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死闘零下15度。厳しくも美しい日本最長のクロカンレースはいかが

2014.12.12 Fri

 2月の最終日曜日。何万人ものランナーが東京の街を駆け抜けているころ、日本の北の果てでもまた、熱いレースが繰り広げられているのをご存じですか。

「湧別(ゆうべつ)原野オホーツク100kmクロスカントリースキー大会」。日本最長のクロスカントリースキー(XCスキー)レースです。北海道大雪山系の山懐からサロマ湖のすぐ手前まで、ざっくりいえば北海道の真ん中を「半横断」するような大胆なコース取り。大会名の100kmは駅伝の部(1チーム5人)の総距離で、個人部門の最長は85km。ま、それでも充分に長いです。1986年から始まり、来年は記念すべき第30回目。

 本州ではXCスキーというと「歩くスキー」や雪上ハイクのイメージが強いかもしれませんが、北海道ではレースもまた盛んです。1月から3月にかけて毎週どこかで市民大会が開催され、数百人から数千人の参加者があります。有名なのはFIS(国際スキー連盟)公認レースでもある札幌国際スキーマラソン(最長50km)や、旭川のバーサーロペットジャパン(同45km)など。これらは実業団や学生の本チャン選手、さらには海外からの参加者もいて華やかでガチな大会です。

 いっぽうこの湧別85kmは「偉大なる草レース」の代表格。その過酷でダイナミックなコースは、年に一度、この日のためだけに森や丘や河川敷を巧みにつなぎ、圧雪してつくるワンウェイ100kmのスペシャルステージ。北大雪の山々を見渡す高台をスタートし、霧氷輝く湧別川の源流部を辿り、森や牧場、ときに市街地を抜けて、最後は見渡す限りの大雪原へと続きます。ある意味、とても贅沢であり、またはかないコースでもあります。

 もちろん、レースである以上「1秒でも早く」「ひとりでも前に」とみんな真剣に走ります。参加者はアイアンマンや自衛隊といった超耐久系(?)のほか、自己の限界に挑戦するコアなファンばかりで、毎年つらい思いをしながらも懲りずにやってくる常連も多数。そして彼らを迎え支えるのが、地元の母さんや高校生らを中心とした町民ボランティアたち。厳冬の北海道が見せる美しさと厳しさをストレートに感じ、人々の暖かさに勇気づけられながら、はるか彼方のゴールをめざします。

 85kmを完走するにはそこそこの体力とスキーの技術が必要ですが、同じコースを短く区切った5kmから60kmまでの6部門も用意されています。20km前後のクラスには歩くスキーを履いた地元の小学生たちだって参加。普段、ぶっといスキーで深雪をブイブイ言わせている人も、たまには幅45mmの軽快なXCスキーを体験してみませんか。

 これまで知らなかった魅惑の世界が待ってますよ。

第30回湧別原野オホーツク100kmクロスカントリースキー大会
期日:2015年2月22日(日)
場所:北海道遠軽町白滝〜湧別町中湧別
種目:個人85km、60km、25km、23km、20km、17km、5km、駅伝100km
エントリー締め切り:2015年1月19日(月)
問合せ先:大会実行委員会事務局(遠軽町経済部商工観光課内)TEL.0158-42-4819
URL http://www.okxc.jp/index.html

長谷川 哲
山登り、自転車旅などを得意とする北海道在住のフリーライター。著書に『北海道16の自転車の旅』(北海道新聞社)。レース、ツーリングを問わずXCスキーは冬の最大の楽しみ。

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