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ぼくらの山のフィールドが、いつしか変わってしまうかも!? 消えゆく世界の氷河。

2020.04.01 Wed

 日本国内でも劔・立山や鹿島槍山域で氷河があったと話題になったのは、ここ10年ほどのこと。2012年に三ノ窓、小窓、御前沢が、18年にはカクネ里雪渓が氷河であることが、日本雪氷学会の調査により認定されている。「日本は世界に誇る山岳国、氷河だってあるんだ」と、なぜか鼻高々となったことを覚えている。これは山好きの勝手な感慨かと思う。そのささやかなる思い、感慨をもいま無に帰してしまうような自体が進行している。

 氷河がいま、世界的なピンチに陥っている。

 2019年に発表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書によれば、世界中のほぼすべての氷河が縮小しつつあるという。もちろん、これは温暖化による影響である。たとえば、影響が顕著に現れているとされるフランスのメール・ド・グラス氷河では、過去30年に700mもの後退が認められている。これは、フランスのエコロジー省発表の数値である。
2019年7月のメール・ド・グラス。この氷河に降り立つまでに、なんと200mほどの岩壁をクライムダウンをしなければならない。この200m、かつては氷河で埋まっていた距離である。
 ヨーロッパアルプスだけではない。ヘミングウェイの『キリマンジャロの雪』は遥かむかしの話となり、山頂域の氷河の後退は止まることを知らず、ヒマラヤでは氷河の融解による洪水の危険性まで指摘されている。また、南極の海氷の消長が注目される回数も増えている。

 日本においてもここ数年の気象状況の悪化は目に見える。夏の40度を超す酷暑の連続と巨大台風の襲来、河川の氾濫、そして冬の極端な暖冬。もはや待ったなし、であることを体感する日々である。雨水を含んだ山道は崩れ、スキー場のゲレンデには雪がない。
2020年1月20日の新潟県の舞子スノーリゾート。ゲレンデのいちばん下にはまったく雪が付いていなかった……。
 実際に昨年の5月には屋久島で大雨による土砂崩れで通行ができなくなり、300人を超える登山者たちが山中に孤立してしまった。モンブラン山域では氷河上、岩陵帯の登山道が崩れ、足元が脆弱化してしまい通行も困難を極めるようなルートも数多く出現。かつては難なく歩けた道も、ロープやアイゼンが必要なルートとなり、技術的にも数段上のレベルを要求されることもあるという話だ。

 つまりは、世界同時進行。いままではそこにあって当たり前だった山が川が海が、ぼくらのフィールドが、急激に変容を遂げているのである。もはや「いままで通り」が通用しなくなってくる可能性が高い。地球環境の危機が叫ばれて長い年月が経つものの、実感を伴わなければ自分には関わりないと思うのが人の性。とはいえ、である。5年先、10年先の山登り、アウトドアは、よりサバイバル度を増していくことと思う。そんなぼくらがいまできることは何か……じっくりと考えてみる必要がある。

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