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再びAkimamaに登場! 『山と食欲と私』主人公、 日々野鮎美の山ごはん

(2016.08.26)

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山好き・漫画好きのみなさま。
4月22日で紹介したこの記事、読んでくださいましたか?
人気コミック『山と食欲と私』の主人公・日々野鮎美と歩く
使える山ごはん アイテム探しワンデリング 三鷹・吉祥寺編

『山と食欲と私』(毎週金曜日更新のWEB連載。くらげバンチで無料で読めますよ)
は、単独登山×食×妙齢女子をテーマにした1話完結の漫画なんですが、
作者の信濃川日出雄センセイが山好きということもあって
山の風景や主人公の心の描写がリアルで、ぐっとくるんです。
8月9日には、待望の2巻が発売されました。
「夏休み、終わっちゃたなー」としょんぼりすることなかれ!
2巻には、秋の山の楽しい描写が満載なんです。


2巻も好評発売中。Kindle始め、オンラインでも買えるからすぐ読めます!

高橋(以下) 2巻に出てくるごはんが、どれもおいしそうでしたね! 反響が大きかったのはどれですか?

信濃川(以下 ) 16話のぽんかす丼ですかね。ご飯に天かす、桜えび、ネギ、そして「味ぽん」をかけるという単純なものですが、ツイッター、インスタでレシピを再現してくれる読者の方がいて、嬉しいんですよ。


これが、話題のぽんかす丼だ!

 やっぱり、ぽんかす丼! これ、2巻収録される前のWEB掲載の時から人気だったそうですね。私も、これは間違いない!と思って作ってみました。天丼みたいですよね。最初、天かすのカリカリがおいしくて。だんだんとしなしなになってきて、その油っぽさを味ぽんがさっぱり包んでくれるという、2段階違ったおいしさがある。疲れたときでも食べやすいし。

 そうでしょう! 僕も実際に単独登山の際に食べるし、家でも即席ごはんとして食べます。ごはんに「味ぽん(ポン酢+醤油)」というのが人によって好みがわかれるみたいなので、天丼のタレやめんつゆもいいと思いますよ。

 私が編集を担当した『フライパンで山ごはん』(山と溪谷社)でも、日々野鮎美としてこのぽんかす丼のレシピ提供してくれたんですよね。誰か気づいてくれた人いたかしら。メスティンでごはんを炊くというのがポイントなのに、本の企画上フライパンで炊飯したことにしなくてはいけなかったから、写真はシェラカップになっていますが。


発売中の『フライパンで山ごはん』(山と溪谷社)のなかでも、ぽんかす丼のってます。鮎美ちゃんの名前が載っていたこと、気づいた方いらっしゃいませんかー? ちなみに、隣ページに掲載のakimamaライター福瀧さん提案のアボカドなめこ丼も絶品です

 メスティンでごはんを炊くと、そのまま器になるからいいんですよね。でも、フライパンでも問題ないと思いますよ。ただね、桜エビはあんまり大きいと喉に引っかかるから、小さいのがいいですよ。

 確かに!ぽんかす丼を撮影した時、見栄えを考えて大きめのものを用意してしまったんですけど、飲み込む時、痛い瞬間がありました(笑)。あと、景信山の頂上で食べているもみじの天ぷら。あれ、私も毎秋を楽しみにしてるんです。正直、そんなにおいしいものではないんだけど、季節とつながっている気持ちになれるというか。

イタヤカエデ、ヤマザクラやハゼノキ、ミズナラの落ち葉を踏みしめて頂上へ

 鮎美が自分で作るだけじゃなくて、そこにしか行かないと食べられない味や季節の楽しみを描けたら、と思っているんです。それって、山に登る醍醐味のひとつだと思うんですよ。

 22話で鮎美ちゃんが八ヶ岳縦走する時に、高見石小屋のあげパン(チーズ&きなこ味)とコケモモジュース食べているじゃないですか。知らなかったので、あ、そんなのあるんだ、と今度行く時の楽しみができました。


うーん、おいしそう。揚げパンは他にココア味と抹茶味もあるそうな

 ところで、景信山で鮎美ちゃんは新田次郎の『孤高の人』を読んでいましたね。13話で宮本常一の『山と日本人』を最近読んだ、とプロフィールに書いてあったり、夏休みの計画で読んでいたのが『山と溪谷』だったり。『ワンダーフォーゲル』や『ランドネ』ではない。本のセレクトが渋いですよね。彼女の本棚には、ほかにどんな本が並んでいるのでしょうか?


ご存知、登山家の加藤文太郎をモチーフとした小説。鮎美ちゃんは文太郎に影響されたのか、行動食も甘納豆と小魚の組み合わせについて24巻で言及しています。そして、夏山の計画をたてるために読んでいたのが「山と溪谷」6月号。特集は、この夏テントで歩くベストルート40 。結局、どこへ行ったのでしょうか?

 どんな本が並んでいるんでしょう……!?登山雑誌は久しぶりに買ったようですね。以前はたくさん買っていたけど、お金の使い道の優先順位として、交通費や道具代にまわして最近は買っていなかったという僕の脳内設定があって。本はけっこう買っているタイプだとは思います。新田次郎作品、伊藤正一さんの 『黒部の山賊』なんかは絶対に並んでますね。

 私も『黒部の山賊』、好きですよ。宮本常一も。日本人がどんなふうに里山と接してきたか民俗学、人類学的なアプローチで、山への見方がかわるというか。漫画は読まないんですか?

 漫画はたぶん小山ゆうさんの『あずみ』が好きですね。そういう渋いところはあると思います。きらたかしさんの『赤灯えれじい』もきっと好きに違いない!(笑)

 なんという27歳!今人気とされる、ドS男子との恋愛ものとかまったく興味ないんだ(笑)

 鮎美ちゃんは高校時代にバンド経験があったという裏設定もあるので、バンドに関する本が少し、ちなみに部屋には高崎晃モデルのエレキギターが描いてありますが、これは親戚のおじさんからもらったもの。一方で女性らしく『Hutte』のバックナンバーを集めていたりとか(笑)。僕のイメージとしてはそんな感じかな。

 おおー、『Hutte』!確かに文系的な山へのアプローチが鮎美ちゃんぽい。つまみと酒の記事、よく私担当していましたが鮎美目線にかなり近いものがありました。重くても赤ワインをボトルで登ってあがるとか。



私も編集に携わった登山雑誌「Hutte」(不定期刊行でお休み中)❤ 書籍はまだかえますよ!

 実はね、詳細設定については、「作りすぎない」ようにしてるんですよ。鮎美に関しては、僕も彼女のことをよく知らないほうが、話数を重ねるほどに彼女を知っていく喜びを感じられるから。本棚にどんな本が並んでいるんだろう、どうして山に登っているんだろう、もっと日々野鮎美を知りたいというキャラクターへの興味が漫画の牽引力になっていますし、そこを大事にしています。いつか本棚がクローズアップされる時をどうぞお楽しみに。全然違う本が並んでいるかもしれませんけど(笑)

 センセイの好みを反映されているんですか?

 うーん。僕自身は本や雑誌はかなり買いますね。半分は資料本という意味もありますが、アウトドアに関連して大事にしている本のひとつとして遠藤ケイさんの『男の民俗学』はかなり好きですね。もう30年ほど前の本で、遠藤さんが取材されたことをイラストと文章で描かれているのですが、失われてゆく昭和の職人の記録として非常に価値があるものだと思います。マタギなどの猟師、砂金取りなどの野外での仕事の話も詳細に載っているので、勉強になります。

 やばい。私、センセイや鮎美ちゃんと本の好みにているかもしれない。
遠藤ケイさんの『熊を殺すと雨が降る―失われゆく山の民俗』も好きですし。
鮎美ちゃんが諸星大二郎先生の『魔障ヶ岳』とか読んでたら、絶対仲良くなりたいです。

後編では、「山と食欲と私」が生まれた背景&
漫画家・信濃川センセイの素顔にせまりますよ!

 
 
ライター
高橋 紡

フリーランス編集者・ライター。食・住・自然・手仕事を主なテーマに、雑誌、書籍を手がける。アウトドアのいろはは、akimamaの運営母体である「キャンプよろず相談所」に所属したことで鍛えてもらいました。出版ユニットnoyamaの編集担当としても活動。本名の柳澤智子名義の著書『住まいと暮らしのサイズダウン』(マイナビ出版)が発売中。

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