• アクティビティ

中島英摩が行く! フィールド迫るアウトドアの街・長野県伊那市、その暮らしぶりはいかに? ぶっちゃけお聞きしてきました。

2021.04.16 Fri

中島英摩 アウトドアライター

南アルプスと中央アルプスに囲まれた長野県南部の街・伊那市。
ここが今、さまざまな“自転車アクティビティ”に
力を入れる街としてひそかに話題になっています。
アウトドアライター中島英摩が1泊2日でその実情を探りに現地へ!
第1回・第2回に続き、座談会形式でフィールドが間近に迫る伊那市での
暮らしぶり、そしてその魅力をリサーチしてきました。

▶第1回「中島英摩が行く! 長野県伊那市で自転車×旅アクティビティ“チャリップ”体験してきました
 
▶第2回「中島英摩が行く! 初マウンテンバイクで長野県伊那市の最高すぎるトレイル、走ってきました

 

せっかくだから伊那在住のみなさんに
暮らしについてもお話を聞いてみました。

 伊那での充実したBIKE TRIP2日間を終えて、すっかり虜になったわたし。「住んじゃえばいいじゃん!」なんて笑って言われると、わりと真面目に考え始めたりなんかして。だってこんなに遊び回れる場所があったらどんなに楽しいだろう。アウトドア好きの移住やUターン、Iターンは最近よく耳にするけれど、その選択肢のひとつとして、伊那ってのはどうだろう。遊びは充分、じゃあ生活は? 利便性は? 子育ては? 伊那谷でのアウトドアライフを楽しむ、伊那在住の3人にリアルな声を聞いた。

座談会参加者(右から):
北原涼平さん:伊那生まれ伊那育ち。子どもふたり。家業の保険代理店に勤務。トレイルランニングや自転車を趣味にアクティビティを楽しんでいる。

武村信宏さん:CLAMP店主。バックカントリースキーやマウンテンバイクなどのガイド、自転車ショップなどで働いた後に長野へ移住。2011年に伊那に移住し、CLAMPをオープン。自転車のみならずあらゆるアウトドアアクティビティを提案する。

松元麻希さん:都内の出版社を退職後、スキー好きが高じて2017年に長野県松本市へ移住、2019年からは伊那市の地域おこし協力隊に着任したことをきっかけに伊那へ移住し、ライターや観光の仕事に携わっている。

—————

中島:初日はチャリップで伊那の街の中も少し通ったんですが、2日間通してアクティビティの体験だったので、実際の生活のしやすさという意味では「伊那」はどうですか?

松元:住んでみてわかったのは、街暮らしもほどほどにできて、遊ぶフィールドに近いということ。いわゆる“田舎暮らしをしてる”って感覚は全然ないんですよ。

武村:伊那はそれなりに街なんですよね。

©︎伊那市観光協会

北原:チェーン店も含めて、それなりの規模の店はあるので買い物に困ることはないですね。それに個性的な個人経営のお店も意外とあったりして、行ききれていないほどです。とにかく「人口に対して、やたら店の数が多い」って言われているんですよ(笑)

武村:ここ最近パン屋、カフェ、美容院など、雰囲気のいいお店が増えてきた気がします。一度県外に出て働いて、伊那に戻ってきて開業したという若い人も多いですね。

松元:わたしは月に数回ほど松本に行くので、そこでまとめて買い物をしたりします。伊那は諏訪にも木曽にも松本にも車で片道1時間で行けるんですよ! それがいいですよね~! ここにないものは少し足を伸ばせば手に入る。それに、通販で何でも買える時代ですからね。

武村:そういうえば松元さんは、冬に木曽方面へスキーにも行っていましたよね。

松元:はい、スキーが大好きなので、地の利を活かして長野の冬を満喫しています。

北原:東京、名古屋、大阪にも案外便がいいんですよね。バスも安いし。

アウトドア好き、外遊び好き、とにかくたくさん遊びたい!という人には住みやすいですよね。

武村:仕事の給料は東京や都市部に比べて安いかもしれません。でも、そのぶん生活費も家賃も安いですから。なにより、フィールドまでの距離が近いので、時間を有効に使えるのがいいですね。たとえば、東京からアルプスに行くには時間がそれなりにかかります。でも伊那に住んでいると天候次第でその日の予定を決められる。「今日白馬行こうかな!」みたいなこともよくありますよ。だから、生活していく上での満足度が高いんです。

中島:ひとり暮らしで収入もあまり高くないなか都内で暮らすわたしにとっては、アルプスへ通う予算が抑えられることも魅力に感じます。遠方からだとどうしても交通費や宿泊代がかかりますが、近くに住んでいればそれがネックになることがない。何度でも山に行きたい、思い立ったときすぐ気軽に行動したいわたしとしては、本当に魅力だと思います。

松元:伊那は穴場ですよね~!

武村:フィールドのどまんなかではないけど、どこからでも近くて、雪かきもないし、晴天率も高いので、暮らしやすいと思います。

中島:たとえば移住となると、その地域のコミュニティに入っていけるかな?とか新参者で大丈夫かな?という不安もあると思うのですが、その点はどうですか?

北原:伊那の人って結構新しいもの好きなんですよ。東京で流行っているお店が伊那にできるとみんなこぞって行くんです(笑)。好奇心旺盛で、新しいものが入ってくることにも慣れているし、結構開かれた街だと思いますよ。

中島:北原さんは東京に住んでいたこともあるんですよね?

北原:池袋のあたりに住んでいました。でも伊那で生まれ育ったので、伊那谷の奥行きと自然が恋しくなりましたね。

中島:それで戻って来られたんですね。もし伊那に住むなら、ここで仕事を探すことになるわけですが、最近の伊那での働きかたや仕事ってどんな感じなんでしょうか。若い人も活躍されていますか?

松元:伊那市はもともと、製造業を中心に食品・精密関係などさまざな企業があるんですが、それらの多業種が繋がり合っていろんな仕事が生まれているという背景があるんです。最近は異業種連携もたくさん生まれていて、新たなイノーベーションの可能性も秘めていると思います。

たとえば、企業に勤めずにフリーランスや副業などイマドキの働き方もできますか?

松元:もちろん、伊那にもコワーキングスペースやサテライトオフィスがありますよ! わたし自身もそうですが、新しい働き方や暮らし方をしたいと思っている人にも住みやすく働きやすい場所だと思います。

武村:地方に住むのも、都市部に住むのも、体験してみないとわからないじゃないですか。どちらも、ハマる人とハマらない人がいると思うんです。どっちがいいというわけではなく、住んでみてわかるっていう部分はありますよね。

中島:家族での暮らしについてはどうですか?

北原:0歳と3歳の子供がいるんですが、伊那で年間500人くらい子供が生まれていますが待機児童はいません。保育園も建て替えられたりして、結構きれいなんですよ。公園があって森が近くて、いくらでも遊び場があるのでストレスなく育てています。保育園の送り迎えはほとんどの方が車で混み合うので、わたしは自転車ですね。1kmくらいです。東京に比べれば交通量もすくないので走りやすいですよ。

松元:今回チャリップでいつも車で通っている場所をグラベルバイクで走ったら、全然見える景色が違ってびっくりしました! ずっと絶景でいいですよね! ロードと不整地の比率もちょうどよくて。

中島:実際、伊那でバイク(自転車)はどのくらい盛り上がっているんですか?

武村:バイクに乗っている人は徐々に増えてきていますが、まだまだこれからですね。もっと伊那でのバイクライフが日常になるといいなと思っています。そのためには、ほかの地域でやっていることをそのままマネをするのではなく、伊那での生活や土地に合う自転車の楽しみ方を提案していきたいですね。

中島:コロナ禍をきっかけに、移動手段やアウトドアアクティビティとして、都市部でもスポーツバイクが注目されていると聞きますが、なかなか不整地を走ったりロングライドをする人は少なくて、せっかくいいバイクを買ってもどうしても街乗りになりがちなんですよね。

松元:それではそのバイクの本当のポテンシャルを活かせてなくてもったいないですね。

中島:フィールドがわからないっていうのが理由のひとつだと思います。バイクパッキングも買うものが多くてなかなかハードルが高いですよね。

武村:バイクパッキングって、最初からテントを積んで、何日もかけて旅をしなくてもいいと思うんです。たとえばサドルバックに、ハンモックとコーヒーを詰めて、お気に入りのお店のメニューをテイクアウトして、公園でランチするみたいな気軽なところから始めるのもよいのではないでしょうか。

中島:なるほど〜! 街からフィールドが近くてそういう遊びが叶う場所、それが伊那なんですね。伊那の魅力、たっぷり伝わりました! いきなり移住ってわけにはいきませんが(笑)、遊びも暮らしも“ちょうどいい”場所、伊那のよいところをもっと知ってみたくなりました。次来た時は、カフェやパン屋さん、ブルワリーめぐりの案内もお願いします!

 

おまけ
自転車終えたらここ!
伊那市民おすすめ立ち寄りスポット

竜門

天竜川沿いにそびえたつ、ひときわ目立つこちらが竜門。焼肉や地元グルメを味わうことができる。

伊那グルメと言えば、ローメン。新名物「伊那餃子」にもトライ!

スーパーフード「アマランサス」という雑穀を皮や具材に使用し、信州味噌のタレで食べるスタイル。竜門さんの餃子は大きめで皮は薄め。

いざ実食。味噌ダレが野菜多めの具とマッチしてGOOD!意外とさっぱり、ローメンとセットでもペロリ。

<Data>竜門 住所:長野県伊那市中央4958 電話:0265-78-7151 営業時間:11:30〜13:30、17:00〜20:30(L.O.) 定休日:火曜日(月に1度不定休あり)

 
産直市場グリーンファーム

古びた椅子や家具、謎の機材に囲まれたここは「産直市場」らしい。う、うん、知らないと入るまで結構戸惑うかも。

良かった!美味しそうな地元の野菜が並んでる!直売所的なところだ!

と、思ったら冷凍食品コーナーには鹿肉や蜂の子。信州の昆虫食の品揃えが凄い。しかも業務用サイズ。

さらに奥に進むとガーデンコーナー。と思ったら観葉植物などに混じって、イワカガミ。山で写真撮るやつ!買えるの!?

骨董や古道具もある。宝探しのよう。このドリンククーラー、キャンプに使えるかな?

グリーンファームには、プチ動物園的な場所も。ヤギ、ロバ、猿、エミュー、孔雀、クマ(!)など。ヤギはレンタルできるらしい。庭の雑草を食べてくれる、という需要だとか。

やたら人懐っこいなと思ったら餌が欲しかったらしい。100円でにんじんをあげられる。

めっちゃアピールしてくる。

<Data>産直市場グリーンファーム 住所:長野県伊那市ますみヶ丘351-7 電話: 0265-74-5351 営業時間:8:00〜19:00 定休日:なし https://green-farm.asia

 
上蔵

おみやげにも、宿泊時の買い出しにもぴったり。伊那や信州のお酒が揃う酒屋さん。オシャレな外観!店内にもお酒に合うおつまみがたくさん。

お酒好きとしては目がハートになる日本酒の品揃え。ど・・・どれにしよう。

せっかく買うなら伊那のお酒を。伊那のブルワリーが醸造する今流行りのクラフトビール、シードルの国際コンテストで頂点に輝いたカモシカシードル、伊那が誇る酒蔵の日本酒。取材を忘れて買い占め。<Data>酒と食のセレクトショップ 住所:長野県上伊那郡南箕輪村8304-180 電話: 0265-72-2767 定休日:1月1〜3日 https://www.facebook.com/jokura.nagano/
(文=中島英摩、写真=佐々木健太、編集=福瀧智子)

中島英摩 アウトドアライター

ライター。テント泊縦走から雪山登山まで1年を通じて山に通う。趣味が高じてライターとなり、トレイルランニングの取材・執筆をメインに、国内外の長距離レースにも出場している。特技は走りながら取材すること。

Latest Posts

Pickup Writer

ホーボージュン 全天候型アウトドアライター

菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ

森山憲一 登山ライター

高橋庄太郎 山岳/アウトドアライター

森山伸也 アウトドアライター

村石太郎 アウトドアライター/フォトグラファー

森 勝 低山小道具研究家

A-suke BASE CAMP 店長

中島英摩 アウトドアライター

麻生弘毅 ライター

小雀陣二 アウトドアコーディネーター

滝沢守生(タキザー) よろず編集制作請負

宮川 哲 編集者

林 拓郎 アウトドアライター、フォトグラファー、編集者

藤原祥弘 アウトドアライター、編集者

ふくたきともこ アウトドアライター、編集者

北村 哲 アウトドアライター、プランナー

渡辺信吾 アウトドア系野良ライター

河津慶祐 アウトドアライター、編集者

Ranking

Recommended Posts

# キーワードタグ一覧

Akimama公式ソーシャルアカウント