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メイド・イン・ネパール。辺境フォトグラファーが手がけるフィールドバッグ「ザ・サード・アイ・チャクラ」がカッコイイ。

2017.02.25 Sat

 世界でも辺境地での撮影を得意とするプロフォトグラファーがデザインした撮影用フィールドバッグ「The 3rd Eye Chakra(ザ・サード・アイ・チャクラ)」が、とにかくかっこいい。高機能で実用的なカメラバッグでありながら、高いデザイン性を誇り、ネパールの産業振興や生活向上にも一役買っている。

 いわゆるカメラバッグと呼ばれるものを、過去にもいくつか使用してきた。電子機器であるカメラを収納するうえで、バッグに求めたいものはクッション性であったり、ある程度の防水性や耐候性であったり。もちろん使い勝手のよさも欠かせない。しかし、機能性がともなうといかにも「カメラを持ってます!」「このなかにカメラ入ってますよ!」みたいなデザインになっているものが多い。とくに、辺境の地などに行くときは、できればカメラバッグに見えないカメラバッグ、そんなものを門谷さんも長年求めていたという。

このバックの開発者であるフォトグラファーの門谷優氏。高校、大学と登山に打ち込み、プロスキーヤー三浦雄一郎氏のヒマラヤ遠征に参加。ネパールの美しさと文化に魅せられる。大学卒業後にネパールが抱える現実を被写体とし、撮影活動を開始。国内外の山岳や辺境などのドキュメンタリー撮影に従事し、人物にスポットをあて、その生きざまを撮り続けている。

 で、見つけたのが、このフィールドバッグ。The Field Bag#001 (ザ・フィールドバッグ#001)だ。一見すると、カメラバッグには思えない。どこから開けるのかもちょっと考えてしまうデザイン。それは開発者であるフォトグラファーの門谷優氏のねらいでもある。

メッセンジャーバックのようでもあり、まさに袋! といったデザインのザ・フィールド・バッグ#001。カメラバッグには見えないよさがある。

「防犯性も抜群ですよ」と門谷氏。長年、ヒマラヤや辺境地でのフィールド撮影に携わってきた同氏。あらゆる経験がこのバッグには詰まっている。カメラを取り出すときは、側面のバッグルを引けばガバッと大きく開口。

大きく開き、カメラが取り出しやすい。内部はカメラ本体やレンズを仕切れるようになっている。

一瞬を撮り逃がさない。内部は明るい配色でひと目でわかる。収納するときは側面のテープ部分を、サッと引けば丸まった袋状に。斜め掛けもできれば、簡易的にザックのように背負うこともできるのだ。

(左)簡易的に背負うこともできる。(右)ネパールといえば仏教国。Dリングには仏具師が作る真鍮を使用。

 門谷氏が手がけるこのザ・サード・アイ・チャクラは、すべてネパールで生産されている。ネパールは、いまだに身分社会制度(カースト)がある国だ。2015年4月25日に発生した地震では多くの建物が崩壊し、いまもテントで暮らしている人が多くいる。家族や職を失い、物資もなかなか届かない。自立をするにしても、個人の自由や基本的人権などは、なかなか認められない現実もある。そんなネパールで工房を作り、ネパール人の縫い子を教育し、持続可能な産業を興し、メイド・イン・ネパールにこだわることで、復興への一助につながる。

工房の様子。17歳の彼女は毎日片道2時間以上かけて工房にやってくる。インフラが不安定なネパールでは足踏みミシンが主力だ。

 そのような、決して恵まれているとはいえない状況のなかでも、たくましく生きる人たちがいる。そんな人びとに寄り添い、ともに歩んでいるのが、このザ・サード・アイ・チャクラだ。

バッグ材料。耐久性にすぐれた高品質の素材を日本から輸入している。

ネパール国内に独自の工房を構え、現地で縫製技術を身に付けたネパールの人々が一針一針、ミシンを踏んでいる。

単なるバッグブランドではなく、フェアトレードな産業を地域に根づかせるという側面もあるプロジェクトでもあるのだ。

ザ・フィールド・バッグ#001には、S、M、Lと3種類の容量がある。

 質実剛健。高山をのぞむ地で生きるネパールの人びとを、そのまま落とし込んだようなデザイン。カラフルなバリエーションは、青空にはためく祈祷旗のタルチョを彷彿とさせる。遙かなるヒマラヤに思いを馳せつつ、撮影用だけでなく普段にも使いたいフィールドバッグだ。

The 3rd Eye Chakra
http://t3ec.net/

(文=須藤ナオミ)

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