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アウトドアクラブ南阿蘇knotが手掛けるツリーイングに挑戦! 地震の爪痕残る熊本で、とびきりの笑顔に出会ってきました。

2017.06.04 Sun

HAL パティシエスケーター

 今回の熊本行の切っ掛けは「ラーメン一杯の価格に挑戦セール! 片道802円〜」という某LCCのセール広告。なんとムチャなとは思いつつ、もしかするとラーメン一杯で行けるんじゃないの? 熊本……と、ヨコシマな希望を抱きつつ、PCと格闘すること数時間。でも、世の中はそうそう甘くはないようでした。結果は惨敗。やはり、ラーメン一杯分の価格では、熊本へのチケットなどゲットできるはずはない! が、一度もたげた熊本行への思いは潰えることなく、気が付けば、ちがうチケット購入ボタンをポチッと押していた。正規料金よりは少し安かったけどね。

 何はともあれ熊本である。個人的には縁もゆかりもなかった熊本なれど、昨年4月の震災以降、南阿蘇に住んでいた友人とその仲間たちをサポートする関係が生まれ、東京からテントを送ったり、自家製のガトーショコラ(じつは私の本業はパティシエです)を送ったりしていた。そんな流れで、自分の中でも熊本熱は上昇するばかり。

 あれから一年、報道では復興が進んでいるイメージはあるけれど、見えていない部分はまだまだだという話も聞いていた。日々の仕事に追われ、熊本になかなか行けずにモヤモヤした気持ちを抱えていたのだが、冒頭のラーメンが背中を押してくれたようだ。切っ掛けはともあれ、熊本行は確定した。ならば、被災地のいまをこの目で見て、たしかめ、そして思い切り楽しんでやろう。
右の男性がアウトドアクラブ南阿蘇knotの代表、増田一正さん。南阿蘇のフィールドの魅力を伝えるべく、久木野のキャンプ場を拠点に活動を続けている。で、左が私、HALです
 で、南阿蘇の友だちとその仲間たちが何をしているのかといえば、じつはこのチーム、地元の山岳ガイドたち。その中心的な人物が増田一正さんで、彼は現地で“アウトドアクラブ南阿蘇knot(ノット)”を主催している。そのベースは、南阿蘇村の久木野地区。阿蘇山を眺め、阿蘇外輪の山々を背にした自然の豊かなところで、この地にある久木野教育キャンプ場がノットの活動拠点となっている。
 
 空港からここに至るまでは市内経由で来たのだが、南阿蘇へと車を走らせるにしたがって地震の爪痕があちらこちらに目立つようになってくる。崩落してしまった阿蘇大橋は未だ当時のままで、山肌が根こそぎ剥ぎ取られているのが遠目からでもわかるくらい。工事関係の人の話では、道路は急ピッチで補修されているとのことだったが、旧道だった橋を再建したり、新しくトンネルをつくったりと大変なことも多く、完全復旧にはいつになることやらといった状況でもあるそうだ。
震災から一年以上が過ぎたものの、阿蘇大橋の周辺はまだこんな具合。それでも、現地の人たちは少しずつでも前へと進む
 とはいえ、現地の人たちはすこぶる元気。前を向いて一歩ずつでもしっかりと歩いている。そのひとりでもある増田さんは、自分たちの仕事でもあるアウトドアで熊本を元気にするという使命を抱えているつもり、と語る。そこで今回はノットのアクティビティでもあるツリーイングを体験させてもらった。聞けば、地元の子どもたちにも大人気という。

 ツリーイング初体験の私なれど、むずかしいことは決してなく、あっという間に15mもの高みに到達。でも本当は頭を使うスポーツらしく、そのシステムが体験用にしっかりと構築されているゆえに、私でも簡単にできたんだと思う。増田さん曰く、まずは体験をしてこのヨロコビに触れてもらうことが大切。とにかく楽しんで欲しいので、敷居は低く、だれでもできるようにしています、と。

 たしかに、純粋に楽しい。木登りのイメージといえば、手足を使って幹や枝をよじ登るというのが定番だけど、こちらは、いうなればロープとハーネスを使った新感覚の木登りかな。ちなみに、具体的にはこんな具合。
童心にかえるとはこのことで、もはや樹木の枝と化した参加者たち。黙々とロープを繰り出していると、アッという間に木のてっぺんに着いてしまう。それほど、わかりやすい
 装備はヘルメットにグローブ、ハーネスだけ。片足をロープの輪にいれ、ロープごと引っ張り上げる、ここからがスタート。コツは手で引っ張り上げるのではなく、片足についたロープをお尻の下に持っていき、足で押し上げるイメージだ。ロープの結び目を、どこを持てばいいかさえ分かっていればあとはそんなにむずかしいことはない。また、最初に教えてもらった簡単な滑り止めをつくれさえすれば、落ちる心配もない。子どもたちにも簡単にできるし、なにより単純作業。ツリーイングが人気なのもわかる気がする。

 無邪気にロープを上げ、押し出しを繰り返していると、気がつくけば終点付近。下をのぞくとだいぶ登っていたものの、高さを感じさせないくらい気持ちがよかった。風が心地よくってね。木の股に腰を掛け、樹間越しに見え隠れする阿蘇山をしばし眺める。地震のことを思えば、複雑な気持ちにもなるけれど、阿蘇はなんともいいフィールドだ。こうやってツリーイングを体験させてもらったことに感謝。

 現地に来て、しっかりと遊んでもらう。いい思い出を持ち帰ってくれることが、熊本の元気にもつながって行くんだ、と、増田さんも笑顔で語ってくれた。ラーメンのひと押しなどと言わずに、素直にまた熊本に来ようっと。

 

◾️アウトドアクラブ 南阿蘇 knot
ツリーイング体験はHPからも申し込み可能。
http://knot.webnode.jp/treeing/

 

(文・写真=HAL/移動型オーダーパティシエ。キャンプよろず相談所で各地のフェスに出没。スノーボードとスケートボードをこよなく愛し、コーチもこなす。結局何でも屋。ホームページ「HAL presents」)

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