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【登ってみた2】台北で日帰り登山と♨︎といえば、七星山と冷水坑!!

2015.12.24 Thu

宮川 哲

宮川 哲 アウトドアライター、編集者

【登ってみた1】台湾の低山事情。台北市の最高峰、七星山主峰は1120m〉よりつづく

 標高1,120mの七星山の主峰からは、南東方向にトレイルが続いています。そして目の前には、七星東峰(Mt.Qixing East Peak)が指呼の間に。ただし、この頂へと至るには、いったん、鞍部へと下ってから急な石段を登り返す必要があります。とはいえ、さほどキツイわけでもないのですが。


七星山の主峰から見た七星東峰。トレイルは、低い笹薮のなかにつけられた道で、主峰からもはっきりと確認できます。ほんの10分の距離ですが

 東峰の標高は1,107mなので、主峰よりは10数メートルほど低いものの、山頂部分がぽっこりと盛り上がっていて、ちょっとした独立ピークにもなっています。ただ、主峰と東峰を遠く麓から見上げれば、おそらくは双耳峰のような山並みに見えるはず。一般的には、この双峰を併せて「七星山」とも「陽明山」とも呼ばれているそうです。

 ちなみに、ここは陽明山国家公園に指定されていますが、陽明山という名の付いた山はありません。この名は、中華民国の初代総統で、陽明学の徒でもあったあの蒋介石が付けたもので、陽明山とは、周囲の大屯山やこの七星山などの山域全体を指したものとされています。そして、この七星山がエリアの中心地であり、主峰でもあるのです。閑話休題。


七星東峰から台北市街を望む。残念ながら曇天なれど、遠くに二本の川が流れているのがわかる。台北の中心地はその南側に広がっています

 さて、七星東峰はとんがり山なだけに展望はとてもよく、360度がグルリと見渡すことができました。曇りがちな天気ながらも、眼下に見える二本の川筋の向こう側には、大きな大きな街がチラチラと見えています。主峰よりも位置的にも台北の街に近いうえに、この先にはさえぎる山がないのです。たぶん、夜景もとてもいいのではないでしょうか。想像するに、函館にも神戸にも負けないくらいかと(今度は夜に登ってみたい!)。

 ところで、山頂に登りきったところでこんな風景に遭遇しました。

 

東峰山頂への最後の階段を登りきったところで、このシーンに遭遇。地元の人たちがこんなふうにして登る山なんだと、ちょっとうれしくなっちゃいました

「任天堂登山趣」という登山クラブの登頂記念撮影会。「登訪完成」という大きな横断幕を用意しているところをみると、ともすると、日本でいう百名山的な登り方をしているのかもしれませんね。それにしても「任天堂」。かなり気になって近くの人に声をかけてみたのですが、残念ながら1ミリも中国語が聞き取れず、でも笑顔で握手を求められるという流れに。登頂をともに喜び合おうというフレンドリーな雰囲気が、とてもハッピーな気分にさせてくれます。さほど広くもない山頂で、日台友好の場が生まれます。この人たち、山が好きなんだなぁと、ちょっといい台湾の仲間を見つけた気分です。
     


東峰からいままで歩いて来た道を振り返ってみる。正面の大きな山が七星山の主峰です


 彼らとは山頂で別れ、われらは逆方向の冷水坑方面へ。山頂をあとにしてしばらく降りていきました。すると、少し先に足をわずかに引きずり、友だちに抱えられながら降りてくる台湾女子が3人。どうやら一人が足を挫いてしまっている模様です。スニーカーにジーパン、シャツという出で立ちなので、まさに地元の娘がちょっと登りに来たという具合だったかと。でも、そのうちの一人が流暢な日本語で、状況の説明をしてくれるのです。
 
 曰く、友だちが山頂付近で軽く転び、右足を挫いてしまったと。ここから冷水坑までは、この先はまだ小一時間ほどのトレイルが続きます。かといって、そのまま歩くのも大変だろうということになり……。山の心得のあるわれらは、これも日台友好の一端にはなるだろうかと、テーピングでの足首の固定を彼女たちに提案。そして、以下のような友好の場が生まれることに。

 

Akimamaメンバー、台湾の七星山でテーピングを巻く図。このあと、彼女たちは笑顔で山を降りて行きました。少しは役に立ったかな?

 いろいろな出会いがあるから旅はおもしろいのですが、まさか台湾の山中でもこんな場面が次々と訪れるとは。まさに一期一会。山も旅も、本当におもしろいものですね。

 テーピング巻きが終わったあとは、ひたすら温泉をめざします。なんといっても、下山口にあたる冷水坑には「温泉浴室」があるといいます。道は歩きやすく整備されているうえに、空には青空がぽっかりと見えるようにもなってきました。途中、七星公園というトイレ付きの公園があったり、TV用の巨大な電波塔が2本立っていたりと、道迷いの心配は皆無です。

 そうそう、この電波塔へと降りる手前の森の中でしたが、今度はタイワンリスの軍団に遭遇します。軍団と言っても6、7匹でしたが、これがまた人懐っこくて(やつら、何かが貰えるだろうと思っているのは間違いない! もちろん、あげませんでしたけど)、途中までいっしょに山を降りてくるじゃないですか。これがまた、大きくてカワイイんです。木から木へとポンポーンと飛び移る様は、なかなかにワイルドです。

 そうこうしているうちに、冷水坑が近づいてきました。石畳の道の付いた尾根筋を下りきると、大きなビジターセンターがあります。帰りのバスはここの駐車場から出発となりますが、その前にやはり「温泉浴室」へ。山のあとは温泉ですよ、ね。

 下山口から車道をほんの5分ほど歩けば、目的の温泉に到着です。まず目に入るのは、東屋の掛けられた足湯の施設です。山帰りの地元の人たちが、気持ちよさそうに足を浸けています。湯は黄味がかった硫黄泉。温泉然としたあの匂いもテンションを上げてくれます。期待大ですね。

 足湯の一段上には、いわゆる男女別の浴室棟が。しかも、なんと無料じゃないですか!! 喜び勇んで建物の中に駆け込みます。下足場にも、湯船から立ち上るあたたかな湯煙りが流れ込み、モワァと全体を包み込みます。やった〜温泉だぁと、紐を解く時間も惜しげに靴を脱ごうとしていると……。

 この温泉棟の管理をしているであろうオジさんが、さも済まなさそうにNo, No, No〜と言っているんです。え、もしかして有料だったのかなと思い、あたりをグルグルと見回してみると、さっきまで入浴中だったハダカのオジさんたちがイソイソと服を身に付け、外に出ようとしています。


あまりに焦って写真を撮らせてもらったもので、しっかり手ブレ。硫黄泉で気持ちよさそうな湯だったなぁ〜

 こちらの頭の中には“??”が浮遊しています。すると、No,No〜のオジさんは、腕時計をしきりと指差します。そして片言の日本語で「ソージの時間だ」と言っているのです。時刻は13時の2分前。な、なんと、折悪しく浴室内の清掃時間帯にドンかぶりしてしまったのでした。

 こちらがよっぽど悲しそうな顔をしていたのでしょう。オジさんはまったく悪くもないのに、Sorry, Sorryと言っています。しかも、掃除の時間は13時から14時半まで1時間半も設定されているのでした。

    

右上が足湯。左が冷水坑の男湯棟。よくよく看板を見てみると、ちゃんと清掃の時間が明記されていました(左下)。あぁ、バスの時間さえなかったらなぁ。とはいえ、帰りはこのバスに乗ってしまえば、台北の劍潭駅まで直でつないでくれるのです。アクセスのいい山ですね、ほんと

 Oh No〜! 嗚呼。
 
 本心では14時半まで待ってでも温泉に入ってから帰りたかったのですが、バスの時間がそれを許してくれません。そうして、意気消沈したままに、名残惜しげに足湯にちょこんとだけ足を付け、トボトボとバス停をめざしたのです。終わりよければ……とは真反対の結果となってしまいましたが、いやいや、冷水坑での失敗だけに囚われるわけにもいきません。

 総じて七星山の縦走登山は、おもしろい。見どころ満載で、歩きやすく、安全で安心なトレイルが整備されていることも併せて、日帰り登山の山としてはかなりのグレードです。しかも、台北初心者の旅の身でも、快く受け入れてくれる地元の人々の優しさが身に沁みる……多謝。下山の時間さえまちがっていなければ、おそらくパーフェクトデーになっていたことでしょう。

 でも、これでまた台湾にやってくる理由ができたというもの。必ずや、リベンジを果たすべし! 待ってろよ〜冷水坑!!

 

■七星山(台北市最高峰)/登山情報〈復路のみ〉
歩行時間計:約1時間分
七星山主峰(5分)苗園登山口への分岐(5分)七星東峰(30分)教育廣播電台(20分)冷水坑登山口
アクセス:冷水坑バス停から「小15」の路線バス「MRT劍潭駅」行きに乗車。終点のMRT劍潭駅まで約50分。バス運賃は30台湾$(2015年12月2日現在)

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