• 山と雪

【海外登山】フィリピン・セブ島の最高峰を踏み、エメラルドグリーンの滝まで縦走しよう。前編

2020.07.07 Tue

鈴木純平 ライター、編集者、同人作家

■南の島でアドベンチャー

フィリピン セブ ジープ バス ジプニー亜熱帯のリゾートとアジア特有の混沌とした街並みの雰囲気を味わえるセブ。写真の車はジプニーというジープをバスに改造したもの。

 いやー、早く海外に遊びに行きたいですね。でも行けないですね(泣)。こんな状況で誰が海外の登山情報を知りたいねん! と突っ込まれそうですが、ぼくみたいに海外への妄想を膨らませているムッツリアウトドアズマンが必ずいるはず。ということで、今回は以前、ぼくが行ったフィリピンでの登山記を書こうと思います。

 みなさんはセブ島をご存知でしょうか? 日本人からは安価な語学留学先として有名な場所で、透き通った海を持つことでも人気なフィリピンのリゾート地。

 彼の地に行った日本人留学生の多くは、英語の勉強そっちのけで遊ぶことになります。かく言うぼくも数年前に英語の勉強のために滞在していたのですが、安い物価にかまけて毎日飲みに行ってしまって、思うように英語力をあげることができなかったです。

 それはさておき、そんなリゾートアイランドであるセブ島にも人気の山登りスポットがありました。その頂の名前は「オスメニャピーク(Osmeña Peak)」。標高1,015mの低山ではあるものの、海が近いのでその標高以上のスケールを感じさせてくれて、シービューも楽しめます。

 インターネットでいろいろ調べていると、オスメニャピークから縦走して歩けば、島の対岸にある人気の滝群「カワサンフォールス(Kawasan Falls)」まで抜けられると英語のサイトに書いてありました。

フィリピン セブ ダラギュテ オスメニャ ピーク カワサンフォールスぼくたちは東側にあるダラギュテ(Dalaguete)という海辺の街から、赤い印のオスメニャピークに行き、カワサンフォールスヘ。

 中学英語もままならないうえ、読み方のわからない地図しかなかったのですが、現地に行ってみればなんとかなるだろうと高を括り、日本人の友人フミ君と、セブで知り合った日本語を学んでいたフィリピン人の友人グレンと1泊2日の旅に出ました。

 1日目はセブのダウンタウンからバスに乗り、オスメニャピークにアクセスしやすい港町「ダラギュテ」に向かいました。セブ島には高速道路もないので、ひたすら5時間バスに揺られて一般道を南下。片側一車線の道路なので、前が遅いとひたすら時間がかかります。

フィリピン セブ 路線バス50人ほどが乗れる路線バスに揺られて。エアコンはない車両は暑かったら窓を開けるしかない。

 山を登るだけなら日帰りでもなんとかいけますが、ぼくの目的は島の反対側にある滝まで縦走することだったので、前泊するプランを組んでいたのです。

 目の前に海が広がるホテルに宿泊し、近所のレストランでシーフードに舌鼓。

フィリピン セブ シーフード 伝統料理シシグフィリピンの伝統料理シシグは、細かく刻んだ肉と野菜を酢とフィリピンの醤油?で炒めたもので、ビールと最高に合います。と言いつつシシグは上に見切れているものですが。中央に写っている料理は、フィリピン近海で取れた魚介類を贅沢に使ったシーフードプレーター。500ペソ、日本円にして約1,000円と結構いい値段だが、ピリ辛の味付けでビールが進んだ。

フィリピン セブ 賭博屋台関係ないけどセブ島は夜も楽しい。湿気を帯びた生ぬるい空気をまといながら散歩していると、どこでもローカル味帯びた屋台に出くわします。この日、ダラギュテの町の広場では食べ物の屋台のほかに賭博屋台が出ていて、みんなでルーレットに興じていました。


■海抜0メートル。海から山へ一気に駆け上がる。

フィリピン セブ 翌朝、引き潮になった海辺を散歩して迷子になった魚やカニたちを観察し、海にお別れ。

 いよいよオスメニャピークに向かいます。

 セブ島最高峰と書きましたが、じつはその登山道はたいして長くなく、登山口まで道路が通じているのでタクシーなどで行けちゃいます。ぼくらもいちばんポピュラーな行き方であるバイクタクシーを捕まえました。というか逆に捕まえられました。細かくは覚えていませんが片道30分程度のツーリングで、ひとり頭200ペソ(400円程度)だったと思います。

フィリピン セブ 125cc バイク笑ってしまうのですが、フィリピンでは125ccのバイクに平気で5人乗りしてしまうので本当に逞しい。ぼくたち3人もドライバーの後ろに乗り、トロトロと田園風景のワインディングをすり抜けて登山口へ。

 登り坂ではエンジンがうめくし、ウィリーしないかと心配に。数回直面した下り坂ではみんながつんのめるしブレーキが悲鳴をあげるしで、本当に行きだけの乗車でよかったなと安堵しました。

 登り口には小さな商店がいくつかあり、スナック菓子を買うことができます。一応このあたりの有名な観光地でもあるので商売が成り立つのでしょう。そこでしか買えないお土産もあるという噂でしたけど、発見できず。とりあえず、この後の長旅を見越して行動食と水を補給しました。

フィリピン セブ 飲料水ビニール袋に水を入れてストローでチューチュー水を飲む。ぼくもそのスタイルが好きでしたが、長期戦になるのでこの時は持参したボトルへ。

 フィリピンでは水道水が飲めず、現地の人も飲み水は買っています。なので街のいたるところにこのようなウォーターサーバーがあって、1回1ペソ(2円程度)でたぶん300㎖ぐらいの水を買うことができるんです。

フィリピン セブ オスメニャ ピーク キャベツ畑を歩いているときにやってきたストレイドック(野良犬)。なんとなく撫でる気にはならなかったけど人懐っこかった。

 さて、いよいよ登るわけなのですが、はじめに申し上げておきますと、オスメニャピーク登山はAkimama読者の望む険しく長い登山道ではありません。ゴツゴツした岩場もあり、急勾配もありますが、登山道を30分も歩けば頂上に着いてしまうとても楽チンな山なんです。だからわれわれはサンダルやスニーカーで登っちゃっています。

 しかし今回の目的は縦走とその先にあるので、いまはガマンして読み進めていただきたい。


■インスタ映えな頂上へ!

フィリピン セブ オスメニャ ピーク登山口で入山料30ペソを支払い、いよいよハイキングスタート。

 もともと地元では知られていたそうですが、SNSの普及により、ここ何年かで、さらに人気のスポットになったというオスメニャピーク。子どもでも労せず登りきれるかんたんなコースなのに、360°のパノラマで海から山までを一望できる開放感を感じることができちゃう。そして、夜にはキレイな星空を眺められるということで夜間登山やキャンパーの人たちからも人気の場所となっています。

 先ほどの売店のところには地元の子どもたちがいて「100ペソ(金額はうろ覚え)でオスメニャピークの頂上まで案内するよ!」と声をかけて来ますが、正直ほぼ一本道なので迷う心配はなし。ですが現地の人と触れ合いたいならたいした金額じゃないので払うのもいいかもしれません。

 そんで、みなさんも気になっているであろう登山道ですが、正直、道中はとくにシャッターを押すまでもないという感じだったので写真はありません!

 あっという間にたどり着いた山頂は、聞きしに勝る見晴らしのよさでした。常にあたたかいセブ島ライフですが、さすがに標高1,000mになると涼しい感じがします。足場の悪い頂上付近を転ばないようにトンガリに座って記念写真。

フィリピン セブ オスメニャ ピーク自分が湯浅弁護士みたいな髪型になってるのが気になりますが、寝癖をつけながら登れる朝飯前の軽登山と言うことで。

 後ろに広がるのは、KISSチョコのようなかたちのとんがった小さな山々。そしてその奥にはタニョン海峡(Tanon Strait)の鮮やかなブルーが広がります。

 調子に乗ってベアフット系のサンダルで登ったぼくですが、足の指を岩にぶつけてちょっとだけ負傷したので、みなさんはぼくと同じ轍を踏まないようにご注意を。
 

次回、インスタ映え〜な滝で遊びます。
後編はこちら

フィリピン セブ

鈴木純平 ライター、編集者、同人作家

知られていない情報を読者に届けることが生きがいの、同人誌上がりの編集者・ライター。某出版社にてアウトドアライフスタイル誌の編集を5年経験したのち、2018年よりフリーランサー。アウトドアに身を置くのが好きだがすべてが中途半端、故に自分語りではなく取材を嗜好する。唯一ネットサーフィンは得意で、おもしろい物事や人を見つけるのは上手。
Blog:wakagenoitary.com

Latest Posts

Pickup Writer

ホーボージュン 全天候型アウトドアライター

菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ

森山憲一 登山ライター

高橋庄太郎 山岳/アウトドアライター

森山伸也 アウトドアライター

村石太郎 アウトドアライター/フォトグラファー

森 勝 低山小道具研究家

A-suke BASE CAMP 店長

中島英摩 アウトドアライター

麻生弘毅 ライター

小雀陣二 アウトドアコーディネーター

滝沢守生(タキザー) よろず編集制作請負

宮川 哲 編集者

林 拓郎 アウトドアライター、フォトグラファー、編集者

藤原祥弘 アウトドアライター、編集者

ふくたきともこ アウトドアライター、編集者

北村 哲 アウトドアライター、プランナー

渡辺信吾 アウトドア系野良ライター

河津慶祐 アウトドアライター、編集者

Ranking

Recommended Posts

# キーワードタグ一覧

Akimama公式ソーシャルアカウント