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【続・連れださない理由がない!】白い世界にまだ間に合う。専門家による「子どもの成長と自然遊び」雪上編

2020.02.26 Wed

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ふくたきともこ

ふくたきともこ アウトドアライター、編集者


 豊かな山や海、川など、自然あふれる日本で子育てをするからには、子どもをフィールドへ連れ出したいと思っているアウトドア好きのお父さん・お母さんは少なくないでしょう。子育て真っ最中のAkimamaスタッフが、幼児教育の現場で自然遊びの重要性を発信しているスペシャリストに「子どもの成長と自然遊び」の深すぎる関係について話を聞いてきました。

 未就学児を対象にした夏の「三浦半島・仙元山」編に続き、今回は小学生とともに雪のあるフィールドへ足を運んできました。

 2月中旬、訪れたのは群馬県のみなかみエリア。谷川連峰の主峰、標高1,977mの谷川岳登山の拠点となる山麓のみなかみ町は、日本海からの湿り気を帯びた風の流れを受けることで、内陸ながら雪が多い地域として知られています。冬はスキー/スノーボードや雪山登山、スノーシューハイキングといったウィンターアクティビティができる場所として、首都圏のアウトドア好きが通う場所です。

 講師は前回に続き長谷部雅一さん。

 長谷部さんは世界一周の旅や国内のアウトドア経験を経て、現在は自然関連のプロジェクトの企画運営や、研修講師、ネイチャーインタープリターというった場で活躍。また保育園や幼稚園のコンサルタントを通じて保育士に向けた自然体験の指導者教育も行っている、まさに今回の適任です。

1977年生まれ。Be-Nature School取締役。一年をかけての世界一周を旅し、7000m級の山から先進国まで、自然と人、文化に触れる。プロジェクトの企画運営のほか、研修講師、ネイチャーインタープリター、場作りの仕掛け人、また40数ヶ国もの子どもたちと触れ合ってきた経験などを元に幼児を対象に自然教育/体育も行う。その他雑誌やラジオ、テレビでも活躍中。

今回は長谷部ファミリーが撮影に同行。左から長谷部雅一さん、娘さんのはなちゃん(7歳)、奥様の美佐さん。ゴールデンドゥードゥルのクマ(2歳)も雪遊びが楽しくて仕方ない。

さらに今回の撮影を担当したフォトグラファー亀田正人さんの三男・湊くん(みなと・8歳)も人生初の雪上遊びを楽しみにロケへ同行。スポーツ一家の末っ子がどんな動きをするのか注目。
 
外に慣れていない子どもは、
初体験の場に来ると固まる?

全国的にこの冬は雪が少ないですが、今日は奇跡的に新雪が積もりましたね!

新雪があると雪遊びの幅が広がるのでラッキーですよ。

うちの息子も今まで雪がこんなに積もっている景色を見たことがないから、もうテンションあがっちゃって!

ははは! いい顔してる! 普段見たことない世界だから楽しいよね。じゃあまずスノーシューを付けましょう。ヒザくらいの深さになると靴のままだとうまく歩けなかったり深い雪に靴を持っていかれたりするので、子どもは小さいサイズのスノーシューがあるとよりいいですね。

前夜から降り積もった真新しい雪が30cmほど! 谷川岳ロープウェイの手前にある土合橋の駐車スペース(冬期は雪で閉鎖)から、湯桧曽川の支流に沿って少し奥へ分け入った。

ストックは使わないんですか?

小学生くらいだと遊んでいるうちに100%放り出しちゃうので、今回は使いません。必要な場合に備えて親が持ってあげるといいですね。よし、じゃあここは安全だから子ども先頭で進んでみようか!

おお〜通常のスノーシューツアーってガイドさんが先頭行くイメージですけど、子どもが先に行っちゃうんですか。

もちろん安全な場所だというのが大前提ですが、先頭を歩くってじつは意味があるんです。「どっちに行く方が歩きやすいか」とか「ここは起伏があるぞ」とか、「枝を避けて歩いてみよう」とか自分で考えますよね。探りながら想像力を働かせて進むことで、大人についていくだけよりもっとその場所や、今回なら雪になじんでいくんですよ。

うちの娘は何度も雪の上に来ていますが、今回初めての湊くんは普段から自然のなかで遊んでいるのがよく分かりますね。

まだ歩き初めて10分くらいなのに、わかるんですか。

外に慣れていない子どもだと、こういう初体験の場に来ると固まるんですよ。どうしていいか分からない。湊くんは見ていると、最初は様子を見て雪との間合いを計っていましたが、すぐに歩きにくい場所も対応できましたね。これが普段から平らで人工的な場所だけでしか遊んでいないと、自然に対してそこでやっている対象物とのコンタクトしかできない可能性がある。

うちは長男次男について山とか海を駆け回ってますからね(笑)

でしょうね。だから未知の世界というものを知ってるし、自分なりに危険を予測できているんですね。日ごろのアクティブさがここでも発揮されていると思います。

子どもを対象としたスノーシューツアーを普段開催する長谷部さんのツアースタイル。何かと役立つソリをバックパックのサイドストラップで固定。

車道から歩くこと20分ほど。湯桧曽川の支流を渡り、今回のベースへ到着した。
 

1~2年生はどんどん不整地で遊び
ボディバランスを鍛えよう。

じゃあ子どもたちは目の届くところで自由に遊んでいいよー! そして大人はとやかく先回りして口出ししないこと!

おっと、このフレーズ前回も聞いた記憶が……。

そうそう、前頭葉が活発に働いていいことづくめなのに、止めちゃダメってやつですね! まずは放っておいてみてください。子どもによって時間の差はありますが、次第に場になじんできます。雪の感覚、山の楽しさ、足元の情報などが身体に入ってきて、自分なりの過ごし方を見つけていきますから。

ちなみに、はなちゃんや湊くんのような小学1〜2年の低学年くらいの年齢では、雪遊び含めてこういった自然の中で過ごすよい影響はどのようなものがありますか?

つい最近まで幼稚園生だったので、不整地のなかで遊ぶことでまだまだ発達の途中であるボディバランスを鍛えることができます。

あらためて、ボディバランスとは?

転びにくい身体、安全に転べる身体の基礎となる部分ですね。1歳ごろから低学年くらいまでは不整地で歩けば歩くほどボディバランスが育ち、身体の中心を探りながら遊ぶことで、さまざまな動きのベースの部分が強化されます。成長してからのスポーツの根っこにもなる大切な部分です。

走る、転ぶ、登る、滑る…みたいな遊びが大事ってことですね。

まさに。大人が仕掛けていかなくても、こういう雪の上や自然の中に出るだけで、知らず知らずに子どもは自分なりにステップを見つけて、遊び込んでいくんですよね。この年齢になるとある程度親から「ダメなこと」を普段言われていることが多いので、逆に「やっていいこと」「NGでないこと」を子どもに伝えることで、子どもたちは自分なりに判断してのびのびと習得していくんです。

なかなか斜度のある斜面にソリを持って上がり始めた湊くん。「ちょっとその角度危ないんじゃない」とつい口を出しそうになるが……。

新雪で雪が柔らかいこともあり、斜度に臆さず攻めるふたり。何度も滑ることで“滑り台”ができ上がってきた。

夏は一帯ヤブだらけ。ところが雪に埋もれると遊び場になる。これが誰でも楽しめる雪の魅力なのだ。

「キャーーーーーーー!!!!」と、メンバー中でこの日一番の悲鳴を上げる美佐さん。ダンナの楽しそうな顔(笑)

大人も本気で楽しんでいるようですが(笑)

いや、それが大事でしょ!

そうそう。フィールドで遊ばせるときは親が先回りして行動を指示しないことも大事ですが、それと同時に親は公園ママのように「危ないわよ〜」「行ったらだめよ〜」とベンチに座ったまま言うのではなく、一緒に見に行き、一緒に体験して共有することが大事なんですよね。

 次ページでは3〜6年生の自然遊びの重要性を解説します!

3〜4年生は冒険的になり
5〜6年生は新しい世界で生きる礎を育む

3〜4年生はどうでしょうか。

この年齢になると冒険的な要素が入ってきます。もっとあっちまで行ってみよう、この斜面の上には何があるのかな?という具合に。その中でちょっと恐い思いをしたりして、自分のなかで危険と大丈夫の判断が少しずつできるようになる。

なるほど……。

このとき大切なのは、子どもが歩いたり飛び降りたり……と成長のラインに立っているときに、親も一緒にその時間を共有すること。親子でスノーシューツアーに来るファミリーのなかで、子どもが遊んでいる姿を遠目で眺めている親が本当に多い! 中学年は親子のコミュニケーションの時間が減ってくるので、親が思っている子どもの姿と実際の子どもの姿に差があるケースも最近特に耳にします。そういう意味でも喜怒哀楽を共有する時間をもつことが大切ですね。「そんなことを考えていたんだ……」と思うような発言を聞いたり、子どもとの間に感じていた隙間が埋まることもあるようですよ。

ううーむ、なんで親は遠目で眺めるのかしら……。

面倒だったり億劫なんじゃないですかね。

そういう親も自然のなかで密に時間を共有することで考え方に変化が生まれるし、子どもとの関係性も変わってきたりするんですよ。


 

となると、難しいお年頃の5〜6年生ってどうなるんですか。

 

そこなんですよ、まもなく中学生ですからね。まず一緒に行くかどうかという前提がある。でもそこは今回はおいておきましょう。

お願いします。

成長の部分では、まず雪の世界の経験がないなら、50~60cm積もっているその新しい世界そのものを知ってみるというのが大事。例えば街で初めての公園に来ました。そこでは子どももある程度どんな場所なのか予測できますよね。初体験のUSJでもどんな場所なのかはおおよそ予測できる。

確かにある程度はできそう。

一方、自然の中というのは分からないことだらけ。天候ひとつ取っても、陽が陰れば寒い、雪が多ければ歩けない、風が強まると進めない……など、変化の連続。でも、日常では予測できない場面に遭遇し次にどうするか考えて行動することはもはやできません。なぜなら社会の大半がプログラム化されているから。人間が介在しない自然の世界だけは、不安とか、自分に何ができないかに向き合いやすいんです。

かなり大人に近づいている話ですね。

そうです。未知の自然のなかで遊ぶということは、新しい世界で生きて行くために、そこでどう考えて動き、どう自分をアジャストさせていくか……という礎になるということですね。

生きる力ということでしょうか。

そう。そして、そういう学びの場が自然の中には無限に広がっているんです。

 

話は逸れますが、高学年になると人目を気にしなくてもいいっていうのも本人的にはあるかも。

 

確かにそうですね! 大人らしいことを言っていても、まだまだ子どもの部分も大いにあるから、人がいない場所で人目を気にせずに子どもらしさを発揮させてあげられる場でもありますね。

スコップで豪快に穴を掘って中に入ってみる湊くん。身体を思い切り使うのは男の子らしい楽しみ方だ。

木の芽や小枝を集めて作った雪だるまは、はなちゃん作。

 次ページでは雪上遊びに欠かせない長谷部さんの必携グッズ、雪上遊びで起こりがちなケガや注意点について解説してもらいます。

雪上で快適に過ごすための
長谷部流ポイント

今回のような場所はスキー場のようなレストハウスも当然ありません。できれば風を避けられる場所に休憩できるスペースを作っておきましょう。その際、汗冷えしないようにダウンやフリースなどを着せて保温します。

子どもは“ストップ&ゴー”ですからね。

休憩時はストーブでお湯を沸かして暖かい飲み物を摂ります。インスタントのココアやスープなどエネルギーの高めのものがお勧めです。お湯は保温ボトルにあらかじめ準備しておくと飲むまでの時間が短く便利ですし、沸かしたお湯も冷え切ると再保温が手間なので、保温力の強い真空ボトルに入れておくといいですね。

こっちのツェルトは何ですか?

女の子やお母さんのためのトイレスペースです。といっても中の雪に穴を掘っただけですが、人目のない遠くまで雪上を歩いていくより手軽だし安全ですね。用を足したら上から雪をかぶせましょう。

ソリは遊びに使うだけでなく、帰路で子どもが疲れたら乗せて帰ることもできるし、このように荷物置きにすることもできます。僕はすぐに使いたいものはこうしてソリの上にあらかじめ荷物を置いておきます。冬終盤の湿った雪でもこれなら荷物も濡れにくいですしね。

こっちはファーストエイドですか?

前回命に関わる用と自分用のファーストエイドをお見せしたので、今回は雪上であると便利なもの、備えておきたいものを持ってきました。万一日没を迎えてしまった場合に備えたヘッドランプや、その予備電池。ホイッスルは救助を待つときのもの。手前の密閉袋には粘着力や強度に優れる黒のダクトテープが入っています。

そして右上はキップパイロールですね。アウトドアでもいろいろ使える便利な軟膏。

家で普段から使っているものをそのまま持ってきました。冬だから、雪上だからと特別なものを使うのではなく、慣れたものが安心です。キップパイロールは擦り傷や切り傷といった、季節関係なく子どもが作ってしまいがちな小さなケガだけじゃなく、指先のひびやあかぎれといった寒い季節の肌トラブルにも使えるので、ひとつ常備しておくと本当に便利なんですよ。

寒いとちょっと硬くなりますけど、指先にのせているうちに柔らかくなりますしね。

また気をつけたいのは、日焼け・雪焼け。雪上では上からの太陽の光のほか、下の雪面の照り返しでも焼けます。キップパイロールはそういった日焼けにも使えるので、日焼け止めを併用しながら、肌のケアをしてあげてください。前回にも言いましたが、些細な肌トラブルは外で遊ばせる以上は起きても仕方ない、と僕は思うわけです。大事なのは、「子どもの探求心や学びの意欲を削がない」こと。親は遊びに関しては先回りして抑止せず、でも身体のケアには気を配る。そのバランスが大事ではないでしょうか。

木の枝が落ちた根本が顔に見えると興味津々。子どもは遊びに熱中するといつの間にかグローブを外してしまうので、手先指先のケアにも気を配りたい。

さて、2月も終わり。まだまだ雪遊びは間に合いますよね?

まだまだ間に合います。雪遊びは、スキーやスノーボードだけでなく単に雪上にいるだけでも子どもたちにとっては大冒険。荷物を最小限にしていけばスタッドレスタイヤのクルマがなくとも、電車でアクセスできる場所はたくさんありますよ。

雪に触れにいくだけでも充分。そしていろいろな遊び方を親と子どもが一緒になって考えて、ぜひクリエイティブしてみてください!

どうもありがとうございました! ますます子どもを自然のなかに連れていかない理由が見つかりません。次はどこに行きましょうかね!?

自然のあるところならどこへでも!

キップパイロールに関する製品記事はコチラ
「未就学児の自然遊びの重要性」の記事はコチラ

(撮影=亀田正人、文=福瀧智子)
(湊くん衣装協力=ウェア:コロンビア、スノーブール:ソレル)

キップパイロール-Hi
■希望小売価格(税抜き):¥1,250(40g)、¥600(15g)
■効能:軽度のやけど、切り傷、すり傷、ひび、あかぎれ、かみそりまけ、日焼け、雪焼けによる炎症
■用法・用量:疾患の程度により適量を患部に塗布するか、またはガーゼ等にのばして貼付

非ステロイド性皮膚治療薬
酸化亜鉛配合
第2類医薬品

★お求めは薬店・薬局・ドラッグストアにて。

 


長谷部雅一さんの新刊が4月3日に発売されます!
いちばんやさしいキャンプ入門』(長谷部雅一著/新星出版社)
「家族でキャンプに行きたいけど、なにからはじめたらいいのかわからない」そんな人のための、いちばんやさしいキャンプの入門書。128ページ、本体1,200円+税。

身近な公園で自然と豊かにつきあうための秘訣を紹介!
ネイチャーエデュケーション』(長谷部雅一著/みくに出版)
「子どもに自然を体験させたい、でも街のなかには場所もないし、時間も、自然に対する知識もない」と悩んでいるお母さん、お父さん、保育園・幼稚園の先生方にむけた本。271ページ、本体1,300円+税。

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