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【海外滑走記】憧れの地コロラドでのスノーボードで胸いっぱい……なのに酸素が薄くて胸が苦しかった初めての高所滑走体験

(2019.02.18)

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 先日、10日ほどデンバーに行く用事があり、その間に週末を挟むので、1日だけだがコロラドのスキー場に連れて行ってもらうことになった。

 ロッキーマウンテン国立公園を擁するコロラド州には、ヴェイル、ブリッケンリッジ、キーストーン、アスペンなど超有名なスノーリゾートがある。今回私たちが向かったのはアラパホベイスンスキーエリア、通称A-Basin(エイベイスン)だ。標高が高いためシーズンが長く、90年代のスノーボードシーンではスプリングシーズンのフィルミングロケーションとして有名だったことを記憶している。

 デンバー市内を朝7時に出発。フリーウェイは途中からスノーリゾートに向かう車で渋滞が始まった。フリーウェイを降り、ラブランドパスという峠を越えるルートを通って、エイベイスンに向かう。ここからは雪道。道路脇でヒッチハイクしようとしているスノーボーダーに遭遇。運転してくれている友人の話によると、峠の方からバックカントリーを滑り降りてきた人たちらしく、ヒッチハイクしてまた峠に向かおうとしているらしい。なんともアメリカっぽい。

 ラブランドパスで一旦下車して写真撮影。ここはコンチネンタルデバイド(大陸分水嶺)トレイルの通過点でもあり、11990ft(約3,654m)。バックカントリーに行く人たちへの注意喚起の看板もある。

広大なアメリカ大陸の分水嶺に立ったんだと思うと感慨も深い。クルマで通過しただけだけど……。

バックカントリーに入る人にむけて「長距離兵器で常に雪崩爆破してるので気をつけて」みたいなことが書いてある。物騒だな。

 峠を越えるといよいよエイベイスンが見えてきた。が、エイベイスンの駐車場に入るまでがまた渋滞。ようやく駐車できたが、スキー場のベースからはかなり離れた駐車場。シャトルバスを待っていたが、なかなか来ないので10分ほど歩いて10分ゲレンデベースへ。結局ここまで3時間近くかかった。リフト券売り場も長い列だし、最初のリフトも長い列ができている。ちなみにリフトチケットは1日券が105ドル。たっけー! 日本って恵まれているなと実感。

こちらがゲレンデのベース。一本めのリフトは15分待ちぐらいの列ができている。

 ゲレンデマップ(英語ではTrail Mapという)を確認すると、主なリフトな5本と初心者ゲレンデ用の短いリフトが1本。ゴンドラはなく、どのリフトにもフードはない。こじんまりしたゲレンデだなと思いながらリフトを乗り継ぎトップまで行くと、かなりのスケール感だ。印象としては八方尾根ぐらいの規模感かな。なのにリフトが5本だから驚く。

ちなみに裏面にはこの半分ぐらいの面積があるバックボウルエリアのマップが書いてある。実感としてはマップの見た目以上に広大だ。

 リフトの終点は森林限界を超えている。調べてみると、およそ3,800mぐらい。ほぼ富士山と同じ標高だ。

リフトの終点からの眺め。晴れていればこの先にキーストーンやブリッケンリッジが見えるはず?

 友人が「足慣らしにボトムまで滑るよ」という。「ついて行くよ」と告げて滑りはじめる。しばらくまとまった降雪はなかったようだが、雪質は硬すぎず、しっかりエッジが噛む。斜度変化もあって面白い。ボトムまでほぼノンストップで滑り下りた。滑っているときは夢中で気づかなかったが、すごく呼吸が苦しい。肺が酸素を求めて痛いくらい。日本では立山で2,800mぐらいの標高では滑っているが、3,000m超えでスノーボードしたのは初めての経験。空気の薄いところでスノーボードするとこんなに苦しいのか?! と改めて感じた。

リフトから見たイーストウォール。ゲートが開けばどこでも滑れるらしい。ちなみに稜線の標高は4,000mぐらい。

 その後、何本かコースを滑っていると、耳をつんざくような爆発音が聞こえてきた。パトロールがバックカントリーエリアでアバランチコントロール(ダイナマイトで人工的に雪崩を起こしそれ以上雪崩ないように管理)しているらしい。イーストウォールと呼ばれるエリアの上部にダイナマイトの煙が見えた。

 アバランチコントロールが完了したのか、イーストウォールトラバースという非圧雪エリアのゲートがオープンした。ここまで他の非圧雪のコースにも行ってみたが、ほとんど食われまくりだった。これでようやくノートラックのパウダーを体験できる。ゲートがオープンしたばかりなので、それほど奥までトラバースしなくてもノートラックのバーンが目の前に広がっている。「ランドオブジャイアンツ」というダブルブラックダイヤモンドコース。標高3,700m付近のノートラックにダイブする。雪質はドライパウダー。斜度もいいかんじにスティープ。文句なしに気持ちいい! やっとコロラドのパウダーを味わえた! といい気になっていたら小さな尾根を越えようとしたところでいきなり足元から「ガリガリッ」という嫌な感触。滑っているのはその名の通りロッキー山脈。森林限界を超えたロッキーな山だ。ところどころ雪付きの悪いところもある。こんなところで転んだら大怪我してもおかしくはない。調子に乗ってはいけないなと気を引き締め、そこから雪の深そうなところを選んで圧雪されたコースまで滑り下りた。あっという間だったが気持ちよかった。

ゲレ食のIPA。うまかった! が、標高が高いせいかアルコールの回りも早い。

 脚はまだまだ疲れていないしもっと滑っていたいと思ったが、もう肺が悲鳴をあげている。毎回呼吸を整えるのに時間がかかる。「Give me 2 more minuite!」「Take your time」が常套句になってしまった。今回行けなかったバックボウルなどもっと面白そうなところもありそうだっただけにちょっと心残りだ。とはいえ、コロラドでの初めてのスノーボード。いい経験ができた。もし機会があるならもういちど訪れてみたい。その時はバックパックに酸素ボンベ持参で。

 
 
ライター
渡辺信吾

アウトドア系野良ライター。デザイナー、Webディレクター、コーディネーターとしても活動中。波乗り、雪乗りで一年中真っ黒。 ホームページ「NORA」

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