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【特別ガイドルポ】秋の紅葉、白馬エリアの絶景を求めて!vol.2———ガラガラの稜線の先に剱岳。絶景、紅葉に染まる遠見尾根を歩く。

(2018.09.21)

登山のTOP

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 朝から目の前に、凛とそびえる五竜岳ですが、なかなか近づいて来てくれません。ふと、さらに対岸を眺めると、ドッシリとした剱岳がクッキリみえるではありませんか。快晴の稜線歩きは、最高だなと思える瞬間でした。緊張感のあるガレ場も乗り越えて、最後に長~い坂道を登りきり五竜山荘に到着したのは、ちょうどお昼前でした。

 ここでお昼ゴハンを食べながら、今日はこのまま山荘に宿泊して五竜岳の山頂をめざすか、そのまま遠見尾根を下山するか、迷っていました。山荘の入り口に出ている天気予報も、明日は雪マークになっています。昨日から悩み続けていた五竜山荘に宿泊するか、このまま下山するかは、山小屋の人にも相談して、同行者の意見も聞いた結果「下山」することに決定しました。目前の五竜岳の山頂に行けないのは、本当に残念でしたが、天気予報どおり、明日の朝、雪が降って遠見尾根を下山するのもリスクが伴います。ここは全員気持ちを切り替えて、紅葉を求めて遠見尾根に向かうことにしました。

五竜岳の山頂に目をやると稜線の上には秋色のいわし雲。この季節ならでは景色を楽しむ。右下)天気予報は、午後から下り坂。前日からかなり悩み、みんなで何度も話し合った結果、下山することに。左下)遠見尾根を歩きながら振り返ると五竜岳が。また来ますと心の中でつぶやくのでした。

 尾根の入口から岩場を下り、それが終わったあたりから、早くもまた紅葉が出迎えてくれました。やはり、紅葉は駆け足で進んでいるようです。そして、さらに進むと、なんと地図には載っていない池があらわれました。しかも、その周りには、朱、橙、黄色に紅葉した木々や、真っ赤に染まったチングルマの葉が盛大に色づいています。「こんな景色みたことない!」。全員、大興奮です! 後立山の山の神様から、すばらしいご褒美をいただいた瞬間でした。

遠見尾根に突然現れた池。ここは秘密の紅葉ポイント。湖面に映し出された岩稜と色づいた木々のコントラストや構図が、とってもステキ場所でした。

 遠見尾根は、だいぶ紅葉が進んでいきました。山の上部にあたる、大遠見から中遠見に抜ける途中、ダケカンバの森があり、白い幹と黄色の葉が混じる不思議な空間に出会いました。尾根づたいのアップダウンは地味に体力を奪われますが、上りは小高い場所に出た瞬間の見晴らしい景色、下りは紅葉のトンネルをくぐっていくという体験に魅了され続けます。下山途中、小遠見(標高2,007m)を過ぎたあたりから始まった木道沿いは、真っ赤に紅葉した木々で赤いトンネルのようになっていました。「スゴイ! 赤いですね~」と、同行の女性ふたりのテンションもあがり無心にカメラのシャッターを切るのでした。

遠見尾根は、すっかり紅葉を迎えていました。左)大遠見の看板。リフトの営業時間チェックを忘れずに。右)真っ赤に紅葉した木々に囲まれ、うつくしさに心奪われ無心にシャッターを切る。

 じつは、下山するか迷いながら朝ごはんをゆっくり食べたり、途中で紅葉の写真を撮ったりしていた時間が積み重なった結果、帰りに乗るゴンドラの最終時間がじょじょに迫っていました。そして、時計を気にしつつ途中からコースタイムよりペースアップした下山となりました。とはいえ、ふたりとも登山の前に聞いていた噂どおりの健脚で、急ぎながらもちゃんと写真を撮ったり行動食を食べる余裕が、まだまだあったのには感心してしまいました。地蔵ノ頭をすぎ、森を抜けると白馬五竜スキー場の上部に出ました。ススキがあちらこちらにみえ夕暮れの風になびいています。仲よしふたり組みは、肩をならべながら昨日とは打って変わった快晴の秋空を眺めがら、最後の余韻を楽しんでいました。

 今回の登山の前に紅葉のことを調べていて「三段紅葉」というものがありました。これは、「山の頂上が冠雪で白、中腹が紅葉の赤や黄、麓の樹木の緑」を意味します。今回の変化に富んだ紅葉登山は、まさに「山の頂上が冠雪で白」にかかるところの時期だったようです。とても濃い内容のに2日間となった唐松五竜の紅葉登山。残念ながら、五竜岳の山頂にいけなかったのは「来年、また来いよ」と山の神様に言われているような気がしたのでした。

小遠見山から小高い尾根を歩く。見晴らしがよく、紅葉と麓の景色がみえる。左)小遠見山と五竜岳に向かう登山道に分岐する場所の看板。ここまでくれば、下山も近い。右)尾根沿いのベンチで一休み。紅葉に囲まれ、快晴の秋空の下での一服は、最高なのです。

【写真=田渕睦深 文=北村哲 モデル=斎藤千春、小室千可/好日山荘】
 
 

地図制作:オゾングラフィックス


■参考コースタイム
1日目 歩行計/3時間55分 
八方池山荘(1時間)第2ケルン(15分)八方ケルン(10分)八方池(1時間)丸山ケルン(1時間30分)唐松岳頂上山荘
2日目 歩行計/6時間55分 
唐松岳頂上山荘(20分)唐松岳山頂(15分)唐松岳頂上山荘(30分)牛首(2時間)五竜山荘(1時間)西遠見山(1時間)大遠見山(50分)小遠見(1時間)地蔵ノ頭

■アクセス
【起点までのアクセス】
公共交通機関の場合は、北陸新幹線長野駅下車~特急バス「長野-白馬線」~白馬八方尾根スキー場/特急あずさ松本駅下車~JR大糸線白馬駅~路線バス「猿倉線」~白馬八方尾根スキー場

マイカーの場合は、長野自動車道安曇野IC~北アルプスパノラマロード~国道148号線~白馬八方尾根スキー場/上信越自動車道長野IC~国道19号線~白馬長野オリンピック道路~白馬八方尾根スキー場

【ゴンドラリフト】
白馬八方(八方アルペンライン)
白馬五竜高山植物園(アルプス展望リフト、テレキャビン)

*本格的な雪が付くまでの秋のシーズン中は、八方尾根へのアプローチと遠見尾根からの下山にはゴンドラとリフトを乗り継いでの山行が可能です。往路は白馬八方尾根スキー場の八方アルペンラインを、帰路は白馬五竜スキー場のアルプス展望リフトとテレキャビンを利用します。ただし、2018年の秋は10/28(日)まで営業予定です。

■山行アドバイス
ゴンドラに乗った麓からの標高差は1,000m程度ですが、気温の変化が非常に激しく、秋と冬の両方を感じた山行となりました。初日は霧のなかの行動で雨氷に出会い、翌日の早朝は大きな霜柱が立ち、天気予報も雪マークが出たほどです。秋の登山であっても防寒対策として冬を意識した装備、手袋、ネックウォーマー、ニットキャップ、フリースやインナーダウン、あたたかいベースレイヤーなどの準備が必須となります。

 


【特別ガイドルポ】秋の紅葉、北アルプス白馬エリアの絶景を求めて!———長野・白馬八方尾根〜遠見尾根を歩く。vol.1


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ライター
北村 哲

登山、スノーボード、キャンプ、フェス、旅好きのフリーライター。プランナー/ディレクターとして、アウトドアやスポーツ関連のカタログ、映像、イベント、アーティストコラボ商品などの企画制作も行う。富士山好きで、吉田口の歴史や登山道に詳しい。

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