• 山と雪

水平の世界から垂直の世界へ。コロンビアがめざす高所登山の試み —— WIN THE SUMMIT ACADEMY

2015.03.04 Wed

 コロンビア(Columbia)といえば、アメリカはオレゴン生まれのアウトドアウェアブランド。1938年のその昔、創業者のポール・ラムフロムが立ち上げた会社だ。創業当初は、小さな帽子問屋を営んでいた。コロンビアの社名は、このときに彼が名付けたもので、オフィスの近くを流れるコロンビア川にちなんで“Columbia Hat Company”としたのが、その始まりだった。

 ときは経て21世紀のいま、コロンビアといえば、アウトドアウェアを代表するブランドのひとつに成長している。アメリカ国内はもちろん、いまやアウトドア界を代表する世界規模の巨大ブランドになっているほどに。

 もちろん、日本国内においても「コロンビア」といえば、誰もが知る人気のアウトドアブランドである。では、コロンビアに持っているイメージといえば、どんなものだろうか?

 コロンビアと聞けば、フリースだったり、ダウンだったり、「Columbia」のロゴマークとともに数々のアウトドアウェアが思い浮かぶことだろう。では、それらのウェアはどんなシーンで使っているのかと問われれば……たとえば、ロングトレイルのイメージが思い浮かんだりはしないだろうか?
 
 イメージの感じ方が人によりけりなのは当然ながら、オレゴン生まれのコロンビアには、やはりアメリカナイズされたイメージが強くあるように思う。そしてアメリカでのアウトドアシーンといえば、大きなバックパックを背負って長い距離を移動する「ロングトレイルハイキング」がズバリと思い当たってしまう。

 それもそのはず、オレゴンにはアメリカを代表するロングトレイルのひとつ、パシフィックトレイルが南北を貫いている。つまり、水平歩きのアウトドア天国のようなフィールドである。その地で生まれ育ったアウトドアブランドに、水平歩きのDNAが織り込まれているのは、ある意味必然なのかもしれない。

 そのコロンビアが、今度は垂直の世界ヘ向けても本格的な活動をはじめている。やはり、フィールドは自然と広がっていくもので、それは一登山者という意識のうえでも、メーカーで生み出されてくる商品のうえでも言えること。水平世界で生まれたウェアの数々は、技術的な意味においても、山の高みで使ってもなんの遜色もないグレードを十二分に保持している。

 雨や風を防ぎ、汗を処理しつつ、身の安全を守る。従来から培ってきた防水透湿や耐久性といったテクニカルな技術を、垂直方向にも向けていく。それはある意味、コロンビアの必然なのかもしれない。また、コロンビアをまとっているユーザーたちに垂直方向への志が芽生えても、なんら不思議はないだろう。

 ロングトレイルをはじめてとして、キャンプや釣り、フェスなどのアウトドアシーン全般で人気を博すコロンビアだけに、山の世界でも同ブランドの魅力を味わってほしいという強い想いがある。ブランドにまつわるそんな状況を鑑みて、はじめられたのがこのプロジェクトだ。

 試みはすでに去年から始まっているが、コロンビアスポーツウェアジャパンが企画したのは“WIN THE SUMMIT ACADEMY”と題した「コロンビア登山学校」である。

 どんな学校なのかといえば、高所登山をめざすための学校である。学校であるからには、ひとつひとつの技術を学び、実践を重ね、ステップアップしていくことが大前提となる。

 そしてコロンビアがめざしているのは、まさにその点にある。

 ステップ1、2、3と段階をわけ、それぞれに机上講習会、実技講座、シュミレーション登山といったテーマを設けている。そして、最終的にめざすのは4,000mや5,000m級の高所である。

 講義を受ける側は、なにも特別なことはない、ごく一般の登山者たちである。彼らのうちにも、いつかはあの頂へ、という思いを持つ人たちは数多くいる。とはいえ、いくらモンブランに登りたいと思っていても、いつかはヒマラヤへと願っていても、一般の登山者にすればなにをどうすればいいのかわからないことだらけ。

 そこに架けられたハシゴが、この登山学校だと思えばわかりやすい。そういう意味で、一般ユーザーの目線に近いコロンビアが、この企画を立ち上げた意義はとても高いように思う。

 さて、では具体的にはどんな学校なのか。当然、高所登山に長けた講師を立てねばならない。一般の登山者を安心安全に高みに登らせる。これは、並大抵の人ではできない仕事だ。そこで、コロンビアがタッグを組んだのが、国際的なクライマーである近藤謙司さんだった。

「近藤謙司」といえば、泣く子も黙るスペシャルなクライマーである。チョモランマ(エベレストのチベット側の名称)冬季北壁最高地点到達の記録保持者で、チョーオユーやチョモランマでは当時の最高齢登山者を山頂に導いたこともある。アイガー、マッターホルンはもちろん、最近では2013年にエベレスト(ネパール側の名称)よりローツェへの連続登頂をも達成している人物だ。世界の山岳界が認める「国際山岳ガイド」である。

 この近藤謙司さんが、本企画、“WIN THE SUMMIT ACADEMY”の学長として就任。そして、同氏が代表を務める山岳ガイド・ツアーカンパニーのアドベンチャーガイズが、登山学校の実質的な運営を開始することになった……。

(つづく/次回は、WIN THE SUMMIT ACADEMYの詳細に迫る!!)

          

■WIN THE SUMMIT ACADEMY 2015参加者募集中!!

STEP3 高所登山 AGエベレスト公募登山隊応援トレッキング
・エベレスト・カラパタール登頂とエベレスト・ベースキャンプ 19日間
2015.4.9(木)〜27(月) 498,000円 
エベレストやローツェなどをのぞむこの山域随一の絶景の頂、5,000m峰のカラパタールに登頂後、クーンブ表がの源流部へ。エベレストのベースキャンプからアイスフォールのダイナミックな景色を堪能する。

・ロブチェ・ピーク登頂とエベレスト・ベースキャンプ滞在 23日間
2015.4.9(木)〜5.1(金) 675,000円
6,000m峰のロブチェ・ピークに登頂して、エベレストのベースキャンプまで同行するツアー。一般トレッカーが滞在できないベースキャンプでも、登山隊を訪れるかたちであれば、滞在が可能に。
           

コロンビア登山学校の詳細および申し込みは、アドベンチャーガイズへ
TEL.03-5215-2155
info@adventure-guides.co.jp

              

登山学校についての詳細はコチラ↓

Latest Posts

Pickup Writer

ホーボージュン 全天候型アウトドアライター

菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ

森山憲一 登山ライター

高橋庄太郎 山岳/アウトドアライター

森山伸也 アウトドアライター

村石太郎 アウトドアライター/フォトグラファー

森 勝 低山小道具研究家

A-suke BASE CAMP 店長

中島英摩 アウトドアライター

麻生弘毅 ライター

小雀陣二 アウトドアコーディネーター

滝沢守生(タキザー) よろず編集制作請負

宮川 哲 編集者

林 拓郎 アウトドアライター、フォトグラファー、編集者

藤原祥弘 アウトドアライター、編集者

ふくたきともこ アウトドアライター、編集者

北村 哲 アウトドアライター、プランナー

渡辺信吾 アウトドア系野良ライター

河津慶祐 アウトドアライター、編集者

Ranking

Recommended Posts

# キーワードタグ一覧

Akimama公式ソーシャルアカウント