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瀬戸内サイクリングはしまなみ海道だけじゃない! “うどん王国”で瀬戸内の原風景を走る。

(2019.07.13)

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 瀬戸内地方でサイクリングといえば「しまなみ海道」。しかし東西約450㎞の瀬戸内海、ほかにも魅力的なルートはいくつもあります。

荘内(しょうない)半島。

 今回紹介するのは香川県の荘内半島を巡るルートで、走行距離は約25㎞。「橋の上から瀬戸内海を俯瞰する」しまなみ海道に対して、荘内半島では瀬戸内の風土に溶け込む自転車旅になります。ルート地図の掲載はむずかしいので、順路は言葉で解説します。オリエンテーリング的に楽しんでください。

荘内半島は瀬戸内海に細く突き出している。
 

Section 1:まずは讃岐うどんを
味わい深い街並みが残る観音寺市。

 香川県西部にある荘内半島、輪行で訪れるなら旅はJR予讃線観音寺駅から。まずは腹ごしらえに讃岐うどんを。観音寺駅の表口から北に徒歩1分の観光案内所「大正橋プラザ(9:00~17:00、年末年始休)」で町の観光地図を手に入れたら、家庭裁判所近くの「柳川製麺所(もしくは柳川うどん/8:30~15:00、木曜休)」へ。ここのうどんは、地元名産のイリコがエグイくらい効いた出汁に、柔らかめの細麺。腰の強さをイメージした人は驚くかもしれませんが、これぞ讃岐うどんの原風景なのだ。
柳川製麺所(柳川うどん)の「卵とじうどん(小:360円)」。

 

Section 2:ちょっと寄り道、登山もおすすめ
銭型砂絵。「見れば一生お金に困らない」とのご利益が。8億円の宝くじを当てた人もいます(事実)。

 その後は「銭型砂絵(東西122m・南北90m)」がある琴弾公園へ、そして北上していくのですが(なるべく脇道を選ぶのがよろしい)、ちょっと寄り道してプチ登山はいかがでしょう。高屋神社下宮(標高70m/観音寺市高屋町2730)に自転車を置き、徒歩約1時間で到着する高屋神社本宮(標高404m)からの眺めは、「天空の鳥居」として人気上昇中。外国人観光客もたくさん訪れています。
高屋神社本宮からの眺め。

 

Section 3:柑橘王国の風景をいく
 高屋神社下宮からは左手に瀬戸内海を眺めつつ県道21号を北上。「大滝洞門」を抜けたら右の山手に入る細道へ。急坂を登れば、ミカンやビワの畑のなかの眺めのよい道に。山肌をトラバースするように自転車を漕げば、間もなく眼下に仁尾の町並みと干潟の海が。
ここまで自転車で登るのは大変ですが、絶景ですよ!
 

Section 4:ウユニ塩湖と昭和のまちなみ
 仁尾町にある干潟の海は「父母ヶ浜」。干潮時には広大な干潟になり、そこに残った浅い水面が空を映すことから「瀬戸内のウユニ塩湖」と称され、連休には2000人以上がやって来る観光スポットです。
父母ヶ浜。この日はイマイチなウユニ塩湖でした。

 しかしそこから離れると、仁尾のまちなみには静かなときが流れています。ここは瀬戸内海の原風景を残す港町。素朴なパン屋や食堂などがいまも健在です。
仁尾の路地にて。
 

Section 5:美しき瀬戸内海
仁尾から北は瀬戸内海の絶景が続く。

 仁尾のまちなみを過ぎれば交通量はぐっと減り、瀬戸内の眺めのいい県道234号を快走。「名部戸浜」「大浜」など砂浜へのアクセスも可。このあたりは瀬戸内海有数のうつくしい水面です。
小さな漁村が次々とあらわれる。

 坂道をいとわないサイクリストなら、途中の分岐(竜宮城みたいなトイレがある)から紫雲出山クライムがおすすめです。山頂(352m)からの眺めは瀬戸内海有数。ニューヨークタイムズの「2019年に訪れるべき52ヶ所」のひとつに瀬戸内海が選ばれましたが、そのサイトで掲載されていた瀬戸内海の映像は紫雲出山からの眺めなのです。
紫雲出山からの眺め。
 

Section 6:海の関所
 紫雲出山からの眺めがクライマックス、と思いきや、荘内半島、まだまだ見どころが。さらに県道232号を北上し、仁老浜・三崎方面へと脇道に入れば車道が尽きる仁老浜へ。ここからは徒歩で半島の先(三崎灯台)をめざします(徒歩で片道約45分)。
鄙びた漁村の仁老浜。

 半島の先端が近づくにつれ、尾根のピークに忽然と神社が見えてきます。この「三崎神社」の鳥居からトレイルを北に降りていくと小さな入り江が。ここは関ノ浦と呼ばれ、鎌倉~室町時代には沖を航行する船から税をとる「海の関所」があり、山口県の下関、中関、上関とならぶ瀬戸内海四大関所のひとつでした。雑木に埋もれる石積みなどに当時の集落の面影が。
半島のへの道。
 

Section 7:浦島伝説の海岸線
 仁老浜に戻ったら、荘内半島の東海岸を南下していきます(県道232号)。途中、「箱」という不思議な地名の集落が。というのもこのあたりは浦島伝説の地で、それにちなんだ地名が古くから残っています。
詫間まで気持ちのいい道が続きます。夕刻にはイノシシに注意!

 詫間の町に入ったら荘内半島サイクリングは終了(最寄りの駅はJR詫間駅)。詫間の須田港からは粟島や志々島への定期連絡船(自転車を載せることも可)があるので、さらに自転車旅を続けるのも可能です。
沖に見える粟島には海員学校(大正時代建築の木造校舎)や宿泊施設(ルポール粟島)がある。夏は夜光虫が光る海としても有名。

 1日あれば楽に巡れるルートなので、しまなみ海道サイクリングの延長戦にいかがでしょうか。四国に来たらぜひ体験してほしい荘内半島サイクリングでした。
 

(文・写真=大村嘉正)

◆参考になる観光サイト
かんおんじ観光ガイド 
三豊市観光交流局 

 
 
ライター
大村嘉正

四国の瀬戸内海暮らし。仕事は自然・旅系ライター&フォトグラファーで、生きかたはバックパッカーでリバーランナー。著書はラフティングガイドたちの1年を追った『彼らの激流』(築地書館)。

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