、本当にシンプルに、フジロックでやってもらいたい人は誰なのかっていう話し合いからはじまって。藤井風さんは、最初にアイデアから上がっていました。
三田 藤井風さんは、フジロックのステージに立っているというイメージがつきやすいと思いますね。
–––– フジロックってこういう場所で、こういうコンセプトなんだっていうことを、ずっとキープしていると思うんです。それをファンも含め多くの人が共有している。そのなかで、「この人は合ってる、この人が入るのは異質な感じがする」という議論も、いろんなところでされている。今年のラインナップで言えば、XGがラインナップされていたことには驚きがありました。
三田 個人的には、XGをけっこう聞いているんですよ。ポップのなかで、おもしろいことをやっているなって感覚もあります。おもしろいかかっこいいか。そのどっちかがあればフジロックにはマッチする。XGは間違いなくおもしろい。そうそう、XGはアーティストサイドからの連絡だったんです。
–––– 数年前から日本人のヒップホップアーティストも、数多くフジロックでラインナップされてきているし、その流れもあるんでしょうね。
三田 日本でもヒップホップはシーンとしても大きくなってきているんで。その流れも考えてはいますね。
●フジロックの魅力と未来
–––– 世界からいろんなアーティストがフジロックの3日間に苗場に集う。今年はさらに混沌としたものを感じます。
三田 混沌としていてほしいですよ(笑)。洗練されるってフェスじゃないって感じがして、個人的にはなんか違うなって思いますね。
–––– フジロックでは、ふたりはどれくらいステージを見られているんですか。
三田 去年はほぼゼロ。最後のクロージングバンドだけでした。
平田 一昨年からグリーンステージのプロダクションになったので、グリーンのステージを少しは見られるようになりましたね。舞台袖からですけど。でも8割くらいはバックヤードのプレハブにいますね。
–––– 達成感ってどんなときに感じています?
平田 ヘッドライナーのショーを作るだけで、何ヶ月もやりとりするんですね。出演するためにステージが暗転した瞬間のお客さんの顔を見ているときに、「やれて良かった」って一番思いますね。
–––– フジロックに関して、ここをさらに充実させたいとか、変えたいとかっていう部分はありますか。
平田 もっとでかくしたいって勝手に思ってますね。苗場の土地って限られてはいるんですけど。あと特殊なゆるさはありますよね。そこは残していきたいというか。ルールは少なくして。
三田 都市型のきれいさは似合わないというか、フジロックにはないですから。
平田 これは個人的な思いなんですけど、進化させながら元に戻すっていうか。コロナがあって、少しずつお客さんが戻ってきてくれています。本来のフジロックになってきたなっていう感覚があるんです。そこに円安などのいろんな悪条件が絡んできてしまっているんですけど。いろんな壁を越えて、結果として戻っている。
–––– やっぱり海外アーティストのギャラは厳しい?
平田 厳しいですよ。もう高過ぎです(笑)。コロナ前とコロナ後で全然違うし、為替も違っているし。それでもフジロックであるための努力はしていきたいですね。
平田 天志
2012年にフジロック初参加。自分で作る側になりたいという思いを持って2016年にスマッシュに入社。フジロックの現場ではグリーンステージを担当。

三田 創
2020年にスマッシュ入社。休職して1年間のイギリス留学へ。そこでグラストンベリーも体験した。フジロックでは宣伝・PR業務を担当。現場ではアーティスト送迎を担う車両本部の業務も経験。

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