line_box_head

クライミングあの山この山。関東屈指のマルチピッチ練習場【三ツ峠・中央フェイス中央カンテ】

(2018.07.05)

登山のTOP

icon

絶景の富士山を眺めながらマルチピッチクライミング

 これからクライミングを始めてみたいと思っている人や、クライマーのみなさまに、オススメの岩場とルートを紹介するこの企画。第2回目となる今回は、関東屈指の岩場「三ツ峠」を紹介しようと思う。

▼第1回目はこちら
クライミングあの山この山。アルパインクライミングの聖地【谷川岳・一ノ倉沢南稜】

 三ツ峠とは山梨県にあり、「峠」とあるがれっきとした山だ。三ツ峠山とも呼ばれる。だが、岩場を紹介するトポ(クライミングのルート概念図)には「三ツ峠」と記載されているので、ここでは三ツ峠と呼ばせていただこう。この三ツ峠と富士山とは、直線距離にして約22km。間に大きな山がないため、裾野まで遮るものがない富士山の雄大な景色を楽しむことができる。交通の便も良く、日帰り登山ができることもあり、ハイカーにとても人気のある山だ。

三ツ峠からの富士山。クライミングをしながら、これほど大きな富士山が眺められる場所は他にないだろう。

 そんな三ツ峠の山頂の南側には、屏風岩という高さ80m幅200mの大きな岩場が広がっている。三ツ峠駅からのびる表登山道を登ると、屏風岩の基部を歩くため、たくさんのクライマーに驚いた人も多いはず。シーズン中の週末は大勢のクライマーであふれ、端から端までスダレのようにロープが垂れ下がっている景色は圧巻である。

中央にあるのが屏風岩左フェイス、その奥に少し中央フェイスが見えている。さらに奥には右フェイスが広がる。左上の電波反射板辺りが山頂だ。

 今回紹介するのは、この岩場で1番人気の「中央カンテ」。中央フェイスの左端にあり、4ピッチ(Ⅳ+〜Ⅴ+級)の好ルートだ。難度は最大でⅤ+級となかなか難しい。ちなみに中央カンテのすぐ横には、映画「岳」のために作られた「岳ルート」があり、撮影で主役の小栗 旬が登っている。

■シーズン
 クライミングのシーズンは4〜10月。南面に位置するので、夏場は暑く虫も多い。そのため春と秋が登りやすいだろう。

■アプローチ
 三ツ峠登山口から裏登山道を登る。四季楽園を越えて表登山道へ10分ほど降りたところが屏風岩基部で、山と高原地図だと1時間40分程となる。さらに基部を進むと、祠があり、祠の右側が中央カンテの取り付きだ。スペースは広いが、登山者が通るので、邪魔にならない場所に荷物を置き準備をすませよう。三ツ峠駅からも行けるが約4時間の登りでなかなかしんどい。

登攀中での1枚。登っていて、ふと後ろを眺めると富士山の絶景が広がる。気持ちのよいロケーション。

■ルート紹介
 最初に支点について説明しよう。三ツ峠のマルチピッチルートは、一部新しい支点もあるが、何年も前から残置されている古いハーケンが多く、アルパインクライミングの練習場といった感じ。支点が少なく、カムなどナチュラルプロテクションが無いと、ランナウトし墜落距離が長くなる箇所もあるので、カムを1セット持って行くと安心だろう。中央カンテでは3・4ピッチ目で使用できる。

 次はルートについて。中央カンテの1〜2ピッチ目、ここはⅡ〜Ⅲ級と階段状で簡単。後半の核心ピッチに向けてここで岩に慣れておこう。そして核心は3〜4ピッチ目となる。このルートのグレードが「Ⅳ+〜Ⅴ+級」と曖昧になっているのは、3ピッチ目のグレードがⅣ+級で、4ピッチ目の左に上がる一般的なルートはⅣ級、右に上がりハングを越えるルートがⅤ+級となっているためである。左ルートは高度感があって楽しいが、序盤にカムが無いと少し怖い。右ルートは支点が豊富なので、カムが無くてもランナウトする怖さが少なく、ハング越えが楽しめる。終了点は一緒なのでどちらを登っても問題はない。

 最終ピッチを登りきると、終了点横に懸垂下降支点があり、ここから凹角へ懸垂下降していく。しかしこの凹角、降りてみるとわかるが、とてもロープをスタックさせそうな岩の形状をしているのである。実際、数々のパーティーがここでスタックし、降りられなくなり渋滞が起きている。なので最終懸垂下降者は、凹角ではなく、懸垂下降支点からまっすぐリッジ沿いに降りるのがよいだろう。

中央カンテ2ピッチ目。Ⅲ級の快適なクライミング。ここで体を慣らしておこう。

中央カンテ4ピッチ目の左に上がるルート。この時はカム1式にトライカムも持って行っている。

■その他のルート
 三ツ峠は広大な岩場なので、中央カンテ以外にもオススメが多数ある。まずは左フェイスの「亀ルート(4P・Ⅳ+)」。トラバースが高度感抜群だ。次に右フェイスと東面フェイスは、テラスごと好きなルートをつなぎながら巨大なテラスの「天狗の踊り場」へ上がれる。天狗の踊り場からは、山頂まで上がることも出来るので、記念に上がってみるのもいいだろう。中央フェイスには人工登攀ルートが数本走っている。マルチピッチはせず、1P目だけを使いアブミトレーニングも可能だ。

中央フェイスでアブミトレーニング。すぐ横をハイカーが通る。

■注意点
三ツ峠のトポでは、四季楽園と三ツ峠山荘の間にある広場でテントを張ってもよい事になっているが、現在はキャンプ禁止なので注意。

稜線からは富士山だけではなく、南アルプスも望める。特に夕日の景色は素晴らしい。山小屋に泊まる際はぜひ眺めてみて欲しい。

(画像=小峰大地 河津慶祐)


他の「クライミングあの山この山。」

 
 
ライター
河津 慶祐

高山縦走からクライミング・沢登り・トレラン・バックカントリーと一年中オールラウンドに山を楽しむ。山道具好きが高じてライター・編集者に。典型的な器用貧乏で、やりたい事が多過ぎ、広く浅くになってしまっているのが悩み……。ブログは「Mountain Gear Laboratory

line_box_foot