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【山ヤの子育て】目指せ100座! 1座目・0歳児の山デビュー。核心はミルクとオムツ!

(2019.01.22)

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 山好きの親なら一度は夢見る親子登山。何歳から連れていけるの? どこの山がいいんだろう? など悩みが多いと思います。そんな悩みを解決するべく、現在0歳児の子育て真っ最中で、子どもとの登山も楽しんでいる「まつだしなこ」さんに親子登山について書いてもらいました。



山ヤの娘

 去年の春、我が家に娘が生まれた。幸か不幸か、山ヤ夫婦の子として生まれたがために、名前が決まるより先に「山に登る」ということが定められた運命の子だ。

 なんと彼女の山デビューは生後8ヶ月。8ヶ月というと、おぼつかない脚でやっとつかまり立ちができるようになるころである。しかも季節は冬まっさかり。心配性の私はもともと、娘の山デビューは彼女が1歳になる春まで待とう、と思っていた。ところが、娘が生まれたとたんに登山用のベビーキャリアを購入し、娘との初登山をいまかいまかと待ち望んでいた父は、春まで待つ気はまったくなかったのだ。

 こうして私達山ヤ夫婦は、0歳児といっしょに行く冬山登山について試行錯誤することになる。まだ、オムツはもちろん、3~4時間おきに授乳が必要な月齢。突然具合が悪くなる可能性も充分ある。あくまで子どものための登山であることを忘れずに、コースから持ち物、子どもの服装まで慎重に慎重を重ねて検討していった。

「山に登る」ということが定められ、さらに登山にちなんだ名前をつけられた娘。モンベルのベビーキャリアの座り心地がいいらしく、ごきげんな様子。

核心はミルクとオムツ

 まず悩んだのは授乳のタイミングだった。母乳の場合でも、ミルクを持参する場合でも、外で飲ませるにはそれなりにしっかりした休憩場所が必要になる。山中で授乳しないですむように、登山の直前に授乳し、次にお腹が空くまでの3〜4時間で下山するのがベストだが、授乳室がある登山口なんてほぼないだろう。なので、コース中に授乳ができそうな休憩場所があるかを確認した。

 次の悩みはオムツ替えの場所だ。住まいの都内から比較的近場の高尾山や奥多摩の山でも、移動に1~2時間はかかる。オムツ替えができないとなると、帰宅まで5、6時間以上オムツを交換できない状況が続いてしまう。子どもにとって登山がとても不快な思い出になってしまってはかわいそうだ。駅や登山口、山中のトイレにオムツ替え台があるか、車で登山口まで行き車中で交換できるかなど、道中でオムツ替えをすることができるかどうかが非常に重要なポイントだと思った。

高尾山の登山口。ベビーキャリアは、長期縦走をこなす父にとってさほど重いわけではないが、かなり重心が上にきていることと、娘が動くたびにザックごと横に揺れるので、バランスをとりずらく苦労したようだった。

いざ開始、デビュー登山は高尾山

 オッパイとオムツ問題を考え抜いた結果、娘の生まれて初めての登山は、高尾山に決まった。高尾山といえば東京都民の裏山。そして、ミシュラン三ツ星にも輝いた人気の山だ。

 最後の授乳から、次の授乳までのタイムリミットは3時間。自宅から電車での移動が1時間、高尾山登山口から山頂まで1時間30分。家を出発する直前に授乳し、山頂で1回授乳すれば、あとは家に帰るまで娘を飢えさせる心配はないと計算した。しかも、山頂の「だれでもトイレ」にはオムツ替え台が備え付けられていて、とても山のトイレとは思えない設備だ。男性でも入れるトイレで、父子登山者も安心である。

 登山当日の天候は曇り。気温は4℃。まだ冬を知らない娘にとっては初めて体験する寒さだった。

 ベビーキャリアに娘を乗せ、いざ登山開始。娘にとっての初めての山、そして山ヤ夫婦にとっては夢にまで見た親子登山の記念すべき第一歩だ! コースはいちばん自然を感じられる稲荷山コースを選んだ。

 しかし、両親の意気込みをよそに、娘は父の背中であっという間に眠りに落ちた。イビキをかき始めるリラックスぶり。「せっかく連れてきたのに……」と少し残念そうな父だったけれど、母としては、初めての大自然のなかで、泣き出しもせずこれだけリラックスできる娘に、山ヤとしてのポテンシャルを感じて嬉しくなる。

 初めてにしては概ねうまく行った親子登山だったが、一点反省するべきなのは、山頂で授乳できると算段したことだ。山の風は簡単に授乳ケープを吹き飛ばしてしまうし、興奮した娘は大人しく授乳に臨んではくれなかった。結局、麦茶で空腹をごまかしたものの、帰り道は少し不機嫌になってしまった。この反省を活かして、次回はもっと快適な登山を計画しようと思う(下山後に知ったのだが、山中の「高尾山スミカ」でスタッフに声をかけると、授乳スペースに案内してくれるそうだ)。

稲荷山コースは、8kgの娘を背負って片道1時間30分ほどで登れた。初めての山頂だからか上機嫌な娘。

山ヤの子育て 案ずるより登るが易し

 初めての子育ては心配なことや不安なことばかりだ。まして心配性の私は、娘を連れて冬に登山なんてとんでもないと思っていた。けれど、結局登山中は一度も泣かずリラックスしている娘をみて、「案ずるより登るが易し」ということに気がついた。山登りは、娘にとっても初めての経験だけれど、われわれ夫婦にとっても親子登山は新しい挑戦。足踏みせずに、どんどん登って行こうと思う。

 高尾山登山の道中、「何歳になったら北アにいくか」「家族でヒマラヤ行きたい」など、ずっと親子登山の計画を話し合っていた。ふだん、娘の教育方針なんて話し合ったことがないくせに、どの山を親子登山の目標にしようかという話題になると話がつきない。家族で同じ目標をもつなんて、なんと贅沢で幸せなことだろうか。

 さて、次は三人でどこに登ろうか。


 

しなこさんの、パパママへの登山アドバイス
【高尾山】
 東京都にある標高599mの山です。都心よりいちばんアクセスのいい登山口の高尾山口駅から山頂までは、7つのルートと、登山口から中腹まではしるリフトやケーブルカーの組み合わせで、さまざまなコースが選べます。飲食できる店が多く荷物が減らせ、子どもの体調が悪くなったりなどの緊急時にはケーブルカーを使いすぐに下山できるので、親子登山に最適。夏は暑く虫も多いため、春や秋の涼しい時期に登るのがオススメです。

 
 
ライター
まつだ しなこ

北海道から九州まで、日本全国の山を縦走メインで年中楽しむ。山道具マニアの夫との間に娘が生まれてからは、快適な親子登山について日々研究中。夢は将来大きくなった娘と山頂でお酒を飲むこと!

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