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シューズに強いサロモンがとてつもなくいいバックパックをつくった話+α

(2019.03.28)

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「正直にいって、この値段でこのクラスのパックをつくられてしまったら困ってしまう」という関係者の声も上がっていると聞く。なぜならサロモンは、バックパックのブランドではない。それなのに、この仕上がりはなんなんだと。
 
 満を持して、という言葉が正しいかどうか、サロモンは軽量パックの新しいラインとしてOUT WEEK38+6、OUT NIGHT30+5、OUT DAY20+4という3つのモデルをこの春に登場させた。いわばOUTシリーズともいえるラインナップであり、サロモンお得意のスピードハイクやライトハイキングといった「軽量」で「スピード」を伴うジャンルが、そのテーマとして貫かれている。

 いちばんサイズの大きなOUT WEEKを例にとって、商品を細かく見ていこう。まず、基本のスペックはこちら。

OUT WEEK38+6
16,000円+税 背面サイズ:S/M、M/L サイズ:70×27×27cm 容量:44ℓ 重さ:815g(M/L)

38+6ℓ、総容量44ℓの中型パック。このサイズで本体重量は1kgに満たない。スマートなフェイスの通り、その性能もかなりスマート。
 見た目はライト系の中型パックそのもの。いかにも軽そうな雰囲気が出ているが、それもそのはず。M/Lサイズで815gという数値。トレラン用のパックのように飛び抜けて軽いわけではないものの、用途がちがうのだから当たり前。走ることを前提としていないモデルで1kgを切っていれば、十分に軽い。

 大きなインパクトとしてまず目に飛び込んでくるのは、雨蓋と本体をつなぐ前面のストラップのかたちだろう。パッと見は一本締めのようであるが、じつは左右2本のストラップを効率よく1本で締めるという手法。なるほど、これならば本体へのコンプレッションもしっかりと掛けられ、しかもバランスもいい。ちょっとしたアイデアではあるが、思わず納得してしまう。
背面のシステムは、なんとバタフライの羽のような仕組み。バックパネルが本体から離れるようになっており、驚くほどの通気性を誇る。 
 そして前面から見えない部分のシステムも独特。平たく撮ってしまえばごく普通のバックパネルと見紛うが、じつはこれバタフライ方式となっていて本体とパネルがご覧のように自由に「開閉」する。これによって、バックパネルは柔軟に身体のかたちに沿ってほぼ完璧にフィット。本体との空間がしっかりと確保されるため、しぜんと空気の循環が生まれて通気性能が飛躍的に上がっていく。バックパネルのフォームもショルダーハーネスもがっつりと肉抜きしているので、熱が素材にこもってしまうことも少ないだろう。暑い時期に使うなら、かなり理想的。
ショルダーストラップもバックパネルも思い切りのよいほどの肉抜きフォームを使っている。
 また、ウエストハーネスにはストレッチ素材を使っており、上体がどんなに激しい動きをしても腰全体を柔軟に確保する。つまり、ショルダーとウエストのハーネスで身体全体が包み込まれているような状態となる。これなら、バックパック本体はつねに背中の正しい位置にあることとなる。よくできている。

 ディテールの部分は下の写真群を見てほしい。フラスク専用の収納ケースやハイドレーションホール、ウエストハーネスの小物入れにポール用のストラップなど行動時に必要となるシステムも、もちろん標準装備。フロントパネルが大きく半円状に開くのは、特に使いやすい。
(左上)ショルダーハーネスに設けられたフラスク専用の収納ポケット。伸縮性があり、出し入れしやすい。(左下)もちろん、ハイドレーションも使用可能。本体上部にちゃんとチューブ用のホールが設けられている。(右上)これは、チェストストラップの取り付け部分。ショルダーハーネスの一部に取り外し可能なギミックが隠されている。(右中)本体内部へのアクセスは、ストラップに取り付けられたプルタブを引っ張ればワンタッチでフルオープンに。(右下)トップを開けずとも本体内部への簡単アクセスも可能。大きく開くU字型のパネルファスナーはとても便利。
 そしてなるほど、これはいいなと思えるのは、雨蓋がワンタッチで簡単に取り外しできること。付け根のクリップを上手に使えば、取り外した雨蓋はチェストバッグとしても流用できそうだ。でも、いいなと思えるのは別のこと。雨蓋を取り外した状態でもパックとして成り立つようにつくっていることだ。このフォームがなかなかに凛々しく、雨蓋がないほうがむしろカッコウがいい。荷物がより軽量で済むなら、雨蓋なんか要らないのではとさえ思ってしまう。とはいえ、この使用幅の広さがOUT WEEKの魅力なのだろう。
雨蓋なしでも商品として十分に成り立つ。まるで、登山用のアタックザックのようなフェイスである。
 さらに、ここだけでは終わらない。総容量は44ℓとなっているが、モデル名の表記は38+6。この6を表現しているのは雨蓋ではなく、フロントポケットなのである。ここで使っているのは4WAYストレッチのナイロン素材。縦横ノビノビ、驚くほどの伸縮率で6ℓ分のプラスアルファの収容能力を誇る。そして、二股に分かれたフロントストラップは、ここに入れた荷物もしっかりと固定する。まったく、うまくできていると思う。
このノビノビ率は、たいしたもの。ともするとプラスアルファの6ℓ以上、入れられるような気も。
 ところでこの素材、じつは前からパンツで使われている。その名もWAYFARER PANTである。登山向けに補強が施されたMOUNTAIN PANT、シルエットがきれいなテーパードフィットとスタンダードなストレートフィット、ショートパンツの4種類がラインナップされている。どのモデルもかなり評判がよい。ちなみにテーパードパンツのスペックは以下。

WAYFARER TAPERED PANT M
9,800円+税 サイズ:46/R、48/S、50/S、52/S 重さ:265g(50)

OUT WEEKのフロントポケットに使われているのと同じ素材で、縦横斜めと伸縮性はかなり高い。

 伸縮率がいいということは、もちろん履き心地がいいということ。4WAYストレッチとはいうものの、実際に履いてみた感覚からいえば、ほぼあらゆる方向への伸び縮みができる。手で左右に引っ張ってみても、こんなに伸びてしまって大丈夫なのかというほどに伸びる。もちろん伸び切ることもなく、元通りには戻るわけで。これなら、例えばクライミング用のパンツとしてもまったく不快感なく使えるだろう。足上げ時の引き攣りなどとは無縁だ。

(左)太ももの部分の布を左右に思い切り引っ張ってみると、(右)え!? ここまで伸びるのかというほどにノビノビ!!!

 ウエストはベルクロによってサイズの調整もでき、ベルト要らず。さらにWAYFARERはアドバンスドスキンシールドというテクノロジーを採用している。完全なシェルとして使えるわけではないが、素材の目が密に編み込まれ風を通しにくく、フィールドでの活用範囲はかなり広い。また、このパンツのニクいところはブルーサインにも認証されていることか。

 最後にサロモンのもっとも得意とするシューズの紹介もしておこう。今回のOUT WEEK、WAYFARER PANTと合わせ、ライトハイキングに向いているのがこちら。

OUTline GORE-TEX13,000円+税 
MEN サイズ:25.0-28.5cm 重さ:350g(27.0)
WOMEN サイズ:22.0-25.0cm 重さ:290g(24.0)

Outlineのローカットモデル。

OUTline MID GORE-TEX15,000円+税
MEN サイズ:25.0-28.5cm 重さ: 415g(27.0)
WOMEN サイズ:22.0-25.0cm 重さ:345g(24.0)

Outlineのミッドカットモデル。

 ゴアテックスのライトモデルである。名前にあるように、まさにOUTシリーズの一環と位置付けられるシューズだ。トレランシューズの柔らかさはないけれど、登山靴のようにハード過ぎることはない。それは見た目だけでなく、ソールの硬さにも比例している。

 重過ぎない荷物で長い距離を歩くのに適したモデルで、足入れ感覚は守られ感が強く、深めのアッパーとミッドソールが足裏全体を包み込むかのようである。アウトソールはサロモン独自開発のコンタグリップ。泥も岩もしっかりと掴み取ってくれるパターンを刻み、安心感も高い。

 そして、ゴアテックスなだけに、防水透湿の面でも問題はない。特にベロの部分がアッパーと繋がっているので、物理的に見ても水の浸入の心配はない。シューレースにも工夫があり、敢えてD環を使わずに布地の平たいパイピングを選び、足の甲全体へのフィット感を重視している。
(左上)ベロと本体が一体化している構造なので、防水性はより高い。(左下)アウトソール/ミッドソールとアッパーを繋ぐ部分のカップ構造はかなり深め。(右上)シューレースはD環を使わず、平たい布のパイピングに。また本体惻部のパターンはアッパー部分を強化しつつ、まるで両手で足を包み込むようなフィット感を得られるセンシフィットというテクノロジーが使われている。(右下)コンタグリップはサロモン独自開発のアウトソール。
 これだけ機能面が充実しているので、ややオーバースペックとなるかもしれないが、フィールドでのハイキングだけでなく、キャンプやフェスなどの普段履きとしても使いやすいだろう。なにも気にせずに履いていられるというのは、やはりいいことなんだと思う。

 さて、OUT WEEK、WAYFARER PANT、OUTlineとこの春注目のサロモン3商品を一気に紹介して来たけれど、今度はちゃんとフィールドで試したいもの。また、改めてAkimama流のインプレッション記事にて、突っ込んでいきたいと思います。そろそろ山の雪も溶けますからね〜。

 
 
  

OUT WEEK38+6
16,000円+税 背面サイズ:S/M、M/L サイズ:70×27×27cm 容量:44ℓ 重さ:815g(M/L) カラー:MEDITERRANEA、CITRONELLE SUPHUR SPRING、EBONY
 
 

WAYFARER TAPERED PANT 9,800円+税 (上段/MEN)サイズ:46/R、48/S、50/S、52/S 重さ:265g(50) カラー:BLACK、NIGHT SKY、URBAN CHIC (下段/WOMEN)サイズ:32/R、34/S、36/S 重さ:255g(38) カラー:BLACK、NIGHT SKY、BALSAM GREEN
 
 

OUTline GORE-TEX MEN
(上段/ローカット)13,000円+税 サイズ:25.0-28.5cm 重さ:350g(27.0) カラー:BLACK×PHANTOM×MAGNET、URBAN CHIC×BLACK×GREEN×MILIEU、NAVY BLAZER×INDIGO×BUNTING×QUARRY、EBONY×BISTRE/PEARL BLUE (下段/ミッドカット)15,000円+税 サイズ:25.0-28.5cm 重さ:415g(27.0) カラー:BLACK×BELUGA×CAPERS、 BURNT OLIVE×CITRONELLE×BELUGA、MEDIEVAL BLUE×CASTOR GRAY×GREEN MILIEU

OUTline GORE-TEX WOMEN(上段/ローカット)13,000円+税 サイズ:22.0-25.0cm 重さ:290g(24.0) カラー:PHANTOM×BLACK×MAGNET、TRELLIS×NAVY BLAZER×GUACAMOLE、GRAPHITE×POTENT×PURPLE×POTENT PURPLE、PEARL BULE×ICY MORN×REFLECTING POND (下段/ローカット)15,000円+税 サイズ:22.0-25.0cm 重さ:345g(24.0) カラー:BLACK×MAGNET×GREEN MILIEU、NAVY BLAZER×HYDRO.×GUACAMOLE、EBONY×DEEP TAUPE×TAWNY×ORANGE
 

 

(写真=岡野朋之、編集部)

 
 
ライター
Akimama編集部
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